あつ森以外のゲームをまともにやれた試しがない筆者がゼル伝BotW(ブレワイ)プレイ実況動画を見た結果、嗚咽上げて泣く程ハマった

 アクションゲームの類いの操作が昔から苦手極まる。
 ゼルダの伝説シリーズのデザインや世界観がものすごく好きなのだが、私のゲームの腕が壊滅的すぎてプレイができない。

 では具体的にどれくらい絶望的かというと。
 アクションゲームに革命を起こしたとされる「ゼルダの伝説 時のオカリナ」の話だ。コキリの剣をゲットするまでに迷路の上をジャンプで渡るミッションにおいて、何故かジャンプすると5割の確率で下に落ちてしまい敵に攻撃されるなり玉にぶち当たるなりして7回死んだ。コントローラーのせいにできればどんなによかったか、残酷なことにお手本を見せてくれた弟は完璧に一発クリアできていたのでコントローラーの不具合ではなかった。
 8回目の正直でデクの木様ダンジョンに入るも、壁のツタを這い登る度に何でかめっちゃ高いところに到達する度にリンクが手を滑らせ地面に叩きつけられてしまう。感受性高すぎて落ちる瞬間にコントローラーを握る手が固まってしまい落下速度に悲鳴を上げるリンクを救えずハートが減ること数知れず。
 「兄さん1番ダッピ♪」のミッションで盾の角度の感覚がどうしても掴めず毎回三体目の途中で一体目が硬直状態解除されてしまいそこのミッションだけで4回死んだ。
 何とかかんとか5度目の正直で兄さん1番ミッションを終えてもその時点でハート残り3/4個。手汗びっしょりでデクの木様中ボスにたどり着くも、音楽の怖さと画面の中の中ボスの威嚇に完全にビビり散らかしZ注目機能の存在が頭からすっぽ抜けて中ボス倒すまでに三回死んだ。
 もう無理すぎて5歳下の弟に泣きつき中ボスどころかラスボスまで代行して頂いてまともな達成感もないまま迷いの森を抜け、ハイリア平原で太陽の歌を覚えたハイテンションのままに早速吹いてみるも夜になった瞬間骸骨の敵に囲まれ画面の中の雰囲気に完全に呑まれてしまい逃げきれず、もう一度太陽の歌を吹くという考えすらすっぽ抜けフルボッコ即死。
 そんな流れで自分にはオープンフィールドのアクションゲームは向いてないと見切りをつけてハイラル平原序盤オブ序盤でゲームを終わらせ枕を濡らしたのが15年前。

 ところがふと先週。
 自分でもマジで理由がわからないのだが、突然すぎる「再びゼルダの伝説に触れたい」が17年ぶりに脳裏に過ぎってしまった。
 やっぱりゼルダの伝説ってデザインセンスといい謎解きといいやり込み要素の充実性といい構造の全てにおいて好みすぎるんだよなあ、と。

 15年前より更に昔、かつて小学生だった弟達が熱中しているプレイを見学させてもらっていただけの頃ですら、あんなにもストーリーや全てのデザインやプレーヤーをハマらせるやり込み要素の小技の数々に心奪われ、毎度圧倒されていた。その当時の感動が、何のきっかけでもなくいきなり私の胸中心を滾らせ始めたのだ。

 「時のオカリナ」は、先述の通り「自分でやりこんだ部分」こそほぼゼロだ。しかし、弟達のクリアまでの軌跡は全部見学していたのでストーリーはほぼほぼ覚えている。自分でもわかる、記憶力がどうかしている。

 テレビゲームもゲームボーイも初代ポケモンもドストライク世代の癖にマジで「プレイすること自体が苦手」すぎて経験なく生きてきたマンだが。Nintendo64で弟達が楽しんでいたゲーム達を見学するだけで充分に楽しんでいただけのガチROM専だが。
 あの「時のオカリナ」が、ムジュラの仮面が、ドンキーコング64が、スターフォックスが、ブラストドーザーが、ものすごく面白いゲームだということだけは見ているだけでもわかった。今でも変わらず、あのゲーム達は全て名作だと思っている。やったことないけど。後ろから見てただけだけど。

 そんな私も、今の時代においてゲームを追えるのよ。一緒にプレイしてるかのような追体験をもってゲームを知れるのよ。
 そう、「ゲーム実況YouTuber」のおかげで。

