日本ダービー・考察

日本ダービーの考察を書きました。

先週の結果
オークス
◎ゴールデンハインド
○イングランドアイズ
▲キタウイング
△ドゥーラ
→はずれ

皐月賞・回顧


まずは皐月賞の振り返りから。
雨で重たくなった+最終週の荒れ具合ということで完全な外差し馬場。レース前の大方の見方通りグラニットがハナを主張してペースを引っ張った。直線入り口では逃げグラニット・番手べラジオオペラで隊列は落ち着きかけたが、8枠からタッチウッドが掛かって進出しグラニットに競りかけていった。この影響で前半1000m通過は58.5秒というハイペース。
3角の入口あたりでグラニットが脱落、4角前でべラジオオペラが脱落していく中、ファントムシーフやソールオリエンスら後方各馬が外を回して進出を開始。直線入口で早め抜け出した形のタスティエーラを、ソールオリエンスが1頭違う脚で捉えて勝ちきった。

ベースの馬場がそもそも外差し、グラニットとタッチウッドが作ったオーバーペースで先行勢にはかなり厳しいレース質になった。
勝ったソールオリエンスが通したラインは馬場の一番伸びるラインで、ここを通して伸び負けた馬は本番での逆転は難しいように映った。

極端な馬場と極端なペースの1戦になったので、ここで力を発揮できなかった馬にも条件替わりでの好走は期待できると思う。

ダービー・前提

オークスと同じく東京2400mで行われる1戦。日本の馬産の最大目標であり、「パンパンの良馬場で一番速く走れる馬」「長い直線でトップスピードが出せる馬」という日本の主流ど真ん中の馬を決めるレース。長い直線でトップスピードを出せることが重要になるので、東京や阪神外回りなどで最速の上がりを使って勝った実績はほぼ必須レベルの条件になってくる。

皐月賞がここまでの世代トップクラスレースとして存在しているため、基本は皐月賞組が中心。別路線組は基本的に皐月賞路線に間に合わなかった馬の路線であるため、レコード決着や○馬身差で圧勝などの抜けた勝ち方が必要。
直近の別路線組勝ち馬・シャフリヤールは毎日杯をレコード勝ちとスピード能力を発揮する下地があった。

皐月賞組の上げ下げは使った上がりに着目。
前目、またはまくりで運んで上位の上がりを使えなかった馬は、トップスピード勝負になるダービーではパフォーマンスを落とすことが多く信頼度はやや低め。例は21タイトルホルダーや22ジオグリフなど。
逆に、差してきて突き抜けたり、最速の上がりを使いながら届かずの競馬は東京コース替わりで力を発揮しやすい。このパターンが昨年のダービー馬・ドウデュース。

また、皐月賞週は春の中山最終週ということでインが荒れた外差し馬馬になっている事が多いため、内枠からインを通さざるを得なかった馬の巻き返しも期待できる。これは昨年のアスクビクターモア、一昨年のステラヴェローチェなど。巻き返しでは無いが、1枠から勝ちきってそのまま三冠馬まで登りつめたコントレイルの例も。

長々と書いたが、「強い馬が強い勝ち方をしている」側面があるのがダービーなので、まずは基本の能力評価をして、その上にダービー向きかどうかの評価を積み上げたい。

各馬考察

ソールオリエンス

皐月賞段階では、東京で見せた上がり能力の高さと京成杯でのドゥラメンテを彷彿とさせる勝ちっぷりは評価しつつも、中山2000mを今日にこなせる完成度の高さはないと判断して評価を下げダービーで買いたいとしていた。

冒頭の回顧で書いた通り皐月賞では外伸び馬場とハイペースに助けられて大外一気が決まった面はあるが、相変わらず右回りのコーナリングで大きく膨れる荒削りな面を残しながら上がり35.5(最速)の末脚を使って突き抜けた。上がり2位はファントムシーフらの36.4で0.9差。重馬場の中山を加速ラップで突き抜けており、強い馬にしかできないレース運びだった。

同じ進路を通したメタルスピード、シャザーンらより明確に上の競馬で、皐月賞の差し・追い込み組では抜けて1番手評価。

新馬戦でラスト3F11.5-11.0-11.0という抜けたラップで勝ちきった東京コースへ変わるのはプラス。苦手なコーナリング能力も必要とされないので、さらにパフォーマンスは上げてきそう。
この馬を倒せる馬がいるか、が焦点になるレースなので当然の一番手評価。◎候補。

ファントムシーフ

皐月賞段階では「安定した先行力と上がり能力があり、怪物では無いが優等生タイプ」と評価していた。

皐月賞では普段より後ろ目に控え(これはルメールが流石)、伸びる外に持ち出して進出。しかし直線では一番伸びる所を通せず内に押し込められてしまった。それでも上がり2位の足で3着まで食いこんでおり、やはり自力は高いものがある。

一方で、同じく後方から運んだソールオリエンスには(馬場の差はあれど)圧倒的な上がり能力の差を見せつけられる形。ダービーで逆転できる差か?というとやや疑問が残る。

共同通信杯においても、前目でロスなく運んだ分押し切ったが最後はタスティエーラに詰められる形でゴールしており、良馬場東京のキレ勝負での上がり目はそこまでのように思える。(大トビっぽいので大箱コースに変わるのはいい)

