FXトレーダーが知っておくべき逆三尊否定のポイント
FXトレーダーにとって、チャートパターンの読み取りは重要なスキルです。特に逆三尊は、下降トレンドから上昇トレンドへの転換を示すため、潜在的な大きな利益を狙えるシグナルと考えられています。しかし、逆三尊が完成しても、必ずしもトレンド転換が起こるわけではありません。逆三尊が出現した後に、下降トレンドが継続する「逆三尊否定」が発生する可能性があるのです。本稿では、逆三尊否定の特徴と発生理由、回避策について詳しく解説します。
逆三尊とは何か?
逆三尊は、下降トレンド中に3つの谷が形成され、2つの山に挟まれた真ん中の谷が最も深くなるチャートパターンです。このパターンが完成すると、下落の勢いが弱まり、上昇トレンドに転じる可能性が高まります。
逆三尊の形成過程
最初に小さな谷ができる
その後、より深い谷ができる(ヘッド)
再び小さな谷ができる
2つの山の頂点を結んだネックラインを価格が上抜ける
逆三尊の意味
逆三尊は、下落に伴う売り圧力が徐々に弱まり、買い圧力が優勢になってきたことを示唆します。3度目の谷では、下落の勢いがなくなり、ネックラインを突破することで上昇トレンドへの転換が確認できます。
逆三尊否定とは?
一方で、逆三尊が形成されても、価格がネックラインを突破できずに再び下落に転じる場合があります。これが「逆三尊否定」と呼ばれるパターンです。逆三尊否定が発生すると、一時的な上昇は単なる調整にすぎず、本来の下降トレンドが継続することを意味します。
逆三尊否定の特徴
逆三尊のパターンが形成される
しかし、ネックラインを確実に突破できない
一時的な上昇の後、再び下落に転じる
逆三尊否定が発生する理由
逆三尊否定が起こる主な理由は、以下の2点が考えられます。
売り圧力が依然として強い
買い圧力が想定よりも弱い
つまり、逆三尊が形成されたものの、本質的な売り・買いの力関係に変化がなかったために、一時的な調整に過ぎなかったということです。
ダブルボトムとの違い
ダブルボトムは2つの谷があり、その間にできる山をネックラインとして形成されるチャートパターンです。ダブルボトムも安値圏で現れると買いシグナルとなりますが、逆三尊との違いは以下の通りです。
逆三尊は3つの谷があり、ダブルボトムは2つ
逆三尊は真ん中の谷が最も深く、他の2つはほぼ同じ深さ
逆三尊はダブルボトムより強い買いシグナル
つまり、逆三尊の方がより確実な転換パターンとされ、より大きな上昇が期待できます。
トリプルボトムとの違い
トリプルボトムは3つの谷があり、その間に2つの山ができるパターンです。トリプルボトムも買いシグナルとなりますが、逆三尊との違いは以下の通りです.
逆三尊は真ん中の谷が最深く、トリプルボトムは3つの谷の深さがほぼ同じ
逆三尊はトリプルボトムより強い買いシグナル
したがって、逆三尊の方がより確実な転換パターンであり、より大きな上昇が期待できるとされています。
逆三尊のネックラインの引き方
ネックラインは、逆三尊において非常に重要な役割を果たします。ネックラインを適切に引くことで、トレンド転換のタイミングを把握できます。
ネックラインの意味
ネックラインは、売り圧力と買い圧力が拮抗している価格帯を表します。つまり、ネックラインは各トレーダーの売買意欲が割れている領域なのです。
ネックラインの引き方
2つの山の頂点を結ぶ線をネックラインとする
ネックラインは必ずしも水平ではなく、右肩上がりや右肩下がりもある
ネックラインの傾きによって、相場の意識が上向きか下向きかを判断できます。右肩上がりのネックラインなら上昇トレンドが意識され、逆三尊の完成確率が高まります。
逆三尊のチャート例
実際の逆三尊のチャートを見てみましょう。下図は為替の実際のチャートですが、下落局面で逆三尊が形成され、ネックラインを突破した後に大きく上昇していることがわかります。
逆三尊が形成される理由
では、なぜ逆三尊のようなパターンが発生するのでしょうか。その背景には、売り買いの力関係の変化があります。
まず安値をうかがうも、一旦買い圧力に支えられ押し返される
さらに安値をうかがうが、再び買い圧力で押し戻される
3度目の安値をうかがうが、買い圧力が優勢になり押し返される
つまり、最初は売り圧力が強かったものの、徐々に買い圧力が高まり、下落トレンドが弱まっていったことが理由です。3度目の下落では、下げ止まりの兆しが現れ、上昇トレンドへの転換が示唆されるのです。
