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【映画鑑賞】今月のベストムービーは「悪は存在しない」(2024年5月:6本)

5月のGWは没頭していました。何処かへ旅行しないといけないとか今まで型にはまる事も多かったのですがこれって実は自分を遠んじている=承認欲求だったのですよね。
空海展に行ったり読書にどっぷりハマったり、映画やドラマを見ていました。癌寛解後2年経ちましたが随分健康になりました。

空海の両部曼荼羅。多分左は左脳、右は右の認識世界なのではないか。

何せ3月末に血液の栄養解析を行なった結果にタンパク質をビタミンEが足りてないという結果が出まして(恐らく抗がん剤治療の影響。。)高濃度サプリを入れますと筋肉量や筋質点数が爆上がり身体も随分楽になり次のステージに行ける気がしております。

筋質点数が爆上がりです。

そしてGW明け会社で20年くらい同僚であった後輩が6月末で退職する事が発覚。その穴埋めを自分がかなり埋めないといけなくて彼は無茶苦茶仕事が出来る人で仕事量を受け持っていたのでまあこの1ヶ月間は大変でした。ノンビリモードで仕事をするのは一旦終わらせても良いかな、とは思っています。だけど今の仕事に一生を捧げるのはますます疑問が出てきたのでそこは窓際らしく振る舞っていきたいとは思っています。

私はこの病気になったのは4年前。その4年間で私はポジションを失ったり、会社の体制が変わったり、世の中の流れが風になるのを凄く感じてきたわけでそれはそれで楽しみであります。

【第1位】悪は存在しない(2024年劇場公開)

濱口竜介の問題作。だが恐らく今年のベスト5には絶対入ってくる映画。

凄く良かったが友達に勧められる映画かと言われると人を選ぶと思う。カンヌを撮った世界的な濱口竜介の映画だが普通のシアターで公開すると酷評された筈だ。だからミニシアターでコアな映画ファンにだけ見つけられるようにしたのは正解かもしれない。

友達の女の子で「君達はどう生きるか」が「わけわからんかった」と言っていたのを聞いて、ああある程度以上この子とは仲良くはなれないなと思った。彼女にも勿論この映画は勧めない。

「Evil does not exist」
ゴダールをオマージュしたこのカラフルな始まり、そして10分以上続く下から見上げた森の景色、延々と見させられたその景色は脳の中の血管のようにも見えてくる。そして銃声。

この水が綺麗なこの長野の田舎町に芸能プロダクション会社がコロナ助成金を使ってグランピング施設を作る計画が持ち上がる。高橋とマユズミが説明するその計画は穴だらけでコテンパンにやられる。彼らが東京で社長とコンサルとzoom会議している様は普通の日本の会社でもあるあるで勤め人なら爽快に思えただろう。劣化したコンサルや上司は情報と情報を掛け合わせて結論を出したがる。

そしてマユズミと高橋の再び現地に戻る車内の会話も絶妙にあるあるで可笑しい。この映画は謎や深遠なテーマを含んでいながら随所に娯楽映画的面白さも含んでいる。都会に疲れた都会人が田舎に憧れる時ってこんな軽い気持ちよねーと6年間田舎に転勤してきた自分は思う。

そして最後のシーン。巧の高橋に対するスリーパーホールドは何だったのだろう。色々なレビューを見たが巧が高橋を殺した事と解釈している人が多くビックリした。人間スリーパーホールドくらいでは死なんよ。落ちるだけ。実際ヨロヨロっと高橋は最後起き上がっている所が映し出されている。

鹿は臆病で手負いでなければ襲って来ない。じゃあグランピング施設作ってもオッケーじゃんみたいな話をマユズミと高橋がした時に巧が「じゃあ鹿は何処へ行くんだ」と聞いた時に高橋が「何処か別の所へ行くんじゃないですかねー」と言った時に巧はこの人達はこの街に居着いてはいけない人だ⇨殺すってなったのだという解釈をする人がいて成る程そう取るのかと思った。

