BCPの勘所(対象リスクの選択)

対象リスクの選択

という事で、地震、水害、パンデミック、噴火、停電、システム障害等々
様々なリスクがありますが、先ずは地震を選択することを勧めします。
というのも地震は、全ての経営資源に影響があるからです。
私は地震を想定してBCP策定のお手伝いをしていますので、地震発生時の被害想定を書いてみます。

地震というと、四国、九州、中国、近畿、東海地方に甚大な被害が出る南海トラフ巨大地震がありますが、全ての都道府県で、想定地震があります。
一度、自薬局所在地の行政のホームページから「○○○県 想定地震」で検索してみてください。東日本大震災後、全ての都道府県で想定する地震を明確にしています。それ以前に海溝型地震、活断層地震の発生が想定されていない県などでは県庁直下型地震と銘打って地震を想定するようになっています。それだけ、東日本大震災は大震災だったという事でしょう。

想定地震が発生した際、人的被害、社会インフラ被害もそれぞれで想定していますが、停電率、断水率等と表現される場合が多いです。
自宅がある住所で停電率75%と言われても、なかなかイメージできませんよね。

そこで過去の実績などから社会インフラの被害想定をまとめてみました。

  • 電気:3日~7日停電

  • 上下水道・ガス:1ヶ月以上使用不可

  • 固定電話・携帯電話(音声):2週間輻輳(ふくそう)で通話困難

  • インターネット:1日使用困難

  • 公共交通機関:7日以上使用不可

  • 道路・橋:7日以上交通規制で通行困難

電気

3日~7日停電としていますが、東日本大震災後、計画停電があった場所は7日以上停電します。これは、その地域に重要な施設が無いという事で後回しになるからです。なので、計画停電が無かった地域は3日程度で復電する可能性があります。また、官公庁が集まっている東京都千代田区あたりは、きっと1日も停電にならないと思います。

上下水道・ガス

水道管・排水管・ガス管は地中に埋まっていますので、復旧には時間がかかります。人間に必要な上水も断水します。たとえ断水が解消しても、排水管がどこで壊れているか分からない場合、排水はできません。どちらも復旧しない限り元のようにお水が使えないとなります。ガスについて、あるガス会社の方が「ガス管はとにかく折れないような構造なので大地震が発生しても大丈夫です。」と話していました。がしかい、ガス管は無事でもガス漏れの確認するために、やはりガスを止めるので1ヶ月以上はガスは供給されないでしょう。プロパンガスを使用している場合、プロパンガスから屋内に繋がるガス管に漏れが無ければ使えます。私の自宅は、プロパンなので地震後、家に引き込むガス管に漏れが無ければ、とりあえず暖かいものは食べられそうです。

固定電話・携帯電話(音声)

固定電話、携帯電話(スマホ)の音声、要は通話です。輻輳(ふくそう)とは電波の交通渋滞となり繋がりにくくなる状態です。被災地での緊急連絡や、被災地外にいる親せきなどから心配になりダイヤルするため、平時より使用量が莫大に増えるために発生します。地震発生後、報道番組などでも、「緊急以外では被災地に電話連絡はお控えください」とアナウンスされます。実は、ショートメッセージも同じ電波帯を使っているので、繋がり難くなります。

インターネット

インターネットは元々軍事用に開発されたネットワークなので、基本強いです。東日本大震災後、重要なアンテナ基地局はアンテナ本体や建屋を補強し、自家発電機の燃料容量をアップしたりしていますので、発災当日は繋がったり切れたりしますが、翌日には安定すると言われています。なので、安否確認ツールはインターネットを使用するツールを選択した方が良いと思います。

公共交通機関

電車、バス等は、安全を確認できるまで運休となります。都内だとJRに私鉄や地下鉄等複数の路線がありますので、全ての安全を確認できるまでに時間がかかると思います。もちろん部分開通はあると思いますが、それでは複数の路線が地上に地下にと走っていますので、復旧したらラッキーと考えるほうが良いと思います。

道路・橋

揺れで道路の陥没や橋が崩壊するなどがありますが、警察が交通規制を実施し緊急車両を優先としますので一般車は通行不可となります。
ちなみに、阪神淡路大震災時、一般車が道路を埋め尽くしたため緊急車両が通行困難となり救える命も救えないという状況になったので、その後、国交省が日本全国の建設会社などが災害時協定を締結しています。その内容は、災害発生後、その会社から近くにある国道や県道を速やかに決められた範囲を、車1台が通行可能になるようにガレキの撤去をするというものです。建設会社のBCP策定のお手伝いをしたことがありますが、その会社は災害時協定を速やかに実行するために、BCP策定に踏み切ったとの事です。実物の災害時協定を見させてもらいましたが、阪神淡路大震災後になりますので、色あせて端っこは破れたりしていた協定書でした。

次は、BCP勘所には書き漏れていた業務影響度分析を書きますね。
ではでは、あとからやぁ~

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?