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"伝える"ということ

所詮人は一人で隣人でさえも何を考えているか分かったもんじゃない、というスタンスで生きているのですがそんな中でも誰か1人にでも伝えれることがあればという思いがあったので私はnoteを始めました。(いろんなことを書きすぎて迷走感もありますが。てんやわんやなnoteで申し訳ございません。)

昨今の世の中、すれ違いや気持ちを伝えれない事で悲しい結末を迎えてしまうことがあまりにも多いなあと何となく思います。そこで、偏った目線からとなりますが"伝える”ということについて深堀りしてみることにしました。

私の好きなヴィジュアル系というジャンルではファンメールはもちろん、"ファンレターを書く”という奥ゆかしい文化がまだ結構根深く残っています。(もちろん他のジャンルにも共通することですが)

始めて好きなバンドのライヴを観に行ったとき、ドキドキしながらその時好きだった曲についての感想とライヴが楽しみであることをファンレターに書いて差し入れボックスに入れました。当時はブログが主流だったので後日ブログの差し入れの写真に自分のファンレターがうつっていることで届いたんだという確認ができた事がとても嬉しかったことを覚えています。

その後も数多くのライヴに足を運ぶ際には必ず自分の推しにはお手紙を書いていくようにしていました、果たして読んでもらっているかは正直わからないけれど一方的にでも気持ちを伝えることが出来るという事がとても嬉しくて、それは今も変わりません。

本格的に1つのバンドに行き始めた頃、インストアイベントがありました、その時は大学在学中で似顔絵を描くことがとても好きだったのでメンバー全員分の似顔絵を描き、その裏にお手紙を書いて渡すことが出来ました。絵をほめてもらったことはもちろんですが、対面で握手をし、"ありがとう”というを言葉をもらえたことがとても嬉しかった事を鮮明に覚えています。現在そのバンドは解散してしまいましたが、メンバー個々の動向を察することが出来る状態なので一区切りである"解散”という最後までついていくことが出来てよかったなあといった感じです。このバンドではボーカルさんのファンだったのですが、彼の生き方や考え方、歌詞には散々救われてきたとおそらく一生思うでしょう。

私は基本的に手紙にはプラスになる事しか書きません、だって応援しているのに嫌な気持ちにさせるなんてとんでもないと思っているし、好きな人にはいつだって笑っていてほしいから。数々のバンドを好きになり、お手紙や似顔絵を書きまくりましたが"伝える事”の素晴らしさを感じたのは私が今も好きでもはや神格化している某ベーシストの方の存在です。現在彼はバンドをしていませんが作った曲を発表したりたまに配信をしてくれることが私の毎日の中の希望になっています。

散々いろいろなバンドを追いかけまわし、解散や脱退を一通り経験し、もう生身の人間なんてたまったもんじゃない!そうだ二次元は裏切らないし某バスケ漫画のおたくになろう!と週3でアニメ●イトに通いほとんどライヴに行かなくなりかけた頃、大学生活後半と卒業後の数年間の大半を捧げたといっても過言ではないバンドのドラムが東京で新しいバンドを組み、大阪にインストアイベントに来る、とのことだったので久しぶりにCD欲しいしついでに顔だけでも見に行くかと友人と一緒にイベントに行きました。(イベント前にライヴがあったそうなのですが京都のデパートで期間限定のお洒落りんご飴を買っていた私にはそんな時間はありませんでした。シナモンがごりっごりにかかったお洒落りんご飴を5つ入れた紙袋を持ちながらギリギリでショップイベントへ)懐かしいドラムの顔、そしてその隣に見つけてしまった、絵に描いたような王子様を。