手負いの鹿がハナを襲うのを止めなかったのは巧が大自然の中の「バランス」を保とうとしたのだと思う。このバランスという言葉は曲者でコンサルが考えるバランス、高橋やマユズミが考えるバランス、巧が考えるバランス、そして自然界そのものが持っているバランスが恐らく違うのだ。それはもうどうしようもない話なのかもしれない。

【第2位】Idea of you(2024年 アメリカ)

最近ラブコメものが苦手で避けていたのですが、というのも恋愛市場に揉まれてない今の自分がそれを観ても価値がないんじゃないかみたいな訳わからん自問自答を繰り返した結果観るのが大分遅れてしまった。

結果凄く良く得るものがあった。特に前半部分、後半部分はどこに着地させるかだけだよねみたいな感じでそこまで面白くは無かった。

何が良かったかというと40歳のソレーヌも24歳のヘイジも相手に全く「依存」してないから見れるんだと思った。相手が愛してくれるから、お金を持ってるから、連れていて自慢できるから、そんな理由で恋愛に発展するケースの方が多い筈。

だけどソレーヌもヘイジもそれは全く無くてお互いの会話、息遣い、視線、雰囲気。それらが最低限で後はさっさと絡み合うというのが大人っぽくてエロい。特に個人的にはソレーヌがヘイジのトレーラーを出る時に後ろ目でチラッと見ながらドアを閉めて外へ出る時の表情、その後後日ヘイジを自宅に誘ってサンドウィッチを作る時にサッとエプロンを着ける時の一連の動作が洗練され過ぎていて色っぽかった。あと特にヘイジからショートメッセージでお誘いを受けて真っ白なドレスを着て飛行機乗ってヘイジのホテルへ向かうソレーヌ。そこからの絡み合いがエロすぎる。

大分この辺りで興奮してしまったがこれが40歳になったアンハサウェイのプロデュースと聞いて彼女のフェミニズム、アンチエイジズム観点からの主張がある事に後から気がついた。

ハリウッドだったら40歳くらいの俳優が24、5くらいの女優と恋愛なんてザラなのに年齢が逆だとワーワー揶揄されるの何なん?みたいな怒りがあるのかもしれない。

【第3位】City Hunter(2024年)

シティハンターはかつて好きな漫画だったので今更映画化するかー?って感じで興味が無かったけど評判が良く電車や街のスクリーンでデカデカと宣伝されていたのでGWで観るしかないなと思って観た。

これが見事なまでに原作の世界観を全く崩さない映画でずっと観てられた。鈴木亮平と森田望智は特に本当に素晴らしかった。筋書きは何てことないし、ドキドキはしなかったけど。

【第4位】ゴジラ-1.0(2024年)

凄い良かった。

初代ゴジラは戦後の1954年。被爆国である日本が反戦、反核を訴える意味で世界に問いかける娯楽作品だったと思う(まだ観てないけど)。そこから半世紀以上経って近大的な撮影もとりながらも(電車の中にいた典子がゴジラに電車を分断されながらも電車の手摺の宙吊りになっているのは何かミッションインポッシブルっぽかった)大元の心が失われていない作品が出てきているのは素晴らしい。

浜辺美波も神木隆乃介も昭和顔だし雰囲気も戦前、戦中の雰囲気が忠実に表現されていた。

敷島は最後の最後に「死にに行く覚悟」が出来た。だからこそ成し遂げられたんだろうな。だからこそ脱出して生還した時に皆神々しいものを見た気がして敬礼したんだろう。
「死にたい」のと「死ぬ覚悟がある」のは違う。最後橘は敷島に死ぬ覚悟を持たせてから「生きろ」と言った。そこには深い深い意味があり、あの場面だけでも観る価値がある。

【第5位】地球が壊れる前に(2016年 アメリカ)

GW中に観たけどレビューするのを忘れていたが今更レビュー。

環境問題を環境の話だけで考えてはダメなんじゃないかと最近思う。地球は一つの大きな生き物だと思う。キリバス共和国の沈没の危機は地球全体の問題である。

人間の身体を見る時、現在人は部分で見る。膝が痛かったら膝専門の医者にかかる。でもそれで解決できる事は少ない。今の世の中は国ごとの統治が基本で全体の統合は声のデカい国のいう通りになる。これでは包括的な改善には繋がらない。

