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<商標>ネーミングヒント〜「LINE」を一部に含む商標編〜

1、言葉は変わりゆく

世の中の変化により、言葉も変わりゆく。

商標の分野は、基本的に言葉と密接に結びついているため、年々言葉の変化に敏感になっていく自分がおります。

私の学生時代には、
「ケータイ」で「メール」をするのが主な連絡手段でした。
お気に入りの「着メロ」を設定したり、時には「ワン切り」で通信手段を使ったちょっかいを友達に掛けてみたり。

それが今や
「じゃあ、LINEするわー。」になりましたね。
独特のサクサク感と既読マークなどにより、電話メール時代とはまた違ったコミュニケーションツールとなっていますよね、言わずもがなですが。

ただ、この「メール」と「LINE」には使い勝手とかスタンプとかそういった話ではなく、明瞭な違いがあります。

それは、
・メール→通信手段の普通名称。郵便や電子メールの略称。
・「LINE」→一企業の提供しているアプリ名。

という点です。

言ってみれば、
ラーメンと二郎
ECサイトとZOZO
カフェとスタバ
に近い関係なのです。

2、「LINE」を一部に含めると商標登録できるのか?

では、この「LINE」が多くの人に通信手段の普通名称のように誤認されるとどうなるか?

「LINE」を一部に含む言葉を商標登録しようとする企業が出てくるようになるのです。

(商標登録しようとすること自体は悪ではありません)

「LINE」だけで商標登録しようとする企業はほとんどありませんが、LINEで〇〇やLINE〇〇など、LINEを使った唯一無二のサービス名を独占使用としたいと考えるわけですね。

言葉の独占使用権のためにはどうしますか?
はい!商標登録です

さて、このケース。そもそも商標登録できるのでしょうか?

結論を言うと、
LINE株式会社以外が出願人の場合で、「LINE〇〇」は大体の場合登録できない。(特にIT系商品サービスでは)

となります。

登録不可となる主な理由は、

「LINE」が一部に含まれていると、あのLINEが提供している商品やサービスなの?と需要者が考えてしまうから。

そうなんです。特許庁はLINE株式会社の積み上げてきたブランド価値を守るとともに、我々消費者も混同しないように気を遣ってくれているのです!

例えば、テーマパークを作ろうとした際、
「ディズニー」を一部に含んだ場合、当然に登録不可となりそうですよね。常識的に。

これは「ディズニー」を含んでいると、あのディズニーと関連があるように誤認してしまいます。
それと同じことです。

3、審査例はどうなっている?

事例として3つをご紹介します

まず、「LINE不動産」です。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-2017-023011/8869BA46163C04DDFA5F4DD47BEA4431A99866802084905984E00B1A4EDED9F1/40/ja
(商願2017-23011)

こちらは登録不可であり、理由としてはLINE株式会社が提供するサービスと混同をきたすため。

出願時点では不動産サービスを提供していないしても、やっぱりLINE株式会社と関係しているの?と感じますよね。

次に、「LINEで無料相談」です。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-2017-061097/53906A2D8F155DE0097C88375E9CEFD578DEA5068A8F66C370F739E32B9F82DA/40/ja
(商願2017-61097)

こちらも登録不可の理由としては大体同じ。
LINE株式会社が提供するサービスであると誰もが認識しそうですよね。

最後に、「LINE de ふるさと納税」です。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-2022-117290/538B348EE2C17E9ACD5254F15AA99E517F35770D75068FAE251DC4312832F281/40/ja
(商願2022-117290)

こちらは特許庁の最終判断はされていないものの、同じく登録がむずかしそう。

このように、LINEを一部に含む商標は結構登録が難しいですから、ご注意を!

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