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立体音響には音楽の未来と希望が詰まっている (1)

2023年ももうすぐ終わりますね。
と言いつつ、年末とは全く関連のない内容を書いていこうと思っています。

タイトルにある通り「立体音響」について私の主観も含め書いてみようと思います。こちらはシリーズ化していこうかなとも思っておりますので、この記事が気に入っていただけましたら次回もぜひお楽しみに。

私、宇津木紘一は「立体音響」に興味を持ちいろいろと研究や実験を重ね、スペインのD-SPATIAL社の「Reality VR」を主に使用して制作をしています。https://dspatial.com/product/reality-vr/


日本の正規代理店は「Formula Audio」さんです。


立体音響って何?

一番最初にでる疑問は、この「立体音響って何?」ってことだと思います。
簡単に言うと上とか後ろとか「いろいろなところから音が聴こえてくる」ということです。
VRゴーグルをつけて映像やゲームをしたことがある方は想像しやすいかもしれません。ああいう感じの臨場感、没入感を感じることができます。面白いですよ!

立体音響の種類って何があるの?

立体音響はさまざまなフォーマットがあります。
・Dolby Atmos
・Auro 3D
・NHK 22.2

等、他にもたくさんありスピーカーの配置や数に違いがあります。どれを選ぶかは個人の好みで良いと思います。

上記のものは「床」があることを想定しており、下方向には音を配置することはできません。実際の生活空間やホール、映画館等を想定している場合はこれらが適していると思います。

特にDolby Atmosは近年Apple社が力を入れており、このお陰で立体音響ということが普及されたと感じています。
Apple Musicでは、対応しているヘッドホンやイヤホンでDolby Atmosの音楽を聴くことができます。また、DAWのLogicでは手軽にDolby Atmosの音楽を制作することができます。

以前にその記事を書きましたのでご興味のある方はぜひお試しいただけたらと思います。

現在私は上のどれでもなく、360度全方位に配置できるD-SPATIAL Reality VRを使用しています。それは、宇宙的と言いますか、何も制約がなく自由に音を配置して今までに感じたことの無い音楽表現をしたいと思ったからです。

また、Ambisonicsという技術もあり同じく360度全方位に配置できるので、こちらも併用して私はリバーブ等で使っています。こちらは次回以降に書こうかなと思っています。

立体音響の現在の活用のされ方について

さてこの「立体音響の現在の活用のされ方について」なのですが、音楽作品で私が感じることとしまして、思ったよりも普及されていないと感じています。
それは「どのように使ったら意味があるのか」ということが見出せしきれていないのかなという感じです。

もちろん効果的に使用されていることも多く、特にゲームや映画のような映像と密接に音が関係されている場面ではとても重宝されていると思います。

私自身、立体音響の一番おもしろいと感じていることは「音が立体空間を動き回ること」です。もちろん、実際のバンド演奏やオーケストラ演奏ではそういうことは起こり得ません(特殊な演出を除きますが。)

実際の演奏現場をリアルに表現するために立体音響を使用する場合は、この「音が立体空間を動き回ること」は逆効果になりますし、無意味かと思います。

ですが、新しいコンセプトとして作曲の段階から「音が動き回る」ということを想定して制作すればそれは今までにはなかった考え方による作曲が可能になると思います。
(音が動き回ることについて「それは立体音響のメインでは無いし、むしろあまりやらない方が良い」というご意見も耳にしますが、私自身は意味のあるように動かし積極的に活用していきたいと考えています。だって、今までにできなかったことができるんですから。わくわくしますよね。)

立体的に音を動かしたときのオートメーション

音が動き回ることを実装すると、上の画像のようにたくさんのオートメーションを書くことになります(けっこう大変!笑)

オートメーションの内容について私は、
・音の位置情報
・リバーブの量
・遠くに行くときのハイカットEQ
・遠くに行くときのアタック部分の減衰

等、1つの音が動くたびに書いています。

立体音響を素敵に使用するには「作曲の段階から行う」ことが重要なのではないかと考えています。
私が使用しているプラグインの一部をご紹介します。
・D-SPATIAL / Reality VR

・Novonotes / 3DX 

・Audio Brewers / ab Reverb 

・Audio Brewers / ab Imager 

今回の【立体音響には音楽の未来と希望が詰まっている (1)】では、立体音響の簡単に私の感じていることをまとめてみました。

立体音響の音楽制作はまだまだ歴史が浅く方法が確立されていないので、様々なアーティストやエンジニアが試行錯誤し日々進歩させています。私もそのひとりです。
第2回からは私が実際にどのように制作しているかを解説してみようかと思います。

タイトルにあるように【立体音響には音楽の未来と希望が詰まっている】と思います。一緒に魅力を広めて、立体音響の楽曲がもっと増えていったら良いなと思っています。


お読みくださりありがとうございました。
UN.a 宇津木紘一


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