チェックメイト

「実に難しい質問だね、しかし……」

「答えが分かれば……」

「苦労しないと言いたいのかね?」

「はい…」

「誰にも正解は分からないと思うがね」

「はい、でも納得できません」

「そうだろうね、しかしすぐには答えが出ないな…」

「すぐにとは言いません」

「わかった、しばし考えよう」

彼女が去った応接室の黒板には、白のチョークで質問が書かれていた。

「ひとつを失うのと、すべてを失うのはどちらがいいのでしょう?」

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