第一章

あれから半年の月日が過ぎた
138億年の間、銀河を鉄道で旅してきた私からするなら瞬き程の時間のはずなのに
なんてたくさんの感情を揺り動かされた半年だったろう

初配信、いきなりやらかしてしまったけれど
みんなは優しく受け入れてくれて
そんなみんなに銀河鉄道の車窓からいつも眺めていた、可愛らしい優しい灯り達と同じ名前をつけた

星つぶ

いつでも傍にいて欲しい、そんな願いも込めて


この半年間で色々なことに挑戦してきた
バトルロイヤルゲームをした時はゲームに熱中し過ぎて「投げキッス」や「打音」を出してしまったり
ホラーゲームの時は叫びすぎて星つぶの鼓膜が心配になったり
あ、でも推しとホラーゲームをした時は少し頑張れたよね?

星つぶのみんなが褒めてくれた歌枠とかもうライブをしてるみたいで最高だった
綺麗な弾幕にたくさんの拍手が聞こえて、合いの手ももちろん
みんなの熱意や気持ち、声援が銀河鉄道までこんなにも届くなんて

飲酒雑談なんかもしてみたけど、毎回楽しすぎて時間をオーバーしても
クルーと星つぶのみんなは優しいから延長させてくれて
日付けが変わるまでお喋りしてしまった
終わるのが寂しくて、名残惜しくなっちゃって
もう何時間でも話せた

配信中に何度か感極まって泣いちゃったこともあったけど皆優しく受け止めてくれて
暖かさを身近に感じられて嬉しかった

他にもたくさん!
なにかの記念の時にはみんなが「おめでとう!」ってお祝いしてくれて
なんて幸せなんだろうって

思い出すと今までの出来事が鮮明に、本当に昨日の事のように蘇ってきて
138億年、星渡りをしてきてこんなに楽しかったのははじめてだった
こんなに綺麗な「感情」や「景色」に彩られた毎日に出会えるなんて

きっとこれから先もたくさんの「幸せ」に囲まれて活動していくのだろう
大変な事も、辛い事もあるだろうけれど
クルーと星つぶが居てくれるなら
きっと





「ネルさん?·····どうやら寝てしまったようですね」

そこには窓にもたれ掛かるように優しい笑みを浮かべながら
スヤスヤと寝息をたてているネルの姿があった
目の前のテーブルには開いたままになった、書きかけの日記が置いてある

「これは·····読まないでおきますか。きっと恥ずかしがるでしょうからね。
まったく、どれほど幸せな夢を見ているのやら」

そうボヤキながら毛布を優しくかける
そのクルーの顔には、ネルと同じ優しい笑みが浮かんでいるのだった



銀河鉄道は走って行く
暗い銀河の中を、優しい星つぶ達の灯りを頼りに

今日もどこかで、幸せそうでとても楽しそうな配信者の声が聞こえる

彼女の名前は

カムパネルラ


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こんねるーー!宙とガラスとこんぺいとう所属!
星渡りVTuberのカムパネルラです!銀河鉄道に乗って旅をしています!
今日も全力で駆け抜けますよー!

せーーーの!!

鉄道がーーーー!

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