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ビットコイン・デイリーレポート2024.7.8(2024.7.5-7)大口売却懸念を背景に3月以降の下限レンジを割り込み53,500ドルまで急落

株式会社B.C.Aマネージメント
市場調査室
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市況概況(ビットコイン)
 5日のビットコインは続落。BTCUSDは前日の流れを引き継ぐなかアジア時間帯に急落。ドイツや米国などの政府系の売却懸念、2014年に破綻したマウント・ゴックス社(Mt社)の弁済開始による債権者の売却懸念を受けたパニック的な売りに53,500ドル付近まで急落した。また、複数の休眠していた大口のビットコイン保有者(クジラ)のウォレットが再び動き出したことも売却に対する市場の警戒感を強める要因になったと見られる。オンチェーンインテリジェンスプロバイダーであるアーカム・インテリジェンス(Arkham)によると5日(日本時間5日9時27分ごろ)、Mt社のコールド・ウォレットから47,229 BTCのビットコインがその時点で特定されていなかったアドレス(その後Mt社の別のウォレットと判明、1L7・・)へ送金された。その後、同ウォレットから2702BTCがMt社のコールド・ウォレットに戻され、その他複数のMt社の別のウォレットへの送金が確認された。また、そのうち1545BTCがBitbankへ送金された。尚、BitbankやSBIVCはMt社の債権者代理受領業務に指定されている。同じく、Arkhamによると5~6日にかけて、ドイツの政府機関・連邦刑事警察庁(BKA)は犯罪収益として押収したビットコインを複数のアドレスへ送金した。まず、特定されていないアドレス(139PoPE1b・・・)へ500BTC、次に700BTC、時間開けて700BTCと3回に分けて送金。その間にはFlow Tradersへ547.439BTCを送金した。これらの送金後のBKAのウォレットには39,826BTCが保管されている。一方、BKAの売却について4日、トロン(TRX)・ブロックチェーンの創設者ジャスティン・サン氏が自身のSNS上で、「市場への影響を最小限に抑えるため、(BKAが保有する)すべてのBTCを市場外(OTC)で自身が購入できるようにドイツ政府と交渉する」と述べていたが、これに対しBKAは公式・非公式含めてコメントを公表していない。前日には同氏の発言後にBKAが取引所へ送金していた一部のビットコインをBKAのウォレットへ戻す動きも見られたが、この日も売却の為と思われる送金が続いており、同氏の提案が受け入れられる可能性は低いと見られる。このようにアジア時間帯は今年3月以降の下限レンジ56,500ドルを割り込んだが、欧州時間帯に入るとパニック的な売りも一巡、米雇用統計の発表を控え54,000ドル付近で下げ渋る展開となった。米労働省が5日に公表した6月の雇用統計では、非農業部門雇用者数は前月比20万6000人増となり、市場予想の19万人増を上回ったが、5月の非農業部門雇用者数は前月比27万2000人増から21万8000人増へ、4月も同16万5000人増から10万8000人増へそれぞれ下方改定された。平均時給は前月比0.3%増となり、前月の0.4%増から鈍化し、市場予想の0.3%増と一致。失業率は4.1%、前月の4.0%から悪化し市場予想の4.0%を上回った。これらの結果を受けて米連邦準備理事会(FRB)による年内の利下げ期待が高まるなかニューヨーク株式市場は主要3指数(ダウ工業平均、S&P500、ナスダック)が揃って上昇。そのうちS&P、ナスダックは史上最高値を更新した。外国為替市場ではドルが主要通貨に対し全面安となった。これらのリスク選好ムードを背景にBTCUSDは安値修正となり56,000ドル台を回復した。
 土曜日から日曜日にかけては58,000ドル台まで戻す場面も見られた。NYクローズ後に数字の出そろった米国で上場されているスポットビットコイン上場投資信託(ETF)の1日のトータルキャッシュフロー推計値が2営業日ぶりに流入へと転じ、1億4309万ドルの流入となったことが支援要因になった。また、週間ベースでは6月3日の週以来、約1カ月ぶりのプラスとなった。ただし、その後安値修正の動きが一巡すると58,500ドルを上値抵抗に緩やかに下落し、現在は56,000ドル台中盤で取引されている。

※5日のスポットビットコインETFのトータルキャッシュフロー推計値はプラス1億4309万ドル。

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