
BDDNEWSレター 2021.5.1 NO.44
◇◆◇コロナ禍のバングラデシュ◇◆◇
バングラデシュの新型コロナウィルスの陽性(感染)率は、20%台だった4月上・中旬より低下傾向が見られるが、依然として10%以上の感染率、3千人近くの感染者となっている。(29日、感染率が10%を下回りました)
そんな中、バングラデシュは4月14日にベンガル新年(ボヘラ・ボイシャック)を迎えた。今年は同じ日にイスラム教徒が断食や禁欲で身を清める聖なる「ラマダン」月も始まった。例年であれば大いに盛り上がるところだが、今年は新型コロナウィルスの影響で行事の中止や、制限付きとなっている。
コロナ禍で成長した産業、停滞或いはマイナス成長の産業を含め、コロナ禍のバングラデシュを見ていきたい。
【新年の行進中止】
ダッカ大学は新型コロナウィルス感染者の急激な高まりを考慮し、ベンガル新年(ボヘラ・ボイシャック)を祝うために大学内をカラフルなレプリカと一緒に練り歩くマンガル・ショブハジャトラを中止することを正式に決定した。
マンガル・ショブハジャトラは、ダッカ大学芸術学部の学生が1989年から開催している行事だ。2016年にユネスコの無形文化遺産に登録され、ボヘラ・ボイシャックの代表的なイベントとなっている。
Financial Express Apr 13 2021
■ベンガル(バングラデシュ)新年とは?
ムガルのアクバル皇帝は、現在は大半がバングラデシュである当時の「スバン・バングラ」地域の土地税徴収のタイミングを合理化するため、グレゴリオ暦1556年にベンガル暦を導入した。
爾来、この日(4月14日)はベンガル新年、そして国民の祝日となった。
夜明け、タゴールの有名な「エショ ヘイ ボイシャック エショ エショ(ボイシャックがやって来る)」の歌と共に、クハヤノート(Chhayanaut)の芸術家たちを歓迎して祝祭は始まる。
全国各地の商人や店主は新年初日にハルカタ(新しい帳簿)を開き、菓子を配って客や訪問者をもてなす。
伝統的な衣装を着た人々、とりわけ若者が夜明けと共に通りへやってくる。
国民はベンガル文化の豊かな伝統に従って、揚げたヒルサ(魚)、レンズ豆、青唐辛子、タマネギのパンタ・バット(おかゆ)を、家庭やレストランや市場で食べる。
祝祭の一環として、ダッカ大学芸術学部の学生は、1989年からマンガル・ショブ・ハジャトラという希望の行進を始めた。大きな洪水や軍事政権の圧力にさらされた当時の暗い世相の中、未来の希望を夢見て、鳥やカメ、ウサギ、トラ、フクロウ、ゾウのレプリカや、巨大でカラフルなお面と一緒に行進したのだ。
希望の行進は毎年続き、2016年には、邪悪な力と闘うための力と勇気、真実や正義の擁護、そしてバングラデシュ人の誇りの象徴と評価され、ユネスコの代表的な人類無形文化遺産リストに登録された。
【ラマダン制限付きで始まる】
13日夕、新たな三日月が姿を現したことで、イスラム教徒が断食や禁欲で身を清める聖なる月「ラマダン」がバングラデシュで4月14日から始まることが決まった。これにより、5月9日には「ライラトゥル・カドゥル(Lailatul Qadr)」と呼ばれる神の祝福と祝祷の夜が訪れる。
決定は、ファリドゥル・ホック・カーン宗教相が議長を務め、イスラム財団のオフィスで開催された国家月観測委員会で下された。
コロナ禍の今年、1カ所のモスクでタラビの祈りと1日5回の祈りに参加できるのは、カーティブ、イマーム、ハーフェズ、ムエジン、カーディムを含めて最大20人。また、感染拡大防止のため、今年はモスクでのイフタールやセヘリは行われない。
The Daily Star Apr 14 2021
■ラマダンの過ごし方
イスラム暦第9月、聖なるラマダンが4月14日に始まりました。イスラム教徒はこれからおよそ一カ月にわたり、日の出から日没まで断食を行います。ラマダン中、イスラム教徒はこんな一日を過ごします。
・日の出
・昼の礼拝(ズフル)
・午後の礼拝(アスル)
・日没礼拝(マグリブ)
・日没後の食事(イフタール)
・夜の礼拝(イシャー)
・夜の食事(ディナー)
・夜明け前の食事(セヘリ)
・黎明の礼拝(ファジュル)
・日の出
日没後最初の食事はイフタールと呼ばれ、家族や友人、知人と一緒に頂く楽しいもの。しかし今年はコロナ禍のために制限されています。
伝統的なイフタールは水を飲み、ナツメヤシの実(ダーツ)で胃を慣らすことから始まります。国によって違いますが、バングラデシュではムリ(ポン菓子のようなもの)、チョーラ(カレーの1種)やベグーニ(ナスの揚げ物)、ピアジュ(タマネギとレンズ豆の揚げ物)、ハリーム(肉入りシチュー)などを食べます。その後22時前後にディナーをとり、夜明け前に最後(最初?)食事セヘリをとります。断食中といえども、日没から夜明けまでしっかり三食とるのが基本です。
【タバコ 医薬品などでVAT増加】
現会計年度当初9カ月(7~3月)、コロナ禍で国内経済が混乱したにもかかわらず、タバコ、医薬品、携帯電話の3産業は、政府の歳入徴収活動に目覚ましい貢献をした。
これら3産業のおかげで、大口納税者からの付加価値税(VAT)徴収額は9.17%増加したと関係者は述べた。タバコが例年通り、最大の貢献者となった。
公式データによると、大規模納税者ユニット(LTU)からのVAT徴収額は、3月だけで前年同月比15%増となった。
タバコからのVAT徴収額は3月だけで270億タカ(356.8億円)、コロナ禍で使用が大幅に増加したため、携帯電話産業からの徴収額も80億タカ(105.7億円)となった。同様に、医薬品や衛生用品がこれまでより多く購入されたことで、製薬会社は多くのVATを支払った。
LTUのワヒダ・ラーマン・チョードリー理事は、ロックダウンが続くことで、4月以降のVAT徴収が心配だという。大規模高級ホテルやレストランなどはコロナ禍で深刻な打撃を受けたからだ。
だが、工場や銀行、保険会社などはロックダウン中も営業を続けていたことから、VAT徴収額は増加するとの見通しを示した。
暫定データによると、LTUは目標としていた4693.2億タカ(6201.7億円)のVAT徴収に対し、3620.9億タカ(4784.8億円)にとどまった。だが、これは過去3年の同時期と比較すると記録的な数字となっている。
国家歳入庁(NBR)の徴収は今年度一部の月でマイナスとなったが、LTUのVAT徴収額はこの9カ月間、増加傾向を維持し続けた。
Financial Express Apr 20 2021
【菓子メーカーに苦い新年】
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