コーク兄弟の話があったが今の資本主義経済はお金を回すのではなく富める人が富める世の中になっている。だから統合的に観て不健康になる。

メタンの影響があるから牛肉じゃなく豚や鶏を食べましょうとなっていたがそもそも食料廃棄の問題とか自産自消できてないから人々や経済が疲弊してるんじゃないの?とは思う。

ローマ法皇がCO2削減や炭素税導入などによって温暖化解消を測るのも良いがそれでは足りなくて「人々の祈り」が必要だと言っていて流石だなと思った。日本人は唯一ちゃんと祈れる人種だと聞いた事がある。祈りのパワーて凄いんだぜ、それをもっと知ってほしい。

宇宙飛行士であるピアーズ・セラーズは末期癌に侵されながらも地球の将来を憂いこのドキュメンタリー映画に出演した。

下世話な話だがレオナルドディカプリオの感受性というのが今一つわからない。トップオブトップのセレブで若い女好きでかつ環境活動に熱心というのが体癖的にも結びつかない。一体どういう人なんだろうか?

【第6位】地球交響曲第4番(2001年 日本)

最近見えないものの力、霊性とは考え始めこの「地球交響曲シリーズ」が気になり始めた。車で15分の所のヨガスタジオで自主上映されていたので4番を観てきた。

シンプルに4人のヤバい人の物語である。

ジェームス・ラブロック
→マッドサイエンティスト。典型的な9種体癖で地下室みたいなコンクリート内に実験室を作りまくって色んなものを測定している人。手作りの電子捕獲器を見た時この人は普通にヤバい人と確信した。何故かムッチャ歳下の奥さんを学会か何かで捕まえ済。
21世紀への子供への一言→be individual(いやあんさんみたいに生きるのは無理やさかいに)

ジェリー・ロペス
→カリスマサーファー。ヨガの良さを語っていたけどヨガのシルエットはそこまで綺麗じゃない。ジェリー・ロペスは気候学者ぐらい風、水などの地球のエネルギー循環を把握している。「波は水が流れているのじゃない。水は常にそこにあってエネルギーが流れているのだ。サーフィンは波にプラグを差し込みそのエネルギーを通しているんだ」という言葉にはハッとさせられた。で今は何故かアメリカのオレゴンに家があって家族でスノボーしているらしい。それが唐突で何で何で?海辺に住まないの?と?マークが出た。
21世紀への子供への一言「keep paddling」(何じゃそりゃ)

ジェーン・クドール
→チンパンジー学者。1960年くらいにチンパンジーの生態を探る為に26歳のうら若き女性でありながらタンザニアの山に住もうとしたとんでもない女性であり、その手伝いを買ってでた彼女の母親もとんでもない女性である。野生のチンパンジーと邂逅し、はじめて手を握りあった瞬間の話は神話的のようでもあり感動的に見えた。彼女によるとチンパンジーにも人間のエゴと同じような縄張り意識みたいな醜い部分もあるらしい。彼女は自然に住む事によりどんどんエゴが落ちていったのだろう。死はなく循環があるだけ、死が新たな命を導く。
21世紀への子供へのひと言「love hope understanding」(うん)

名嘉睦稔
→伊是名島行ってみたい。ボクネンは鳥と会話が出来る、三味線が上手い、クロトンの色使いに感動する。
彼が何者で何故版画家をやっている人か皆目分からなかった。だが彼の目は良いね
21世紀への子供への一言「幸せはへりません」(うん?)

2001年制作だし少し描き方が古く感じたし長すぎる、と感じた。この映画を見た後、何故か自動的に茶話会に誘われ意見交換会みたいになった。ご年配のご婦人方はいたく皆様感動されたらしく心の中でツッコミを入れまくっていたのは自分くらいのようだった。
ご婦人方はやはり子供を育てるのは田舎とか祭りとかあるところが良いわねーと口々に言われていて田舎ぐらしの経験と昨日見た「悪は存在しない」の話を喋ってやろうかと思ったが止めた。

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