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価値観差で風邪を引く

上京して2年が経つしもうそろそろ大丈夫だろ、と思っていたけれどたぶんまだ全然慣れていない。

渋谷では永遠に迷子だし新宿ではうまく歩けない、乗り換えが2つ以上あるとほぼ必ず間違えてだいたいの約束に遅れてしまう。
まあでも地理がだめなのはいまに始まったことではないので、いまは人とあんまり約束をせず、せめて迷惑をかけないようにしている。

迷うより ときとしてダメージが大きいのは、たとえば新卒採用での「MARCH以下はいりません」という露骨なアピールが当然のように受け入れられていることとか、「残していいから」という前置きの上 食べきれない量の食事を注文されるとか、そういうことだ。

飽食している。豊かでもないのに。

東京に限った話ではないとしても、都心だとやはり顕著だと思う。人と物と金と情報が多すぎる。それを求めて上京したから声高らかに批判したいわけではない。ただそれに通ずる価値観を搭載した人が身の周りにもわりといて、ついていけないときがある。

「素敵なペンですね」と言ったとき、
「安物だよ」と謙遜されて、
「そうは見えないですよ」と返すと
「1,000円くらいしかしないよ」って、嫌味でないのは伝わりますが、そっか私は298円のペンですらちょっと買うのを迷うのに。
確かに世の中には10万単位、もっとそれ以上のペンだってあることは存じているけれど、1,000円のペンを安物とする世界にこれまで接してこなかったので、驚いた。

気温差が大きいと風邪を引くのと同じように、価値観差が大きくても風邪を引いたように疲れる。
ペンの話をした人が悪いわけではまったくなくて、一方私が違いを感じてしまったことも仕方がなくて、そういう差があるんだな、ということ。

いままではこういう、考えても変えられないことに直面したときに、「自分の気持ちを無視する」という手法を取っていた。別にそれで不便はなかった。
ただ、無視したことで副作用的に何かよくないものが後から立ち現れると困るから、いまはOKスタンプを押してから流すようにしている。

ここに価値観差がありますね。
本当ですね。
びっくりしますね。
本当ですね。OKです。
はいOK, 次の方どうぞ。

という具合にベルトコンベアに載せて流れていっていただく。たまにうまく稼働しないときもあるが、しばらくはこれでやっていけるか試してみたい。

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