為替相場の周期的なリズムを捉えるサイクル理論の本質と活用術


サイクル理論は、為替市場の値動きに一定の規則性があり、その周期的なパターンを捉えることで相場の流れを読み取り、適切なエントリーポイントを見つけられるという理論です。この理論を活用すれば、チャートの動きを的確に分析し、収益機会を見逃さずに捉えることができます。本記事では、サイクル理論の基本概念から具体的な活用方法まで、詳細に解説していきます。

サイクル理論の基礎知識

サイクルとは何か

為替市場は常に上昇と下落を繰り返しており、この一連の動きを「サイクル」と呼びます。サイクル理論はこのサイクルに注目し、その規則性を見つけ出して取引に活かそうとする手法です。サイクルには短期的なものから長期的なものまであり、トレーダーは自身のトレードスタイルに合わせてサイクルの種類を使い分けることができます。

よく使われるサイクルの種類

  • 4Hサイクル:5~8日程度を1周期とし、主に4時間足のチャートで確認します。デイトレーダーに人気があります。

  • メジャーサイクル:20~35日を1周期とし、日足チャートで分析に使われます。

  • プライマリーサイクル:18~30週間を1周期とし、週足チャートで確認します。スイングトレーダーが活用しています。

サイクルの数え方

サイクル理論では、安値(ボトム)から次の安値までを1つのサイクルとしてカウントします。ローソク足の本数でサイクルの周期を数えますが、必ずしも一定の本数で規則的に形成されるわけではありません。おおよその目安として、4Hサイクルなら60~80本前後、メジャーサイクルなら35~45本前後、プライマリーサイクルなら15~21本前後を1周期としています。

サイクル理論の2大原則

サイクル理論には、「ライトトランスレーション」と「レフトトランスレーション」の2つの基本原則があります。これらのパターンを理解することで、現在の相場環境を的確に把握し、適切な売買シグナルを見つけられるようになります。

ライトトランスレーション

ライトトランスレーションとは、サイクルの取引開始時の安値よりも高い価格で次の安値が訪れるパターンのことです。サイクルの中間より時系列で後方に高値が位置するのが特徴です。チャート上では右寄りの山形が形成されるため、この名称が付けられています。

ライトトランスレーションが形成されているときは、上昇トレンドにあり買いの優位性が高い状態です。サイクルを見つけた後、安値を更新していないことを確認し、次の安値で買い注文を入れるのが一般的です。また、起点の安値を割り込んで新たな安値を付けた場合は、損切りのタイミングとなります。

レフトトランスレーション

レフトトランスレーションは、サイクルの取引開始時の安値よりも低い価格で次の安値が訪れるパターンを指します。高値がサイクルの中間より前方に位置するのが特徴的で、チャート上では左寄りの山形になります。

レフトトランスレーションが現れているときは、下降トレンドにあり売りの優位性が高い状態と判断できます。サイクルを確認した上で高値を更新していないことを確かめ、次の高値で売り注文を出すのが基本的な手順です。ただし、起点の高値を上回って新たな高値を付けた場合は、すぐに損切りすべきでしょう。

これらの2大原則を理解することで、現在の相場がどのようなサイクルの局面にあるのかを把握でき、売買のタイミングを見極められるようになります。

サイクル内の波動パターン

サイクル理論では、1つのサイクルの中に「上昇5波・下降3波」という一連の波動パターンが存在すると考えられています。各波動の性質を理解しておくと、より適切なエントリーポイントを見つけやすくなります。

上昇5波

  • 第1波:下降からの転換初動の波で、エントリーは難しい。

  • 第2波:第1波の調整下落で、フィボナッチリトレースメントの50%または61.8%で反発することが多い。

  • 第3波:一番取りたい大きな上昇波。第1波と第2波のフィボナッチエクスパンションの161.8%や261.8%が目安。

  • 第4波:第3波に対する調整下落で、第1波の高値付近で反転することが多い。

  • 第5波:最後の天井をつけにいく波だが、第3波が短ければ大きくなる可能性もある。

下降3波

  • 第1波(A波):上昇5波の調整下落で、エントリーは難しい。

  • 第2波(B波):下降の第1波で上昇トレンドが終わらないと判断される買いの波。

  • 第3波(C波):下降第1波の安値を更新すれば一気に伸びる可能性があり、ここを狙うトレーダーが多い。

これらの波動パターンを把握しておけば、現在の局面を正しく認識でき、より確度の高いエントリーチャンスを見逃さずに捉えられるようになります。

エクステンションとは

実際の相場では、サイクル理論の典型的なパターンから外れる「エクステンション(延長)」が起こることがあります。エクステンションとは、第1波、第3波、第5波のいずれかが通常より長く延びる現象のことです。

