しあわせのなりかた

スーパーでいつもの面々をカゴに入れて、レジの順番を待つ。前の女性が紅鮭をマイバッグにしまい、箱ティッシュの持ち手を左手にぶらさげて足早に去った。あの紅鮭は晩ごはんかな。いや、きっと朝ごはんに違いない。妄想を断ち切り、ポイントカードを渡す。明日の朝食を考えられる事が一番の幸せかもしれない。僕は幸せのレシピをマイバッグの一番下に忍ばせて、冬空の雑踏に紛れた。この発見を誰かに話したかった。とても話したかった。

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