 時のオカリナとムジュラの仮面の後でゼルダの伝説シリーズには今まで何が出てきたのか、ネットで調べてみれば出てくる出てくる情報の海。数多の情報のなかからゼルダの伝説シリーズガチオタであろうゲーマーさんが綴るブログを発見。ゼルダの伝説シリーズのレビュー記事を順番通りに読んでいく。
 その中でひときわ私の心を奪ったのが「ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド」。5年前にリリースされた作品とのこと。「風のタクト」というやつも同時にめちゃくちゃ気になったのだが、二択から絞るために悩むまでもなかった。
 私の目は「ブレスオブザワイルド」に釘付けになってしまった。

 何かの作品にハマる時はいつも、信じているモットーがある。「『これだ』と湧いた直感に素直に従う」。今回も従うことにした。正解だった。

 YouTubeを開き、ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド と検索。閲覧数とコメント数とプレイリスト内動画数を比較した結果、ある方の実況動画を見ることにした。イベントムービーやキャラクターボイスが胸熱な場面以外は倍速再生にした。
 1週間かけて、全部見た。
 最初こそパラセールゲット後のおそら滑空で自分も画面に酔ってトイレ直行からの戻した。けど途中から慣れてきて酔わなくなった。
 泣いて笑って手に汗握って、強い敵が倒れてはYouTuberさんと共に喜んで、また泣いた。
 マジで泣いた。いやもう、マジで。頭痛くなるくらい泣いた。
 英傑四人みんな良すぎる。誰が最推しとか決められない。

 神獣倒した後のダルケル様とユン坊のあのムービーで泣かないプレーヤーおるんか。語尾が「ゴロ」に変わったユン坊の成長はもうあかんて。先祖と子孫の邂逅はあかんて。あのカメラワークが控えめに言って天才の所業。シナリオが素晴らしいオブザイヤー堂々のグランプリ。年に一度お盆に会うか会わないかの親戚にでもなった気持ちよ。
 ダルケル様抱きしめて下さい。誰ってユン坊を。ゴロンシティを宜しく頼んだぞっつって。ユン坊をいっぱいいっぱい可愛がってくれ。頼む。頼むよ。ユン坊、あなたの英傑の証布ずっとずっと大事にしてるんだよ。あなたみたいに強くなりたいってリンクと一緒に頑張ったんだよ。マジで頑張ったんだよ。あなたのその大きな手でいっぱいいっぱいなでなでわしわし褒めてあげて。頼むよ。お願いだよ。どうしてそれが叶わないんだよ。本当に惜しい人を亡くしてしまった。英傑みんなもう生きてないなんて。そんな切ない話があるかよ。あるんだよ。こんなに悔しいことってないよ。
 しかもさあ、ゲットする能力が「ダルケルの護り」って。あんなに逞しくて強い人なのに、与えた武器があんなでかい力こそパワーと言わんばかりのゴリ押し系剣なのに、リンクに与えた新たな能力は「無二の相棒をいつでも敵の攻撃から身を呈して守ってやれる強固な盾」って。ダルケル様にとって強さの定義とは誰を倒すかじゃない、誰を護るかってことなんか。
 100年前の戦いで、リンクをいちばん護ってやりたかったのはダルケル様なんだよな。そういうことだよな。回生の祠に眠るリンクを待ち続ける間、どれだけ苦悩したことだろう。神獣に囚われ続けて、その間ずっと他の英傑達の魂と会うことも誰と話すこともできずに、リンクとゼルダ姫のことをずっと心配してたんだよな。時に自分の存在の無力さに打ちひしがれ、「きっとリンクが戻ってきてくれる、いつかハイラルを救える」って蜘蛛の糸より細い糸に縋り付き続けて、その100年の末にやっと掴んだ勝利だったんだよな。
 いやもう無理。ダルケル様ざっくりまとめだけでこれだもの。リーバルとウルボザ様とミファーもこの調子で語ったもんなら文字数多すぎてまた画面落ちるわ。

 他の三人の英傑もそんなこんなで泣かしに泣かしといて、からのダウンロードコンテンツ第二弾「英傑たちの詩」に「ゼルダ無双 厄災の黙示録」よ。
 待って。頼むから待って。無理。