エクステンションが発生すると、波動のカウントが難しくなる場合があります。延長された波の中に、さらに小さな5つの波が入れ子状に現れるパターンが多く見られます。エクステンションを見逃さずに認識できれば、相場の流れをより正確に捉えられますが、リアルタイムでの判断は非常に難しいでしょう。

フィボナッチとの関連性

サイクル理論の分析では、フィボナッチリトレースメントやフィボナッチエクスパンションの活用が不可欠です。フィボナッチリトレースメントを使えば、上昇相場での一時的な下落(押し目)や下落相場での一時的な上昇(戻り)を予測しやすくなります。

フィボナッチリトレースメントでは、直近の安値から高値までの値幅に対して0%、23.6%、38.2%、50%、61.8%、76.4%、100%の比率の水平線を引きます。特に23.6%、38.2%、61.8%のラインが注目されており、これらのレベルが下値支持線や上値抵抗線になりやすいと言われています。

一方、フィボナッチエクスパンションは、第1波と第2波の伸びしろを予測するのに役立ちます。第3波は第1波と第2波のフィボナッチエクスパンションの161.8%や261.8%あたりが目安となります。

このようにフィボナッチ理論を組み合わせることで、サイクル理論をより実践的に活用できるようになります。

エントリーとエグジットのタイミング

主なエントリーポイント

上昇5波での狙い目:

  • 第1波の高値更新時

  • 第2波の反発時

  • 第4波が第1波の高値付近で反転する時

下降3波での狙い目:

  • 下降第2波(B波)の終了と判断されたら、その反発下降を狙う

利確と損切りのタイミング

利確のタイミングとしては、上昇5波の場合は第1波のフィボナッチエクスパンション161.8%や261.8%あたりが目安になります。第5波でエントリーした場合は、第3波の高値付近で利確を検討しましょう。

一方、下降3波に関しては一概には言えません。相場ごとに判断する必要があります。

損切りのタイミングは、ライトトランスレーションの場合は起点の安値を下抜けた時、レフトトランスレーションなら起点の高値を上抜けた時が基準となります。

実践的な活用方法

サイクル理論は、単独で使うよりも他の手法と組み合わせて活用するのが賢明です。チャートのパターン認識や移動平均線、ボリンジャーバンドなどのインジケーターと合わせて利用すれば、より確度の高い売買シグナルを見つけられるようになります。

まずは大きなサイクルから分析を行い、上位足で形成されているサイクルを把握します。その上で下位足のサイクルを確認し、フィボナッチなども活用しながらエントリーチャンスを探っていきましょう。

サイクル理論を実践で活かすには、過去のチャートでサイクルのパターンを数多く確認する練習が不可欠です。理論を頭で理解するだけでなく、実際のチャートに当てはめながら経験を重ねることが大切になります。

注意点とまとめ

サイクル理論は強力な分析手法ですが、過信は禁物です。理論通りにはいかない場合も多々あり、それ自体が唯一の根拠になるべきではありません。他の指標と組み合わせて総合的に判断することが賢明でしょう。

また、サイクル理論をマスターするには、相場経験を積む必要があります。初心者の段階では理解が難しい部分もあるかもしれません。そういった場合は一旦置いておき、実践を重ねながら徐々に吸収していくことをおすすめします。

本記事でサイクル理論の全体像が掴めたでしょうか。為替市場の値動きには一定のリズムやパターンが存在します。サイクル理論を武器に、それらを的確に捉えられるようになれば、収益機会を確実に掴めるはずです。理論の理解を深め、実践を重ねることで、さらなるスキルアップを目指しましょう。

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