海揺れる

5人の、6人の、7人の海おとめたちの物語。

末の娘の誕生祝いに、勤しむ5人姉妹たちから不穏な匂い。
15年前、母は地上に行ってしまって帰らなかった。明日の16の誕生日に、何かが起こるんじゃないだろうかと。

「海おとめには涙がないの」

「16歳の誕生日に、海の上へ出ることを許される」

船から誘う笛の音に、こころを乱され歌えば嵐。人間の子どもはみな海の底へ連れ去られて百合の花が咲いた。

末の娘も母を追い、声をなくして脚を手に入れる。

笛吹き男の望むものは愛した女だった。
母の望むものは彼の首だった。
末の娘の望むものは、彼の愛だった。

母の我儘感はなんだったんだろう。

歌えば嵐が来る、聞けば避けられない、会ってしまえば忘れられない、わかっていても出会いに行く、わかっていても水底で手を振る。

耽美なだけでは終わらないおんなのお話だった。

heart dream shoppers
作・演出 井上友美

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?