見出し画像

韓国 医師不足問題その後・・・

 韓国で医師不足から、医学生の定員を増やすことにしたのだが、それに反発した現役の医師などが退職届を出して、出勤を拒否する事例が相次いでいた。それに対して、韓国政府は、出勤命令を出し、従わない場合は、医師免許を剥奪し、さらに罪に問うとまで言っていた。

韓国政府、専攻医4944人に免許停止処分を通知…軍医・公保医を投入
 
 1万2千人に近い専攻医が病院を離脱した中、韓国政府は約5千人に対し免許停止などの行政処分の事前通知を終えた。政府は上級総合病院に公衆保健医(公保医)と軍医を派遣すると共に、すでに復帰したか、復帰を望む専攻医の被害を防ぐための専攻医保護・通報センターを運営することにした。

 保健福祉部のチョン・ビョンワン医療政策室長は11日、医師集団行動に関する中央災害安全対策本部のブリーフィングで、「政府は業務開始命令に違反した専攻医に行政処分の事前通知書を順次発送している」と明らかにした。8日午前11時基準で、100カ所の研修病院の専攻医1万2912人のうち92.9%に達する1万1994人が契約を放棄し、勤務地を離脱した。福祉部は8日までの間に業務開始命令に違反した4944人を対象に行政処分事前通知書を発送し、残りにも順次に行政処分手続きを進めている。

 福祉部はまた、専攻医の離脱による医療空白に埋めるため、同日、上級総合病院20カ所に軍医20人と公保医138人など158人を派遣したと発表した。彼らは教育修了後、13日から診療現場に投入される。福祉部は早ければ来週にも公保医約200人をさらに投入する計画だ。福祉部のチョン・トンリョン公共保健政策官は「来週中に公保医をさらに投入できるよう準備している。機関の需要調査後に配置しなければならないため、時期は流動的だ」と説明した。

 福祉部は12日から専攻医保護・通報センターも運営する。電話や携帯メールで被害の通報を受け付け、専攻医の要請があった場合、他の研修病院で研修できるようにするとともに、後に不利益を受けたかどうかを調べる予定だ。チョン室長は「医療現場を守っている専攻医や復帰を希望する専攻医が集団いじめなど直接・間接的に受けるかもしれない被害を防ぐための措置」だと説明した。

 政府はこの日も専攻医と医学部生に対話を呼びかけた。イ・ジュホ副首相兼教育部長官は、40大学の医学部学生団体である韓国医学部・医科大学院協会(医大協)の代表に学事運営の正常化などについて協議することを提案し、13日午後6時までに参加意思を表明してほしいと求めた。福祉部は専攻医らに対し「行政処分の手続きが完了するまでに復帰するなら情状酌量する」として、復帰を促した。

 一方、各大学医学部の教授らは専攻医の集団辞職と医学部生の同盟休学により、彼らが受けるかもしれない不利益などに対応するため、非常対策委員会を結成し対策を議論している。ソウル大学医学部教授協議会の非常対策委は11日午後5時、緊急総会を開く。同日の緊急総会では、教授らが団体で辞表を提出するなど、集団行動を起こす案も取り上げられるという。延世大学医学部教授協議会は同日午前、セブランス病院精神健康医学科のアン・ソクキュン教授を非常対策委員長に選出した。成均館大学医学部教授協議会は12日午後6時、オンライン会議を開く予定だ。全国医学部教授協議会(全医教協)は9日に続き、14日にも対策を協議することにした。キム・チャンス全医教協会長はハンギョレに「学生と専攻医に取り返しのつかない被害が生じた場合、教授協議会として集団行動を起こすべきだという意見が多くなっている」と話した。

https://japan.hani.co.kr/arti/politics/49404.html

 事態は完全に悪い方向に向かっている。結局、韓国政府は5千人に近い医師に医師免許剥奪の事前通知を出している。これで、職場復帰するなら、最初からやっているだろうから、本当に辞める人が多いのだろう。

 それに対して、ソウル大学医学部教授協議会は、団体で辞職を提出するなどの対応も検討しているという。いや、本当に滅茶苦茶だ。事態を収束しようとする団体などが存在しない。

 韓国政府は、力ずくで言う事を聞かせようとして、聞かない場合は、医師免許剥奪。それに対して、医師側もさらに集団で辞表を提出する用意をするなど、対立がありきで、事態の収束など誰も考えていない。

 この状況を見ると、韓国というのは全然変わっていない。李氏朝鮮時代も、王と貴族階級である両班との対立は続いていた。王は、権力はあるが、実際に政治を動かしているのは両班で、王が命じたとしても、両班に不利な命令は有名無実化して、実行されなかった。

 王が権力の全てを持っているので、王様の命令は絶対だ。しかし、王の身勝手な命令だとしても、苦労して実行をしているのは両班だという気持ちもあるのだろう。ワンマン社長の下で働く社員みたいなもので、社長がテレビで見たり、講演などで聞いた話に感動して、突然「わが社でも、明日から〇〇します!」なんてことを言い出して、実際に実行するのは社員だ。

 それを実行できなかったり、十分な結果が出ない場合は、その社員が責められる。「なんで、成果が出ないんだ!責任者じゃないのかー!ちゃんと、計画は練ったのかー!」ってね。

 「いや、お前の計画性もない話に付き合わされたのは、こっちだー!」と言いたいところを我慢して「さーせん」としか言えない。社長だから、この程度で済むけど、相手が王様なら、すぐ「死刑」だろうな。

 両班も同じような状況だったのは、想像できるのだが、両班も強烈だ。王から褒美としてもらった土地に、奴婢と呼ばれる奴隷を使って、作物を作る。その作物を売って収入を得る。奴婢は、貴族の私物、所有物で財産だった。だから、何をしてもいいし、殺しても罪には問われない。だって、所有物だから。

 奴婢が作った作物は、全て両班の物だった。奴婢が作っている作物が、面積当たりの収穫数が少なくても気にしないだろうし、病気に弱くても気にしないだろう。だって、多くても少なくても奴婢には関係ないから。

 朝廷の高職にいる両班は、政治的にライバルだった存在などを政略で罪を着せ、身分を剥奪した時には、罪を着せられた両班の家族は奴婢として売られる。ライバルだった両班に、家族が買われ、一生奴隷として生きるわけだ。地獄だ。

 それから、両班は、なんと税金が免除されていた。歴代の王は、その制度を変えようとするのだが、毎回邪魔された。まあ、それはそうだ。今の政治だって、国会議員の給料を減らしたり、定員を削減する法律が通らないのと同じだ。この時代だって、両班が支配する政治で、両班の不利になる法律は通らない。

 結局、絶対的な権力を持った王は、実際の力を持った両班にいいように操られているだけだ。そして、両班は民衆から搾取するだけ。今の時代で言えば、王は大統領で、両班は医師であったり財閥企業の社員という所だ。

 現代の両班である医師は、今の既得権益を手放すのは許せないし、政府のいう事なんか聞かない。医療を受けれない大衆の事なんかどうでもいい。

 この事例だけを見ても、韓国は終わっている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?