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【セミナー感想】「何故人は病むのか」(ルークス芦屋クリニック主催)

ルークス芦屋クリニック主催のミニ講演会に行ってきた。医者も色々な人がいてSNS
発達によりスタンスの違いが明らかになっている。様々な分野で専門家であるが故に包括的に物事が見えなかったりする事が多い事は最近つくづく思う事である。いわゆる専門バカである。それは世の中を見渡しても職場など身の回りを見ていても思う事である。Dr.城谷氏はご自身の腸だけでなく物凄く幅広い視点で見ておられると言うのがSNS発信などでも良くわかり注目していた。

この講演会はこれ1000円で良いの?と言う程、良質であった。またもてなしと言うか安心・安全に気を配られているのが解った。その講演会の気づきの内容を以下に備忘録として纏めておく。

過敏性腸症候群について(Dr.城谷氏)

人はダイエットや身体を整える時、食べ物を気にする。私も癌になった時「ちゃんと食べているか」と盛んに周りに聞かれた。それを聞く度に「ちゃんと食べていれば大体何とかなる」と言う昔ながらの考え方はとても雑な考え方だなあと思って聞いていた。

食べ物はちゃんとそれが消化されて吸収される条件を整えて初めて栄養としての役割を果たす。もっと言うと身体が動く事によってその栄養は適切に各部位に入っていって体を強くする。そこには恐らく感情やイメージも左右する。私が何回も受けてきた抗がん剤治療は腸の役割を体感させられる治療である。抗がん剤治療は便通が極端に悪くなる。1週間程便が出なかったり(便秘)、出たと思ったらほぼ液体状の便で中々固形にならない(下痢)、そして抉れるようなお腹の痛みが何週間も続く。抗がん剤治療の合間の一時退院で私が常に心がけていたのは野菜を食べて腸の状態を出来るだけ回復させる事だった。腸が悪いという事が精神や肉体にどう影響するのか肌で痛感出来るのだ。

Dr城谷氏によると過敏性腸症候群は男性で1/8、女性で1/6とかなり高い確率で存在するそうだ(勿論こういった病気と無関係の人は一生興味のない話かもしれないが)また過敏性腸症候群(IBS)の類似症としてSIBOがある。SIBOは本来細菌の少ない小腸で細菌が異常増殖している事を指す。

療法としては発酵食品などを控えるなど菌バランスをあえて整えることをする(腸内細菌の最適化)。自律神経や迷走神経を整える事をする・脳が腸に作用し、同時に腸が脳に左右する事は「腸脳相関」と一言で言われる事も多い。ただ腸と脳を単独で整える事を考えるのでなくそれを繋いている迷走神経もセットで考慮に入れる必要がある。

SIBOやその原因は不明である(もしくは複合的な要因)とされながらも考えられる要因として幼少期で培われる筈のレジリエンス力の減少が考えられるとDr.城谷氏は述べられていた。

興味深かったのは「衛生仮説」という考え方だった。まず赤ちゃんは体内でお母さんから腸内細菌を受け取る。そして幼少期に特定の微生物に曝露されることで免疫系の発達に繋がり、結果としてアレルギー疾患に繋がるのだ。(それが結局成長時のレジリエンス力にも繋がる)。土壌菌は腸内細菌の祖先となっており「土をいじる」というのは無茶苦茶健康に良いそうだ。

別のワークショップで身体操作系の方が今の若い子はPCやスマホなど固い人工物に触りすぎている事に警鐘を鳴らされていたのを思い出した。「固い物に触ると指が硬くなり結果心も硬くなる」と仰られていた。医学と身体操作という両面から見ても「土いじり」が健康に良いというのはとても興味深い事だと感じた。

サイモントン療法(川畑伸子先生)

つくづく思う事だが癌は人の人生を変える。世界一周旅行に行っても後インドに百回行ってガンジス川で沐浴をしても現在の私の人生観に行きつかなかったと感じる。この気持ちをどう伝えたら良いのか。癌とは何かメッセージなのではないかと思い続けていた。癌というのはミステリアスである。

