用語集: 「超高温原子炉」 <ー 三菱重工、新型原子炉で水素量産 脱炭素へ低コスト技術

今回は「超高温原子炉」について見て行きましょう。

とりあえず、次世代の原子炉ではありますが、従来の原子力と比較すれば安全性がぴか一。

お~

「超高温原子炉(VHTR)」: 原子炉冷却材出口温度が900℃以上の高温で運転できる第4世代原子炉の一種です。ヘリウムを一次冷却材として使う方式が、最も開発が先行して実証炉段階にあるために高温ガス炉として知られていますが、他に溶融塩原子炉方式の超高温炉も研究されています。

構造

超高温原子炉の構造は、以下のとおりです。

  • 炉心:ウランを炭化ケイ素などのセラミック材料で被覆した燃料粒子を用いる。

  • 減速材:黒鉛を用いる。

  • 冷却材:ヘリウムを用いる。

  • 熱交換器:冷却材から熱を取り出して発電やその他の用途に利用する。

原理

超高温原子炉は、核分裂で生じた熱をヘリウムガスで冷却して、発電やその他の用途に利用します。核分裂で生じた熱は、炉心内の燃料粒子で吸収されます。燃料粒子は、高い熱に耐えるセラミック材料で被覆されているため、炉心の温度が1000℃近くまで上昇しても、燃料が溶解することはありません。

安全性

超高温原子炉は、以下の点で安全性が高いと考えられています。

  • 燃料粒子は、高い熱に耐えるセラミック材料で被覆されているため、炉心溶融事故が発生しません。

  • 冷却材にヘリウムガスを用いるため、水素爆発などの事故が発生しません。

  • 炉心の温度が1000℃近くまで上昇しても、燃料が溶解することはありません。

メリット

超高温原子炉には、以下のメリットがあります。

  • 高温の熱を利用できるため、発電効率が高く、水素製造や化学工業などの幅広い用途に利用できます。

  • 炉心溶融事故や水素爆発などの重大事故のリスクが低いため、安全性が高いと考えられます。

デメリット

超高温原子炉には、以下のデメリットがあります。

  • 燃料粒子の製造技術が複雑で、コストが高い。

  • 冷却材の漏えいが発生した場合、ヘリウムガスが爆発する恐れがある。

今後の展望

超高温原子炉は、まだ実用化には至っていないものの、発電効率の高さや安全性の高さから、今後の原子力発電の有力な選択肢として期待されています。日本、米国、欧州などを中心に、研究開発が進められています。

日本での開発

日本では、茨城県大洗町にある日本原子力研究開発機構(JAEA)の高温工学試験研究炉(HTTR)で、超高温原子炉の実証試験が行われています。HTTRは、1994年に運転を開始し、2023年も運転を続けています。HTTRでは、原子炉冷却材出口温度950℃の達成、1000日以上の連続運転、水素製造の実証など、さまざまな成果が得られています。

JAEAでは、HTTRの成果を基に、実用炉の開発を進めています。実用炉は、2030年代の実用化を目指しています。

参考検索キー: 三菱重工、新型原子炉で水素量産 脱炭素へ低コスト技術

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