ビットコイン・デイリーレポート2024.7.5(2024.7.4)BKAは3000BTCを送金後、1915BTCを自身のウォレットに戻す
株式会社B.C.Aマネージメント
市場調査室
暗号資産グループ
市況概況(ビットコイン)
4日のビットコインは続落。BTCUSDは前日の流れを引き継ぐなかアジア時間帯から軟調。ドイツや米国などの政府系の売却懸念、2014年に破綻したマウント・ゴックス社の弁済開始による債権者の売却懸念ほか、複数の休眠していた大口のビットコイン保有者(クジラ)のウォレットが再び動き出したことによるそれらの売却懸念などを背景にロングポジションの清算が続いている。特にデリバティブのロングポジションはcoinglassのデータによると過去24時間で9200万ドルの清算が発生した。尚、暗号資産全体では3億ドル超のロングポジションの清算が発生している。また、アジア時間帯に数字の出そろった米国で上場されているスポットビットコイン上場投資信託(ETF)の3日のトータルキャッシュフロー推計値はマイナス2044万ドルとなり、2営業日連続でマイナスを記録したことも売り圧力を強める要因になった。
その後、欧州時間帯に入るとドイツ政府の取引所へのビットコインの送金が前日に続き確認されたことを受け下げ幅拡大する展開となり、米国時間帯には57,000ドルを割り込み56,800ドル付近まで下落した。オンチェーンインテリジェンスプロバイダーであるアーカム・インテリジェンス(Arkham)によると4日(日本時間4日17時ごろ)、ドイツの政府機関・連邦刑事警察庁(BKA)は犯罪収益として押収したビットコインを複数のアドレスへ送金した。内訳は特定されていないアドレス(139PoPE1b・・・)へ1700BTC、Bitstampへは500BTC、Coinbase へは400 BTC、Kraken へは 400 BTCが送金された。この日のBKAは合計3000BTCを送金し、現在BKAのウォレットには40,359BTCが保管されている。また、同日(日本時間4日19時ごろ)、米政府はビットコインを特定されていないアドレス(bc1qvc・・・)へ237BTCを送金したことも確認されている。尚、現在このウォレットにはビットコインが213,297のBTC、イーサリアムが50,524ETHの他複数の暗号資産が保管されている。この日はマウント・ゴックス社の3回の送金も確認されている。ただ、0.00005083BTC、0.00000546BTC、0.00040047BTCといずれも少額であり、何らかの送金テストと見られる。
一方、この日は、米国市場が独立記念日の為休場となったものの、金融市場は引き続き米国の利下げ観測を背景としたリスク選考ムードが強まつており、日本株は日経平均、TOPIXとも終値ベースで最高値を更新。欧州株も上昇するなどリスクオンディールが続いた。また、外国為替市場でもドルが下落するなど、本来なら支援要因となるような環境が続いているが、複数の大口売却懸念が暗号資産市場を押し下げ独立した動きとなっており、市場センチメントは極端に悪化している。
ただ、米国時間帯終盤になってBKAが取引所から自身のウォレットへビットコインを入金したことが確認された。また、トロン(TRX)・ブロックチェーンの創設者ジャスティン・サン氏が自身のSNS上で、「市場への影響を最小限に抑えるため、(BKAが保有する)すべてのBTCを市場外(OTC)で自身が購入できるようにドイツ政府と交渉するつもりだ」と発表した。この発言を受けてBKAが取引所から自身のウォレットへのビットコインを戻したのかは定かではないが、売却への警戒感が幾分か和らいだことや安値修正の自律的反発でBTCUSDは58,000ドル台を回復している。Arkhamによると4日(日本時間5日3時ごろ)、BKAはBitstamp から80BTC、200BTCと2回に分けて自身のウォレットへ入金。Krakenからは265BTCを入金した。また特定されていない複数のウォレットからそれぞれ200BTC、395BTC、275BTC、500BTCがBKAのウォレットへ入金された。この日、BKAのウォレットへ入金されたビットコインの合計は1915BTC。この時点でのBKAのウォレットに保管されているビットコインは42,274BTCとなっている。
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