"まってめちゃくちゃかっこよくない何あの子誰?”と超超超ウィスパーボイスで友人を小突きまくった挙句名前を教えてもらい、え、字面すら可愛い。と思った時に私の運命は変わりました。(ファーストインパクトでかわいい、と思ったとき人は終わるのです)天から降ってきたんか?と思うくらい整った顔の癖に彼がおにぎりの話をしていたのを覚えています。(今思えば私が適当に書いた『好きなおにぎりの具はありますか』、というくそみたいな質問のせいでした。うわあ本当に最悪。)うんうんおにぎりってかわいいよね、私おにぎりでは梅かおかかが好きよ。なんてことを思いながらなんとその日は握手とサイン会、ドラム以外激しく面識がないしなんかキラッキラの王子様おるしとテンパりながらギターの兄弟(兄弟でギターでした)と握手、何話そう、そうだあのかっこいい人の事話そうと頭のねじが数本ぶっ飛んでいた私を変人認定させない為に友人が"この後の子ドラムの元バンドのファンでちょっとぶっ飛んでていまさっき●●くんに一目ぼれして更におかしい状態なんですけど優しくしてあげてください”と根回しをしてくれました、神か。てか軽く悪口。

ギターの兄貴の方は何を思ったのか私が持っていた紙袋を差し入れと勘違いして手を伸ばし始めたのでダメこれ私のお洒落りんご飴なんです京都行ってさっき買ってきたんです。と言った所だめだこいつみたいな顔をされてなんかごめんと言われました。(多分りんご飴を奪おうとしたことについて)そっから京都のどこでりんご飴なんか買ってきたんだという話をしました。「駅の伊勢丹です。」「え、おしゃれだね。」「そうなんですよ食べるの楽しみなんですうふふ。」「すっごい袋でかくない?」「5個あるんで。」「え。5個自分の?」「うん。自分のです。」「わあ。」と何の身もふたもない。弟の方は友人の話をちゃんと聞いていたようではじめまして~と規律正しい挨拶をしてくれました。何も話すことがなかったのでサインを書いている間私は壁を見ていたのですがいざ握手、「ベースの人めっちゃかっこいいですね」という言葉が出ました。アホや。「●●くんが好きなの?」「いやさっきはじめてお目にかかったんですけど奇跡かなっていうくらいめちゃくちゃかっこよくて今頭真っ白で、あ、CD聴きますねすみませんすみません」的な最初から終わっていた。ボーカルの子は関西出身だったらしくまず私がつけていた指輪をほめてくれました。GUCCIの指輪でバンドのGから始まったのでバンド名のGっすよといったらこじつけもいい加減にしろやといきなり突っ込まれました。からのお決まり「めちゃくちゃかっこいいですねベースの人」「wwww●●喜ぶわ」そしてついに王子様と初コンタクト。記念すべき初めて交わした言葉。

「お、おにぎりってかわいいですよね」

裸の大将か。そんな意味の分からない失言に対して神はこう答えました。

「わかる、かわいいよね。丸いのも三角のも僕は好きだよ」

神か?意味わからん。そこからもはや会話にならないレベルで「さっきから思ってたんですけど絵画から間違って出てきたくらいにかっこいいです好きです」「え~ありがとうとてもうれしい」「ひいっ!」といった底なし沼のような会話を繰り広げました。前に並んでいた友人はドラムのファンの子だったので話が弾んでおり、尺が長いというとんでもない事態に頭を抱えました。そして出たひと言。

「あの、私明日内視鏡検査を受けるんですが初めてなのでおっかなくて。勇気づけてください」

何のカミングアウトや。なんで言ったよ。(当時ストレスで胃が常に痛かったのです。)

「え、どこかわるいの?」

「原因がわからなくて、とりあえずの検査なんです。」

「そうなんだ、うーん。僕は内視鏡検査したことないけど、きっとそれを乗り越えたら人生の中のどこかしらでは経験することだからいい経験になると思うよ、応援してるね。」

神ですか?こんな私に神ですか?てかこんな無茶ぶりにポッとこの言葉が出る?もう意味わからんとりあえず好き。と泣きそうになりました、何だったら手元にあるりんごあめ全部押し付けようかと思ったけど迷惑すぎるのでなけなしの理性がそれを止めました。

「超絶頑張れる気がしてきました。●●さん観にライヴ行きます私。」

「嬉しい、今日会えてよかった、来てくれてありがとう。」

そんな会話、私はおそらく一生忘れることはないファーストコンタクトです。神過ぎる我が推し。そんな推しとのお話はまた別に書きたいと思います。なんせそこから2年半、私は彼を追いかけまわしたのですから。

