EXILEに圧倒された日のことを書く

私は今無職なので、ささやかな家事と日課を済ませると結構な時間を持て余すことになる。普段それらはおすすめの映画を観たり、睡眠を余剰にあてることで使い潰すのだけど、それでもたまにエアポケットのような何もない日が生まれる。その日はたまたまツイッターのタイムラインでフォローしている人から発信されたEXILEがライブの配信をやっているというつぶやきが目に入り「どうせ暇だし」の気持ちで観たのだ。リンク先に期間限定のアーカイブ動画があるので観てほしい。

EXILEについて知っていることは少ない。
HIROだと思ってた人がATSUSHIだったり、TAKAHIROだと思ってた人がMAKIDAIだったりするくらい顔と名前が一致していなかった。そういうわけでEXILE=2人歌ってその他の人が大勢踊っていて、他にも沢山のグループを抱えた一大帝国を築いている。その程度の知識で吸ってる空気が違う「陽」の人たちだな〜と敬遠していたのだ。

結論から言うと、ものすごく楽しかった。
人を楽しませるという目的一点に集中した素晴らしいライブだった。あの手この手で「かっこいいEXILE」が視覚化され、繰り広げられるパフォーマンスが私の中に内在する彼らへの偏見を焼き尽くしていった。

ATSUSHIについて
今回のライブ配信を観て一番イメージが変わった。サングラスをかけたリードボーカルの彼は手にしたビールジョッキで頭を殴ってきそうな見た目をしているが、口から出てくる言葉はつとめて丁寧だし客を煽る言葉も思いやりに溢れていて驚いた。あの見た目で「お前ら」「声出せ」とか言わないのだ。「皆さん」「声を聴かせてください」これくらい物腰が柔らかい。
目が隠れているにもかかわらず表情が豊かで人間味にあふれている。楽しそうにしてるのは観ている側として安心する。
あと歌がうまい。めちゃくちゃ上手い。始めから終わりまでずっとピークを保っている。あの瑞々しさはすごい。全く鮮度が落ちない。そこら中にスパンコールがついた服を着て現れても、だんだんありがたく見えてくるから不思議だ。眼の前にしたらきっと両手を合わせてしまうだろう。

ライブ構成について
EXILEのライブは、作り上げる人たちの「EXILEはかっこいい」という思いを様々な方法で見せてくる。龍に載って現れる・摩天楼から現れる・燃え盛る背景と共に踊る・武器を手に踊る・小舟に載って歌う・海賊船に載って歌う。ざっと思い出せるだけでこれだけの変化をつけてくる。龍に載って現れたときは爆笑してしまった。しかしそれも観続けるうちに「EXILEなら龍に載って現れるのも当然…」と思えてくる。全くおかしいことではない。あんなにかっこいいんだから龍に載せて当然。
あと、花火を実際に打ち上げた際、大型スクリーンにそれ以上の花火の映像を流しだしたときは「負けた」と思ってしまった。エンタメの常識(と勝手に思い込んでいたもの)なんて意味のないものだと突きつけられ、しかもそれが面白いだなんてもう負けを認めるしかない。もっと派手に、もっとかっこよくを真面目にやるとあそこまで面白くなるのだ。

パフォーマーという存在について
EXILEはボーカルとパフォーマーで構成されている。ライブを見る前の私は、その2つは対等ではないし歌うほうが偉いと思っていた。今となっては歌うほうが偉いという認識は完全に無くなり、相互に影響を与え合うような関係と捉えている。それはライブを見ればわかる。どっちが偉いというわけではなく、自分が出来ること・すべきことを全力でやっている。少なくとも私はそう思っている。

踊る専門だとしても、あんなに踊り続けるのはどうかしている。汗を拭う姿がカメラに収まっていないのもどうかしている。彼らの汗は目にしみない成分なのか。彼らが踊る姿に、自身をどれだけ踊りに捧げることができるかが見える。自己犠牲的なものではなく、プロフェッショナルとして全力を出すとはこういうことだと見せつけられる。だからこそ曲中、マイクも持たない彼らが歌を口ずさんでいたり、突如カメラの方も向かず笑顔を見せる瞬間を目にすると「わあ〜〜〜〜〜〜!!!!!」となる。この気持ちは言葉にすることができない。実際に彼らのそういう姿を目にすると「わあああああああ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」となるのだ。なるんだから仕方ない。

