私は『稿本天理教教祖伝逸話篇』16「子供が親のために」と題された逸話がとても好きだ。
このお話は多くの逸話の中で異彩を放っている。
というものである。
このお話の中で、当時「神」もしくは極めて「神」に近い存在と認識されていたであろう教祖が二度までも「救からん」と仰っている。神様からの延命不可の宣告である。医者の言葉よりも重いものがあったと思われるが、伊三郎氏は諦めなかった。
片道約5.5Kmの道のりを歩むこと2往復半、計27.5Kmを歩き通し延命を願ったのだ。
そしてついに奇跡は起きる。 神が「もうここまで」と決めた運命に、徒手空拳で立ち向かった伊三郎の心を神は嘉納された。
成って来る理を素直に受け止めることも信仰の要諦であるが、「何がなんでも!」という誠の心をお受け取りいただけた貴重なモデルケースである。