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マイ・ブロークン・マリコ

地獄の渦中にいる人も惨めだがそれを眺めるしかできない人も惨めだ。だんだんおかしくなっていく大切だったはずの人。少しでも安全な場所にいてほしいのに好んで地獄に戻ろうとしているように見えるその背中に、傷のついた手首に、また何もできなかった、という後悔を積み重ねていく。

どんなに心から心配してみせたって
そんなもんじゃどうにもならない所にあのコはいた

作中でシイノが独白のように呟いた言葉に、相手が生きていても死んでいても自分には手が届かない無力さを感じる。

「何度もあのコのことめんどくせー女って思った」と言いながらも、「あたしには正直あんたしかいなかった」とも言えるだけ、シイノは綺麗だなと思った。

助けてと言ってほしい人ほど何も言わずに死んでいく。
だけど私は助けてと言われても裸足で走る気力があるのかわからない。

それなのにときどき、無償の愛や優しさがそのへんに転がっているのを見つけることもあるからよけいに残酷だ。おちおち死ぬこともできやしない。

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