 リーバルお前ツンデレ極めすぎてプレーヤーの情緒を一体どうしたいんだよ。あんな生意気な高飛車ナルシストだったじゃんよ。言うこと全部素直じゃなくって口下手でリンクのこと嫌いでムカつくキャラだったじゃんよ。
 陰でのボロッボロになっても全く諦めない決死の努力何なんだよ。そこまで苦労して苦労してやっと習得したリーバルトルネードを最後にはリンクにくれてやる気高さとかやめろ。やめてくれないともれなく私が泣く。そうさ結果やめてくれなかったから音楽の良さもあって私は泣きに泣いた。ちくしょう私の方こそ完敗だよありがとう人生。
 リト族の中でもリーバルって割と小柄な方なのよ。強くなるにつれてナメられたくなかったのか、元のプライドエベレストな性格も相俟ってなのか、すっかり強がりひねくれボキャブラリーマンになってしまったけども。カッシーワどころかゼルダ無双見るにテバさんよりちっちゃいし年齢だって若いじゃん。なんならリンクと同世代とかじゃん、ほっぺにだって赤い線入っててさ。そんなちっちゃい身体であんなすごい上昇気流生み出し技編み出したんか。
 自分自身の努力こそがプライドで、プライドこそがアイデンティティそのもので、そのアイデンティティをそっくりリンクにくれてやったんかお前。姫様の気持ちわかるって言ってたもんな。生きている限り拭えない「天才という存在に対しての劣等感」に、貴方はあなた自身の弛まぬ努力で立ち向かい続けたのか。
 神獣戦で「油断した隙にあの攻撃でやられて」みたいなアドバイスしてたけど絶対嘘だろ。これだけの努力の君が、努力の価値を何よりも知ってる君が、100年前のカースガノン戦で一瞬たりとも油断なんかしてた訳ないだろ。文字通りその身朽ちる最後の最後までやれる全てで戦い尽きた筈だろ。魂の存在になっても尚ひねくれ屋かよ愛した一生推す。

 ダメだマジで駄目です、ウルボザ様とミファーまで語ってしまう前にさっさと投稿する。

 そんなこんなで語りきれてないけど総評。先祖への畏敬が勝利を導く世代を超えた絆がテーマになってる脚本が好みという方には間違いなく刺さる名作でした。
 「オープンフィールドゲームってすごい」「任天堂ってすごい」の真髄を感じます。崖に山に草花に平原、砂漠、海、池に川に湖、溶岩に建物に焚き火にその他その他その他、ここまでリアルに近付けた質感の自然を楽しめたら充分。タイトル通りの「野生の息吹」を目を通して肌に感じられる。
 行動手段の自由度の幅が余りにも広すぎる。例えば崖の上から低い場所に行くとして、パラセールで滑空するもよし、滑空途中で弓を撃って獣倒して肉にするもよし、命知らずにひょいって飛び降りるもよし、崖を這い伝ってクライミング感を味わうもよし、現実主義で足場を道なりに走って降りる回り道のついでに草刈ってルピーゲットするなり食材や植物や虫を採集するもよし。やりたいことを思いついたら全部できる。
 これってよくよく考えると、とんでもなく凄いことだと思うの。他のゲームだったら「背景の中でも移動できる印があるところにならば時に限定して登れる」だけでほとんどの場合はただのフィールドデザイン造形でしかない場所でも、この作品なら本当の意味で自由に散策できる。がんばりゲージが残ってる時間内である限りは建物の壁にも崖にも頂上までよじ登れるの。目に見える全ての背景に移動できるのよ。ここまでプレイキャラそのものになりきった追体験の感覚になれるゲームって、きっとそうそう多くはない。
 こんなにリアルなのにもう5年前のゲームなんですよこれ。ゲームってこんなにすごいんや。語彙力など厄災ガノン倒した瞬間まとめて無に帰した。

 メインストーリーをちょっと脇においたお散歩やり込み要素がここまで充実してていいんですか。イチカラ村開拓の手助けもコログ探しもお馬さん手懐けも盾サーフィンもスナザラシ爆走も料理もお買い物も村人お助けボランティアもみんな素敵です。
 サウンドトラックもキャラクターデザインもボイスもアクションも脚本も素晴らしいんです。どのエリアからどんな順序で攻略を始めても楽しいです。

「ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド」、最高のゲームでした。「ダウンロードコンテンツ2 英傑たちの詩」「ゼルダ無双 厄災の黙示録」も合わせて楽しんで下さいませ。
 そして更に続編がリリース予定だそうですので私は首をキリンさんにしてプレイ実況動画更新を待つ。

 プレイしてないのにハマったにわか限界オタクによる長すぎる独り言でした。
 ……ここだけ読んだらちょっと何言ってるかよくわからない。

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