その後ドラムの彼にねえねえ●●くんかっこよすぎんか私通うわありがとうと心のATフィールドをぶっ飛ばして話まくりお前は相変わらずアホやと誉め言葉かけなし言葉かわからない一言を頂きました。

「てか、私明日内視鏡検査なんですよ、鼻からと喉から、どっちがいいと思います?」

「久しぶりに会ってその話何、何患ってんねん」

「患ってないけど胃が痛いから原因を突き止めるんだよ」

「鼻からにしとけ」

そして数か月後仙台の喫煙所でほんまに来たんかお前、と呆れられた始末です。(内視鏡検査は口からしました。とても綺麗な胃だったようで意味がわかりませんでした。)

少し話が飛びましたがその後にあったライヴが彼らの初ワンマンであったので新幹線で震えながら推しに手紙を書きました。ベーシストの彼は作詞や作曲も手掛けていて歌詞や曲がとても素晴らしく、私の胸を撃ちました。そのうえあの神対応ときた、最早褒めないところがありません。CDすべてを歌詞カードに穴が開くほど眺めながら聞き倒し、彼のこれまでのブログも読み返し、ああこの人は私の一生の推しになる、と毎日が少し輝きだした瞬間を未だに忘れることはありません。こんなにも誰かに敬意を持ち、その気持ちを伝えれる事の幸福を全身でかみしめながら手紙を書く事があって良いのだろうかと思いながら安価なスパークリングワインにファンレターを添えて差し入れボックスに入れて物販でできる限りのチェキを買いまくりなんとまあ撮影券を手に入れ頭が真っ白になったのが初ワンマン数時間前の事故でした。まだまだ彼と同じ画面上で写真を撮ることになるのは先だと思っていたのにこの仕打ち、今思えばいい思い出です。(不審者のようにえへえへと笑いながら撮影スペースに行き震えながら撮った写真は今でも宝物です。)

さて、緩く大阪名古屋に通うかね、とイベントツアーのチケットを発見したりお譲りしたりしてもらっている中、なんと私は詐欺にあいました。イベントツアー名古屋のチケットをお譲りしてもらいレターパックを開けたところなんと盛岡の公演、伺っていた番号しか合っていないのだが。と取引相手にDMをしようとしたところアカウントが消されていました、ぴえん。()取り付く島もない中とりあえずチケットにそのバンドの名前載ってるし盛岡行ったことないしついでに仙台も行くか、となったところから私の全通が始まりました。(運命は悪戯ですね‼‼‼)

遠征が何との闘いかというととにかく空き時間との闘いです。前のバンドのドラムのファンの子になんか手元にチケットあるからツアー全部行くわ、と言った所アホかと呆れながら一緒のホテルに仲間入りをさせてもらったわけですが彼女は東京、私は関西からの遠征だったので当然到着時間に差が生まれてくるわけです。てなかわけで早朝の仙台駅に放りだされた私はそのバンドの曲を聴きながら仙台に来ちゃった~と呑気な書き出しからまた彼をほめちぎるお手紙を書きました。解散するまでの2年半、渡し忘れはありましたが毎回お手紙を書いて渡していました。手書きの文字には念が籠ってしまうから燃やしてくださいとお願いしたのですが彼は燃やしてくれたのでしょうか。(シュレッターにかけてゴミの日に出すだけでもいい、いやそんな手を煩わせてしまうことも毎回申し訳ない、と頭を抱えながらもそれでも前のライヴの感想を、新曲の感想を、日々あったことを、伝えることを絶やすことが出来ませんでした。

何となくほの暗い雰囲気を持った彼にいつも応援しているよ、と伝えたかったし例え読んでくれなくてもいいからライヴを見ている人が今日も居たんだと思ってほしかった。手紙だけではどうしようもないとなんとか彼の好きなものをリサーチし、もらってくれてありがとうございます。という気持ちを込めて紙袋が破れる勢いで手紙と一緒にチョコレートやら羊羹を詰め込んでいました。自己肯定感の低さの表れです。