逆三尊のエントリーポイント
逆三尊は、ネックラインを突破することで完成します。そのため、一般的なエントリーポイントは以下の2つが考えられます。
ネックラインの突破直後
ネックラインで一旦反発した後、再びネックライン付近に到達したタイミング
確信を持ってエントリーしたい場合は、2番目の方法を採用するのがよいでしょう。ただし、価格が再びネックライン付近に戻らない可能性もあるため、その点には注意が必要です。
利確ポイント
利確ポイントの目安は、2つ目の谷(安値)とネックラインの値幅と同じ値幅まで上昇した地点となります。ただし、上昇トレンドの勢いが強ければ、さらに利益を伸ばすこともできます。
逆三尊否定のサイン
逆三尊否定が発生するサインとしては、以下の2点が挙げられます。
戻り高値を更新できない
一見逆三尊に見えても、安値がどんどん切り上がっている(右肩下がり)場合は、買い圧力が弱く、逆三尊否定のリスクが高まります。
上位足で下降トレンド継続
短期足で逆三尊が形成されても、上位足(日足や週足など)で下降トレンドが継続していれば、一時的な調整にすぎない可能性があります。
このように、逆三尊だけでなく、複数の時間軸でチャートを分析することが重要です。
逆三尊否定のチャート例
次の図は、逆三尊が否定された事例です。中央の谷で大きな下ヒゲが出ており、下値を試す動きが見られます。結果的に、ネックラインを確実に突破できずに、再び下落に転じています。
このように、逆三尊否定ではネックラインが重要な役割を果たします。ネックラインを突破できなければ、単なる一時的な調整にすぎない可能性が高くなるのです。
逆三尊否定の回避策
逆三尊否定に巻き込まれないためには、以下の点に注意する必要があります。
ネックラインの傾きを確認する
右肩下がりのネックラインでは、逆三尊否定のリスクが高まります。右肩上がりか水平のネックラインを狙うべきです。
出来高の変化に注目する
逆三尊形成時に出来高が右肩上がりになっている場合、ダマシの可能性が高くなります。出来高が減少していく方が好ましいでしょう。
適切な損切りラインを設定する
ネックラインに近すぎる損切りラインは避け、適度な距離を置いた位置に設定しましょう。ダマシに巻き込まれるリスクを抑えられます。
時間足の確定を待つ
短期足で逆三尊が形成されても、上位足で確定するのを待ってからエントリーする方が安全です。ただし、チャンスを逃す可能性もあります。
このように、チャート分析だけでなく、様々な観点から総合的に判断することが重要になります。
逆三尊否定を回避するための総合的な分析
これまで説明してきたように、逆三尊否定を回避するためには、ネックラインの特性、出来高の変化、時間軸の違いなど、様々な観点から分析する必要があります。
ファンダメンタルズ分析の重要性
チャートパターンだけでなく、ファンダメンタルズ分析も欠かせません。経済指標の発表や重要なニュースが控えている場合、テクニカル分析の精度が落ちる可能性があります。
複数の手法を組み合わせる
MACDなどのテクニカル指標と併せて、チャートパターンを分析することで、より確度の高い判断ができるでしょう。
経験の積み重ね
逆三尊否定を回避するためには、経験の積み重ねが何より重要です。様々なパターンを学び、自分なりの分析手法を確立することが肝心です。
まとめ
本稿では、逆三尊否定について詳しく解説してきました。逆三尊は強力な買いシグナルですが、ダマシに注意する必要があります。ネックラインの特性、出来高の変化、時間軸の違いなどを総合的に分析し、エントリーのタイミングを見極めることが肝心です。また、ファンダメンタルズ分析やテクニカル指標の活用、経験の積み重ねも重要になってきます。
FX初心者の方は、自動売買システムの利用も一案です。設定さえすれば、システムが自動的に売買を行ってくれるため、手間がかからず、チャート分析の勉強にも役立ちます。
逆三尊は非常に魅力的なチャートパターンですが、ダマシのリスクも存在します。本稿で紹介した分析手法を参考に、しっかりとリスク管理をしながら取引を行っていきましょう。
ここから先は
¥ 550
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?