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BDDNEWSレター 2023.5.1 NO.92

◇◆◇アジアへの輸出◇◆◇

【アジアへの輸出急成長】

 複数の主要市場の需要が増加しているおかげで、バングラデシュのアジア市場への輸出は着実に成長しているが、今後、貿易協定に署名し、製品を多様化する必要があると、輸出業者らは述べた。

 現会計年度(FY23)の7ー3月期、輸出業者はアジア各国に対し、前年同期の45.4億ドル(6118億円)から16%増、52.6億ドル(7088億円)の商品を輸出した。

 輸出促進局 (EPB) のデータによると、アジア市場の伸びは輸出全体の伸びである8%の2倍となり、全輸出収入に対するアジアのシェアは12%から13%に増加した。

 アジアへの輸出は主にコロナパンデミックの影響で、2019-20会計年度から減少、その傾向は2021-22会計年度まで続いていた。

 輸出業者はこの好調さの原因として、免税特典、欧米以外の市場への輸出促進を目的とした政府の4%インセンティブ、輸出業者及び輸入業者間の信頼とビジネス関係の向上を挙げた。

 「アジア市場の見通しは良好です。 しかし、課題もあります。 バイヤーは非常に品質を重視しますし、多様な製品に対する需要が高いのです」
 バングラデシュで急成長する衣料品輸出業者、パシフィック・ジーンズ・グループのサイード・モハムマド タンヴィル社長は述べた。

 インドはアジアにおけるバングラデシュ最大の輸出市場で、日本、韓国、中国、マレーシアが続く。この5市場でアジアへの輸出収入の5分の4を占める。

 輸出先のうち、韓国やインド、マレーシア、日本は、金額と割合が急速に増加している。過去5年間で韓国への輸出は78%、インドへの輸出は70%増えた。

 マレーシアへの輸出は2018-19年以降45%、日本は35%増加した。唯一の例外は中国で、26%の減少となった。

 バングラデシュ・ニットウェア製造輸出業協会(BKMEA)元会長のMdファズルル・ホック氏は、アジア市場でバングラデシュの知名度は高まっているという。

 「かつて、インドのバイヤーは私たちの製品の購入に熱心ではありませんでした。また、支払いの問題により、輸出業者の間でも熱意が欠けていました」

 「今ではバイヤーの理解が深まり、ビジネスが拡大しています。私たちの間の信頼関係も高まっています」
 環境に優しいニットウェアメーカー、プラムミー・ファッション(Plummy Fashions)の社長でもあるホック氏は述べた。

 FY23の7-3月期、バングラデシュはインドから前年同期比11%増の16.9億ドル(2277億円)の輸出収入を得た。そのうち、アパレル輸出は8.3億ドル(1118億円)で、前年同期比で58%増加したと、バングラデシュ衣料品製造輸出業協会(BGMEA)のデータは示している。

 FY23の7-3月期、アジアで2番目に大きな輸出先である日本は、前年同期比40%増の14.5億ドル(1954億円)の商品を輸入した。

 政策対話センターのコンドカル・ゴラム・モアッゼム調査部長は、輸出の多様化を目指すバングラデシュにとって、アジア市場に目を向けることは良いことだという。

 また、化学、エンジン部品、農産品輸出は、複数のアジア市場で伸びているとしたうえで、インドと中国を除くすべてのアジア市場で、免税市場アクセスがないことは課題だと述べた。

 「日本と韓国は一部の製品について関税ゼロを提供しています。しかし、現地での付加価値の基準は高く、対応することはかなり困難です」

 バングラデシュの競合国の多くは、ASEANや地域包括的経済連携などの地域貿易協定の一部を構成し、地域内輸出で関税の恩恵を受けている。

 「私たちは貿易協定に入っていないため、恩恵を受けることはできません。輸出の可能性を引き出すには、地域貿易協定に参加するか、主要国との二国間貿易協定に署名する必要があります」
 モアッザム氏は述べた。

 バングラデシュは2026年に後発開発途上国(LDC)グループから卒業後、先進市場への優先的なアクセスを失うことが予想されるため、関税問題は今後さらに注目される。例えば、日本への輸出は8~11%の関税に直面する可能性がある。

 「免税のメリットがなければ、遅れをとることになるでしょう。競争力を維持するためには貿易協定に署名する必要があります」
 パシフィック・ジーンズのタンヴィル氏は述べた。

The Daily Star Apr 19 2023

■アジア市場への輸出推移

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