夏の思い出

小学校1年生の頃、自分の学校では夏休みの初日にサマーキャンプなるものがありました。
PTAの親御さん方と先生方も居て学校の体育館で一夜を明かします。
マットを引き、寝袋にくるまって全校生徒(田舎の学校なので当時40人程?)が寝る様は
まるで避難所のようにも見えたかも知れない簡素なものでした。
それでも子供ながらには友達とお泊まりは楽しいもので・・・
班ごとにカレーを作って食べたり、鬼ごっこや隠れん坊をしたりと中々楽しんでました。

時間が経つのは早いものです。
暗くなって、みんな一緒に花火で盛り上がり
火薬の匂いをさせながら体育館に戻ると何やら薄暗い・・・
はい、定番の「肝試し」の時間です

さっきまで走り回っていた体育館は照明が落とされ
スピーカーからはお経が聞こえていて、みんながビビっている中
先生の怪談が始まりました

内容は正直覚えていませんが、確か・・・典型的な「お前だ!」系のお話だった気がします
女子から悲鳴が上がったのを覚えていますので(自分も叫びましたが)

怪談を聞き終わったら、いよいよ肝試しの時間です
コースは体育館から出て真っ直ぐ廊下を抜け、トイレ横の怪談をあがり
2階一番端にある音楽室に行って帰ってくる
というもので
PTAの親御さん達が途中で驚かせてくる凝った作りのものでした

自分は1年生だったので「上級生女子、自分、1年生男子」の組み合わせでした
当時からめちゃくちゃ怖がりなので、先人の組の悲鳴を聞きながら泣くのを堪えていましたね

何組か進み自分達の番です。先生に促され暗い廊下を進みます。
廊下とはいえ油断はなりません
教室の扉から女装をした知り合いの叔父さんが飛び出てきたり
廊下の奥のトイレの前には青白い人魂が見えています
怪談に着くと上からコンニャクが降ってきたり
2階の廊下では変装をした知り合いの叔父さんが・・・
音楽室に入ると赤くライトアップされた胸像が置いてあったり


今考えると小学生にやるには過剰なくらい驚かされた気がしますね
(事実数年後には肝試しはやらなくなりました)
今回このお話を書こうと思ったのには後日談があるからです
小さい学校でしたのでPTAは親御さん全員参加が基本でしたので
長年の疑問を親父にぶつけた事があるのです

あそこで驚かせて来たのは誰のお父さんだとか
女装したのは誰々のお父さんだとか
あそこのネタは誰が考えたとか
でも一番聞きたかったタネがわからなかったんですよね

自分「あのトイレの前に飛んでた人魂ってどうやってやってたの?」

親父「小学校の建物の中で火なんか使える訳ねーだろ」


あれから25年、今でも鮮明に思い出せるあの青白い優しい色の人魂
不思議とビビって叫びまくっていた自分が
あの人魂を見ても全く怖くなく
楽しそうに揺らめきながらフワフワと飛び回る
まるで子供のような・・・

これはノンフィクションなので落ちも何もないです
今思い出すと、不思議と少し寂しくなる体験でした

拙い文章をここまで読んで頂きましてありがとうございましたm(_ _)m

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