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BDDNEWSレター 2021.3.15 NO.41

◇◆◇後発開発途上国からの卒業◇◆◇

 バングラデシュは、国連からLDC(Least Developed Country:後発開発途上国)に認定されている。LDCからの卒業は、一人あたりのGNI(国民総所得)、人的資源開発指標(健康指標、教育指標)、経済脆弱性指標(外的環境指標、耐衝撃指標)のうち、2つ以上の基準を満たしたうえで、一人当たりのGNIが2460ドル(基準値の2倍)以上となることが条件だ。

 先日行われた2021年審査。バングラデシュは国連開発政策委員会から、後発開発途上国(LDC)を卒業し、発展途上国に昇格するよう勧告を受けた。これにより、最速で2024年にLDCを卒業することになる。
 
 経済発展が認められたことは喜ばしい反面、貿易特恵事項などの恩恵は手放すことになる。現地新聞では今月、卒LDCを見据えた記事が紙面を賑わせた。

【卒LDCで輸出収益減少か】

卒LDCで輸出収益減少か

 著名な経済学者デバプリオ・バタチャリア博士は、バングラデシュが後発開発途上国(LDC)の地位を卒業した後、様々な優遇や特権を失うと述べた。

 これらには、輸出市場への無税・無割当(DFQF)アクセスの損失などが含まれる。

 国連開発政策委員会のメンバーであるバタチャリア氏は、SDGsのための市民プラットフォームバングラデシュが開催した「LDC卒業:何をする?」と題したウェブ会議に参加し、貧困国クラブを脱退した後のバングラデシュの課題と進むべき道について講演した。

 政策対話センター(CPD)の著名フェローでもあるバタチャリア氏によると、バングラデシュは様々な市場の優位性を失うことの他、新型コロナパンデミックやロヒンギャ移住・送還問題の対処という課題に直面することになると述べた。

 また、不平等の解消や良好なガバナンス確保も大きな課題になるとした。

 そのうえで、今後5年間とそれ以降に向けて、政府が堅牢な卒LDC移行戦略を策定することや、経済の多様化、技術開発、労働生産性向上を目指す必要性を指摘した。

Financial Express Feb 28 2021

【LDC卒業に向けて】

LDC卒業に向けて

 卒LDC(後発開発途上国)時代、バングラデシュは貿易特権を失い、輸出関税問題に直面するため、グローバルな競争力を高めるには、国内事業のコスト削減が必要だと、著名エコノミストが述べた。

 「LDC卒業後も国際市場で競争力を維持するには、国内市場のコストを削減し、相殺しなければならないでしょう」
 政策対話センター(CPD)の著名研究員ムスタフィズル・ラーマン氏は述べた。

 また、早急な対策として、バングラデシュはカナダや日本、中国、インドなどの主要貿易相手国とパートナーシップを結び、EUと同様の市場アクセス優遇措置を拡大すべきだとした。

 EUは2026年以降、さらに3年間の関税優遇措置を継続する。

 バングラデシュは5年間の優遇措置延長を目指して、主要貿易相手国と交渉すべきだ。それが難しい場合、少なくともEUが提示した3年間の延長は確保したいとラーマン氏。

 「同様に、インドと包括的経済連携協定の締結を積極的に推進し、関税優遇措置を受けられるようにすべきです」

 ラーマン氏は、CPDが主催する「LDCグループからの脱却:勢いのある卒業戦略」をテーマにしたウェブ対話集会で基調講演を行った。

 集会には大臣や政府高官、研究者、政策立案者、輸出業者、企業家らが参加した。

 ラーマン氏はまた、バングラデシュがLDC卒業後も安価な医薬品を生産し続けることができるよう、医薬品成分(API)パークを早急に機能させるなどの対策を講じるよう呼びかけた。

 知的所有権の貿易関連の側面(TRIPs)に関する協定が失効した後、国民は現在の8倍の価格でインスリンを購入しなければならなくなる。また、国内市場の薬価も値上がりするとした。

 バングラデシュはAPIパークを整備するため、2008年に10億タカ(13.2億円)のプロジェクトを開始した。パークは2023年から稼働する予定だ。

 国内製薬会社はAPIパークが機能しなければ、10億ドル(1110億円)の原料を輸入しなければならなくなるという。

 バングラデシュの輸出の約70%は、世界トップクラスの特恵関税にカバーされている。そのため、卒LDC国の中で最も高い関税の上昇に直面することになる。

The Daily Star Mar 5 2021

【南アジアの経済強靭国】

南アジアの経済強靭国

 米ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は、国連の後発開発途上国(LDC)卒業をきっかけに、バングラデシュの近年の経済成長を称賛している。

 バングラデシュは独立50周年を迎えるにあたり、国連開発政策委員会から発展途上国に昇格するよう勧告を受けた。

 WSJは「バングラデシュは南アジアの経済的強靭国になる」と題した記事の中で、バングラデシュを「韓国や中国、ベトナムなどに見られる成功した開発モデルに最も近い国」と評価した。同紙によれば、輸出主導の開発は、非常に低い所得水準から中所得水準国に移行させる方法として、最も優れた実績を持つという。

 記事では、輸出や一人当たりのGDPがわずかに低いインドやパキスタンと比較して、バングラデシュの進歩を強調している。

 過去10年間で輸出が80%伸びたことについては、衣料品産業の好景気が牽引したと指摘した。また、バングラデシュの開発モデルが成功した理由として、人口構造が非常に若く、賃金面の競争力があり、他の南アジア地域より女性の労働参加率が高いことを挙げた。

 とはいえ、バングラデシュの経済成長は、過去10年間で輸出が3倍以上と2倍以上に増加したベトナムやカンボジアを大きく下回っている。

 WSJによれば、インドの輸出も2000年代前半にブームになった後に停滞しており、今後も上昇傾向が続く保証はないという。そのうえで、バングラデシュはベトナムを見習って、より価値の高い製造業や輸出業に移行する必要があるとした。

 バングラデシュはアジアの主要貿易圏からは外れているものの、製造業の輸出を多様化するため、アジア域内のサプライチェーンへの参加を拡大し、東側の隣国との経済関係を緊密にする必要がある。

Financial Express Mar 5 2021

【LDC認定と卒業タイムライン】

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2014年からBDD(バングラデシュデジタル)ニュースというサイトを運営しています。noteマガジンでは現地新聞3社の記事をもとに、バングラデシュの今や昔がわかるコラムや記事、経済指標を載せています。