見出し画像

「アサシンクリード シャドウズ」に、ちょっと言いたいことがある

 UBIソフトから発売予定の「アサシンクリード シャドウズ」がちょっと炎上しているらしいのだが、映像について少し言いたいことがある。

 まず、炎上している理由が、シャドウズの舞台が日本ということで、侍と忍者が主人公になっている。この侍が、「弥助」という黒人で、弥助という黒人は実際に戦国時代に信長の近習として存在した。

 しかし、弥助はあくまでも近習で侍でもないということで、ちょっと炎上している。

 まあ、ゲームなので、その部分については、名前を変えて実在しない人にすればよかったのに、なんでわざわざ実在した人の名前を付けたのか・・・

 ゲームの予告映像を見たのだが、いくつか気になった点があるのだが、1つだけ、どうしても指摘したくなったので、書いてみる。

まずは、この予告編の画像を見てほしい。

刀を抜いたところ

 甲冑も・・・なのだが、刀の差し方が・・・鞘が帯に差した状態で横になっている。

抜刀したところ

 この画像でも、鞘がどういう状態か確認できる。

納刀している図

 そして、戦闘が終わり、納刀(刀を鞘に納める)している映像になる。これが変なのだ。刃が上になっているのは、打刀といって甲冑を付けたときに使う太刀と拵えが違うのだ。

大小2本差「刀剣ワールド」より

 よく見るのが、こういう帯に差す形だ。これを見てもわかるのだが、袴を履いた上で、中に刀を差している。袴の下には、角帯を巻いている。甲冑をつけていると、こういう差し方はできない。打刀は、刃が上になっている。外帯をつけて刀を差すこともある。

「打刀拵」「刀剣ワールド」より

 帯に差すので、構造もシンプルだ。これが江戸時代以降に主流になった。

太刀を「腰に佩く」「刀剣ワールド」より

 次に、太刀拵えの場合で、この場合は、刃が下を向いている。打刀と違う部品などがあり、刀についている帯を腰に回す形で佩く。
 太刀拵えであれば、甲冑をつけていても、上から帯を巻くので、問題なく佩ける。

「太刀拵え」「刀剣ワールド」より

 戦場で甲冑をつけるのは、馬上が前提なので、こういう拵えになっていると言われている。

「四條畷の戦い」「刀剣ワールド」より

 浮世絵で見ると、甲冑と太刀拵えが、どういう風になっていたか、よくわかる。迫力がある、いい絵だ。

歌川貞秀 作「太平記之内山崎合戦競先鋒図」「刀剣ワールド」より

 山崎合戦なので、本当は甲冑は当世具足と言って、違うのだが、浮世絵の場合は、見栄えがあるので、大鎧風になる。

歌川芳虎 作「大日本六十余将 近江 佐々木三郎左衛門盛綱」「刀剣ワールド」より

 鎌倉時代の武将の装束がよくわかる。

水野年方 作「楠公父子櫻井驛訣別之図」「刀剣ワールド」より


月岡芳年 作「月百姿 稲むらか崎の明ぼのの月」「刀剣ワールド」より

 説明するまでもない「稲村ガ崎」での新田義貞公の姿だ。新田義貞は、鎌倉幕府を倒した功労者なのだが、源氏の中で家柄が高くなかった。

 生き方が不器用だった。足利尊氏も決して器用とは思えないが、新田義貞は、もう少し器用だったら・・・

 この絵では鎌倉時代の大鎧の構造がよくわかる。戦国時代の甲冑とは違う。

 時代によって甲冑も、刀の拵えも変化する。ゲームの映像は、時代がごっちゃになっている。リアルを求めるなら、もう少し拘って欲しかった・・・

 日本では、資料や浮世絵、実物などで資料が豊富にあるので、偽物はすぐにわかる。

サポートが可能でしたら、よろしくお願いいたします。サポート費用で、全国に取材でも行けるように頑張ります。