私はここ数年健康の事について普通の人よりも何倍も深く何倍も時間をかけて考え続けてきた。ヘルスケア関連の会合にも多く参加した。しかしヘルスケア関連の人たちの健康観に私はどれも頷くことが出来なかった。一言で言えば嘘くさいのである。人は必ず死ぬものだしそれを前提として健康観があらねばならない。だが殆どのヘルスケアの人は病は予防するものである、避けられるものであるものと捉え今現在のパフォーマンスを上げる今年か考えていない。そこには健康vs不健康の二元論しか存在しない。分析はあっても深い人間に対する思考は存在しない。それ自体不健全な事である。それは身体(ボディ)でなく頭で考えているからそうなる。Dr.城谷氏の言い方をすれば「情報を食べている」人が多いのである。

そんな中ホリスティック医学だけは違った。これは死や死後の世界まで取り扱うものである。そんなホリスティック医学の第一人者である帯津先生がサイモントン療法を信用できるものとして推奨されている。

私は密かに「感情」が癌罹患に影響し又克服にも影響するのではないかと考え始めている。これは認めたくない事だったしストレスが癌を生み出すなんて考え出したらそれこそ世の中癌だらけじゃんと最初は否定していた。だがそれを否定したとしてもより良い癌サバイバー人生を生きようと思うと「感情」の面は避けて通れない。何故ならそれほどまでに癌罹患は人の「感情」を揺さぶるものだからである。

サイモントン療法について全く予備知識なく会場に行ったのであるがサイモントン療法とはサイモントン博士によって提唱された癌患者やそれをサポートする人にまでも向けた癒しのプログラムなのだそうである。川畑伸子先生は何と出会いはサイモントン博士の通訳者になった事からだったそうである。いや〜人生ってわからないものですね。

「精神神経免疫学」という医学の分野が存在し癌は免疫でなく自律神経が大きく関わっているのではないかということが言われているそうである。病気は入場券とも言えるしメッセンジャーとも言える。本性から大きく外れた時に「本性に還りなさい」と病気は教えてくれているのですよ、という事だそうである(病の恩恵)。

「病は気から」というのは簡単でただ言い方によっては病気の人を簡単に傷つける。それは癌という病気にかかるかかからないかが単なる自己責任論、生活習慣病と切り捨ててしまう事になるからである。私だって癌についてあまり知らない人に「病は気からって言うし癌はストレスだと思うよ」と軽く言われたらキレるだろう。それくらい感情と病の関係を簡単に語る事はデリケートだし覚悟がないと踏み込んではいけない領域だと思う。私は川畑先生の話を聞いていたが「うん、そうかもしれないね。」と思えた。彼女はそれくらい今まで数え切れない癌患者さんを見てきたのだろうし寄り添ってきたのだろう、その過程において彼女の信念を確実に強くしていったのだろう。

彼女が仰られていた事で興味深かったのは 沢山ある以下に列記する。
「死を健全にイメージする事により生が育まれる」
「死に様とは生き様」
「ポジティブ思考は危険。大切なのは可能性を探るという事」

とりわけ興味深かったのは「感情に良い悪いもない。人間の感情は揺れているもの。大切なのはそこに居着かない事」という話であった。これは最近学んでいる身体操作にも通じる事だと感じた。身体操作の肝は身体は構造的にも機能的にも揺れてバランスを取っている(ホウキバランス)のが正解であり、大切なのは執着を持たない事、居着かない事だと教わった。癌という闘病においても大切な事は身体が健全でパフォーマンスを最大化させる時にも通じるという事はとても自分に取って発見であった。

講習会の後質疑応答があったが側から見ても少し答えにくいのではと余計な懸念をしてしまう参加者の微妙な質問に対してもチャーミングに感情豊かに丁寧に答えていく川畑先生にやはりこの方は只者ではないな、と恐れ多く思う気持ちで一杯であった。

お勧め本

この講習会で薦められていた本を最後に蛇足かもしれないが列記しておく。

1冊目は【身体が「ノー」と言う時】(カポール・マテ著)である。これはDr.城谷氏が講習会の中で推薦本であり図書館で借りて読んでみた。これはまだ最後まで読み切ってないが良書中の良書である。感情の抑圧というものが如何に自分の身体に左右するものか、本当に様々な例を挙げて書かれている。

2冊目は【サイモントン療法ー治癒に導く癌のイメージ療法】(川畑伸子著)である。病気特に癌になった時にその事実を如何に受け止めたらよいか迷うと思う。周りの雑念に紛らわされずにまず本書を読んで欲しい。私はこの本に何年か前に出会いたかった。
どんな人の人生にも挫折がある、そこからどう抜け出していくのかというのは人類共通の悩みであったり課題である。そんな人が読んでも役に立つ考え方とも思う。

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