公演を成り立たせるために団結するのはEXILEだけではない。
広大なステージをEXILEだけでパフォーマンスをするパートと、別のグループメンバーがサポートをするパートで分かれているのだが、EXILEとその他で分けるのではなくサポートメンバーを全く別の要素で登場させてくるのが面白く、目が離せない。突如くノ一的な格好で現れるE-girlsや、徐々に増えていく和太鼓と奏者、曲とは無関係にバカでかく表示された城門の映像、燃えるエフェクト。それらすべてが楽しませる意志のもと出力されるため、ガチガチとかみ合って主役のEXILEと拮抗していく。結果的に何をどこを観ても面白い空間ができあがる。あれは本当にすごい。何が何だかわからないのにすごいというのだけは残る。ハロプロでいうと4ツアー分くらいのコンセプトを1公演に収めた上でつなぎ目を完全に無視している。EXILEにはコンセプトの違いを無視させるだけの力がある。無視はちがうな。かっこよさで有耶無耶にされるが近い。

フリスビータイムについて
曲によってはEXILEが客席に向かってフリスビーを大量に投げることもある。そんな犬にとっては天国のような時間は人間の私にとっても大好きだ。ライブも始まってそこそこに突如フリスビーを投げ始めた時は混乱も相まって歌やパフォーマンスに集中できなかったが、次第に「頼むからフリスビーをもっと投げまくってくれ」という気持ちで満たされていった。EXILEが遠慮なしにフリスビーを投げまくる_そんな贅沢な映像あるだろうか。とにかく映像を見てほしい。あれはものすごく楽しい。飛んできたフリスビーがしたたか鼻にぶつかったとしても大喜びで鼻血と共に撮った自撮りをツイッターに上げると思う。

衣装について
基本的にEXILEの皆さんは袖を遠ざける傾向にあるようで、ボーカルの二人以外はあまり袖に手を通さない。アンコールのTシャツでさえも袖を切り取っている。なぜなんだ。パフォーマーとは反対にボーカルのATSUSHI・TAKAHIROの二人は袖に手を通しがちだ。体を冷やすとパフォーマンスに影響が出るからだろうか。私は眩く光る衣装を着ているATSUSHIが(ありがたくて)好きなので、なるべくATSUSHIには長袖かつスパンコールやミラーをたくさんつけた衣装を着ていてほしい。例えそれがハーフタイムショーのビヨンセやジェニファー・ロペスに近いものであっても、光り輝くATSUSHIはそれだけでありがたいのだ。なんならもっと光っても良いと思う。反射する光が眩しくてまともに見えないくらいになっても文句はない。ATSUSHIはそれだけの価値がある。そのためのサングラスだ。

24karatsについて
一通りセットリストが流れた位のタイミングで突然現れた24karats。これはグループなのだろうか?私は彼らのことを何も知らない。そしてこの名前を引っさげて、あれだけ爽やかだったEXILEがとんでもなく悪そうな格好で現れた。ブリブリと鳴り響く低音、真っ赤に染まるステージ、突如現れたB-BOYたち、より布面積の少ない衣装。なんなんだこれは。EXILEの裏メニューか?
攻めに攻めた楽曲も相まって「悪そうなEXILEがやってきた」という感想くらいしか残っていない。なんせ一通り悪そうな歌をかました後すっと捌け、再び現れたのはTシャツ姿のEXILE(例によってほとんどのメンバーの袖がない)だったのだ。情報の入れ替わりが多すぎて混乱していたが、のっけから爽やかに歌い上げるATSUSHIのフェイクに惚れ惚れしているうちに全て水に流されてしまった。歌がうまいと疑問の余地がなくなるんだな。
あと24カラッツは名前の感じでめちゃデカダイヤモンドだと思っていたけど、純金を指す言葉だとはね。EXILEにはいつも何かを教わってしまうな…。

まとめ
気がつけばATSUSHIのことが好きな自分がいる。ATSUSHIは歌がうまくてかっこいい。そして輝く衣装が似合う。ATSUSHIはすごい。ATSUSHIは歌がうまい。みんなも観てほしい。

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