ある名古屋公演の直前、バンドの機材車がぶっ壊れたそうでてんやわんやしている中謎に物販のスタッフさんもてんやわんやしていてそれを全力で受け止めた私はもれなくてんやわんやでチェキを買い込み、かっこよかった~とタバコとライターを握りしめながら友人の元に駆け寄るとあんたそれ、と指さされた腕にはその時彼に捧げまくっていたチョコレート羊羹が山盛りに入った差し入れの紙袋がそのままぶら下がっていました。我ながらアホかと思いましたが次の転換で渡せばいいや、と呑気にタバコを吸っていたらお、ありがとうなー!と走り去っていくドラムくんの姿。え。それに続くギター兄弟。え。(どうやら機材車がぶっ壊れたことによりレンタカーを借りなければならずメンバー全員大慌てでライブハウスを駆け抜けていくという某サザ●エさんのような有様でした。)え、私の差し入れと友人を見たところ目配せされた先には王子様が居ました。今しかねえ。と「すみません差し入れを渡し忘れましたごめんなさいどうぞ」と九官鳥のように叫びながら立ち上がった所彼は立ち止まって両手で紙袋を受け取ってくれました。「手紙も差し入れもいつもありがとう、楽しく読んでるし、チョコレート羊羹おいしかったよ。急いでて、ごめんね、また明日ね」

神か?と隣にいたスタッフさんを震えながら見ると「なんでww」と笑われした。それ以降も何度かスタッフさんに助ける行為はやらかしました。

そんな調子で手紙、読んでくれてるんだ嬉しいなとさらに筆が加速するわけです。イベント事等で顔を合わせて言葉を交わす機会は程よくあるわけですがその時になると私もともと馬鹿な頭がもっと回転しなくなり王子様の顔を見つめながらぼーっとするというか素敵ですありがとうございますしか言えなくなるので手紙で様々なことを伝えれている、それを受け止めてくれる人がいるという事がとても毎回嬉しかったです。不器用なやり方だったのかもしれませんが自分なりに応援している気持ちを彼に伝え続ける事ができた2年半は私にとって大きな宝物になりました。

解散ライヴの日、撮影がありました。そこでやっと、自分は今とてもさみしい気持ちでいっぱいだけれどこれからがどうなろうとあなた自身を応援しているしファンで入れて本当に良かった、という旨を嗚咽しながら伝えることができました。それに対して”一番いろんなことをいろんな角度から伝えてくれて本当にありがとう。”と言ってくれた推しの事は一生敬愛し続けると思います。存在してくれてありがとう、そして今も続けてくれてありがとう、心から思います。

そんな別れが去年の夏、そこから色々あり私自身がぶっ倒れたりもしましたが新しい推しを見つけたりいろんな現場に足を運んでみたり、そんな中自分が好き!と思った人には大概思いを伝える事を大切にしています。Twitterのリプライはもちろんお手紙や差し入れ、特に自分が好きな方々は少なくとも体面上それらを読頃んでくれていることを幸福に思っています。ありがとう、をちゃんと伝えれる人は素晴らしい人だと思っています。大体の人はそうなんですがたまにそれすらできないモンスターが居たりするのでその場合本気で推したいならどうにかして更生させるか教育するか、そこまでの人間だと思って見放すしかなかろうと思います。(何様だっていう感じなんですが)

主な生息地がライヴハウスだった私にとって今の状況は苦痛でしかないのですが、そんな中、配信やwebでできるコンテンツを駆使して音楽やエンタメを届けてくれている人がいます。とても嬉しい事です。ライヴに行ける事、イベントに行ける事の当たり前さが非日常となってしまった今、演者さんにはもちろん現場でお話をしていた友人や顔見知りのお姉さんたちをとても恋しく思います。SNS等で連絡を取ることはもちろん、普段は中々伝えれない思いを手紙にして送ってみたり、そんなことで毎日なんとか楽しく過ごしています。エンタメはもちろん、生きているすべての人達に幸福な日々が訪れてほしいと心から思うし伝えたい事がいっぱいあるんだよ。と思っていただけますと幸いです。

とんでもなく長い文章となりましたがご拝読いただきありがとうございました!この記事が誰かの明るい明日の糧になることを祈ります。

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