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VINAIOTA|チンクエ 2018 #ある日のワインのスナップショット

自然栽培の八百屋 ポム・ド・テールも
自然派ワイン輸入の be a good friend も

その拠点は茨城県つくば市。

様々なご縁もありこの場所を選んだのは、ここには美味しいものを心から愛するコミュニティがあったから。

「美味しい」の形にも様々な形があると思いますが、中でもつくばでは、素材のシンプルな味わいが素直に感じられ、その美味しさの源泉が、豊かな自然環境に由来するものと多く出会うことができます。

ワインの世界で言うと、長年様々な常識と戦い、日本における自然派ワイン(とは彼らは呼ばないでしょうが)、その文化の礎の一端を築いてきた輸入元ヴィナイオータさんの存在は大きいです。

ご近所のよしみもあって、ポム・ド・テールで販売している「季節のおすすめ果実酒&野菜BOX」には、自社で輸入したワインだけでなく、ヴィナイオータさんのワインも登場します。

今日はそんなワインのご紹介。

畑でも醸造所でも、優しく、柔らかく、繊細な仕事を

ワイナリー:Podere Le Boncie / ポデーレ レ ボンチエ
造り手:Giovanna Morganti / ジョヴァンナ モルガンティ

ワイン造りの仕事には困難が多いなんて話は語り尽くされていますが、それでもやはり大変な仕事であるのは間違いなく、よくワイン造りに挑戦したいかと聞かれたりすることがあるけど、「いえいえ滅相もない」と即答しています。

畑での仕事も醸造所での仕事も根気と体力が必要な仕事で、身体の小さい女性でその仕事をこなすのは、ジェンダー論うんぬんを持ち出す前に、率直に大変なんだろうなと思います。

レ ボンチエは、イタリアの銘醸地トスカーナ州、キャンティ クラシコ地区の南端、カステルヌオーヴォ ベラルデンガの標高360mに位置するワイナリーです。

そのワイン造りを担うのは、ジョヴァンナ モルガンティ女史。意思の強さ、芯のある信念、そして繊細さを備えた造り手です。

ジョヴァンナ曰く、(トスカーナ州において、そしてキャンティ クラシコ地区において重要な)サンジョヴェーゼという品種は、非常に繊細な植物であり、その繊細さを壊さずにその魅力を引き出すには、畑においても醸造所においてもソフトな仕事が必要であると言います。

畑では当然、自然環境と植生に配慮した栽培を実践し、晴れて収穫で得られたブドウも細心の注意を払って醸造所まで運ばれ、その醸造所の中でも繊細で丁寧な仕事の積み重ねによってワインとして育てあげます。

そう、あらゆるポイントで繊細さや丁寧さを重視し、柔らかくも忍耐強い仕事の積み重ねで、自然の恵みそのものをダイレクトにワインへと詰めることを大切にしています。

そんな彼女の仕事ぶりが垣間見えるのが、ジョヴァンナの小さな身体に合わせたという開放型の(上部がオープンな)木製発酵槽にブドウを入れ、その発酵中にブドウと果汁を優しく撹拌する作業の後、そっと上部にかけられる布。

伝統的な手法を大切にし、自然酵母による働きで発酵を促すなかで、その発酵の香りに誘われてショウジョウバエなどが果汁に飛び込み微生物汚染などのトラブルを引き起こさないように、自作の布で覆うことでそれを防いでいます。

もちろん開放型の発酵槽を使用しなければ、この種のリスクは避けることもできるのでしょうが、あくまでブドウそのものの魅力をワインに詰めるために、伝統的な手法を尊重し、それでいて繊細な仕事の積み重ねで、ブレのない、しなやかでありながらフォーカスの定まった風味を自身のワインに閉じ込めることに努めています。

自然派ワインの魅力は、その造り手の人柄をワインから感じることですが、それは当然のことで、24時間365日、様々な対話が畑やブドウやワインと繰り広げられており、幾多の小さな選択の積み重ねでその味わいが完成しています。

レ ボンチエのワインからはいつも、繊細ながらも実直で、軸のしっかりとした造り手の人柄が透けて見えます。

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ワイン:5 / チンクエ
ヴィンテージ:2018
タイプ:赤
産地:イタリア トスカーナ州
品種:サンジョヴェーゼ主体、コロリーノ、フォーリアトンダ、マンモーロ、チリエジョーロ

レ ボンチエのワインのファーストラインは、レ トラーメというワインなのですが、そのレ トラーメに至らなかった妹分としてリリースされているのが、5(チンクエ)です。

輸入元によると、イタリアの成績表は10段階評価らしく、6以上は合格で、5以下は落第ということで「ギリギリでレ トラーメになれなかった」という意味を込めての5だとか。

まあ、冗談含みとはいえ、これを及第点の下に置くあたりが、この造り手の性格というか考え方を反映しているように感じます。

セカンドラインといえども、ワインに変な緩さもなく、ビシッと一本筋の通った味わいで、それでいて鮮やかな果実味としなやかな余韻のある、非常に品格のあるバランスです。

というのもセカンドラインとはとても思えないほどバランスの良い生き生きとした美味しさを毎回楽しませてくれるからです。このワインがセカンドラインだとすると、一体フラグシップはどんなワインなんだろうと色々想像が膨らみます。

このワインは華やかな風味とバランスの良いボディがあり、余韻も複雑で長いので、飲むたびにその風格に驚かされます。鮮やかなベリーの風味が凝縮していて、それでいてスムーズな飲み心地もあり、どんな食事にも寄り添いながらもしっかりと個性を主張してくれます。

2018年も抜群の仕上がりで、何度でも飲みたくなってしまいます。このワインを飲み進めていると、少し脂身の少ない引き締まった赤身肉を使った料理などが食べたくなります。 何本開けても期待を裏切らないこの圧倒的な信頼感を備えたワインが、造り手本人とって及第点というのが本当に興味深いです 。

現時点でも十分チャーミングなバランスで美味しいですが、熟成させても更なる成長が期待できるワインでもあり、毎年個人的にも買い溜めて置きたいなと思いつつ、飲みきってしまっているワインでもあります。

おわりに

be a good friend は、ヨーロッパを中心に自然派ワインを輸入し、造り手の想いに共感してくださる全国のワインショップさんなどに販売するワインインポーターです。

また自然派ワインの部門とは別に、国内の自然栽培の農家さんのお野菜を全国の飲食店さんや、個人の方にインターネット販売を行う八百屋部門のポム・ド・テールも活動中。 



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