安定して走ってくれるし能力が世代トップクラスであることは間違いないが、ソールオリエンス相手の逆転が難しそうに見えるので現状2番手評価まで。○候補。

スキルヴィング

皐月賞を経由していない、別路線組筆頭。
ゆりかもめ、青葉賞と同舞台の東京2400mを連勝しての臨戦。
青葉賞で倒したハーツコンチェルトはホープフル、若葉Sと小回りコースでの凡走で青葉賞に回ったものの、東京ではダノンザタイガーとほぼ同等レベルの馬。そことの比較でいくと共同通信杯組上位くらいの力はあっても良さそう。

ただし、デビューから一貫して長い距離を使われている分速い流れを経験できていないので、極限のスピード勝負であるダービーでいきなり通用するかといわれると疑問が残る。また、前提の欄でも書いたが別路線組で通用するなら抜けたパフォーマンスが必要で、ハーツコンチェルトを引き離せていない+3着以下も着差はそこまでとあまり強調はしづらい。

あってもファントムシーフ級、くらいの評価で本命候補には一手足りないか。▲候補。

(余談)
悉くダービー勝ち馬を出せない、魔の青葉賞組。
青葉賞勝ち時計2:23.9はハイアーゲーム(ダービー2着)を上回る歴代3位の時計で、馬券内に食い込める水準の時計ではある。
去年東スポ2歳から異例の皐月賞直行で結果を残した木村哲厩舎×ルメール騎手×父キタサンブラックの組み合わせなので、今年もローテの概念を破壊出来るかもしれない。

タスティエーラ

皐月賞は圧巻の内容。極悪のハイペースを前受けして粘り、最後は上がり3位(2位ファントムシーフらに0.2差)の脚を使って2着に残った。
馬場とペースを考えれば一番強い競馬をしたと言ってもよく、ソールオリエンスに差されこそしたものの3着以下には力差を見せつけた形。

共同通信杯4着、弥生賞1着、皐月賞2着と中山向きの馬に思えるが、東京の新馬戦で見せた11.2-11.1-11.2の上がりは優秀で東京替わりも苦にしないはず。

皐月賞時の新馬戦・共同通信杯見解

今回はレーン騎手へのスイッチとなるが、新馬戦で見せたようにガシ追いでグイグイ伸びていくので剛腕タイプへの乗り替わりはプラスに働くと思う。

皐月賞のレースぶりは抜群、東京も合うはずで、ソールオリエンスとの逆転は十分可能。◎候補。

サトノグランツ

京都新聞杯から滑り込んだ別路線組。
別路線組が通用するにはそこで抜けたパフォーマンスを出している必要があるが、5着までクビアタマクビクビ差の接戦で最速の上がりも叩けていない。
クラシックに間に合わなかったメンバー相手にこのパフォーマンスで、友道厩舎×川田騎手の強力タッグと言えどさすがに手が伸びない。無印。

ドゥラエレーデ

UAEダービーからの臨戦という異例のローテーション。今年に入って芝を走っていないので判断材料は薄いが、ホープフルSから力を推し量ることになる。

今年のホープフルSはイン前で逃げたトップナイフ、番手のドゥラエレーデがそのまま残ってしまう形。中間の4Fは12.7-12.7-12.5-12.5とGⅠにしてはかなり緩んだ流れで、前に行った馬が圧倒的に有利なレースだった。
同じような競馬をしてほぼ同時に入着したトップナイフが弥生賞ではタスティエーラに完敗、皐月賞でも後方差しながら上位からは離れた7着と世代一線級からは一枚落ちる馬なので、ドゥラエレーデもあまり評価はできない。

Cコース替わりのイン前馬場で枠順に恵まれ、坂井騎手が強気に乗れば残る線もなくはないか…ということで検討ラインには残しておく。△評価。

ショウナンバシット

皐月賞の考察段階ではあまり評価していなかったが、皐月賞の内容が非常によかった。
冒頭で書いた通りの重馬場・外差し馬場で、2枠スタートから内に閉じ込められて不利なレース運びを余儀なくされたが、伸びない内目を終始通して上り4位(3位と0.1差)、5着の激走。
例年内枠から上位の上りを使って今一歩届かなかった馬がダービーで巻き返すのはよくある光景であり、ここは注目したい。

皐月賞以前のレースの最大出力値からソールオリエンスやタスティエーラ相手に逆転できる道筋はイメージしにくいものの、力はあるはずということで二番手グループ評価の〇候補。

メタルスピード

スプリングSでは馬場の一番伸びないところを突っ込んで3着まで伸びてきており、パワー質のレースで力を発揮する下地はあった。
皐月賞では外伸びかつ重たい馬場をフルに活かしきっての4着。

東京の未勝利戦でキレ負けする馬なので、ダービーで買いたい馬とは思えず。やはり皐月賞で馬券になっておきたかった。現状無印。

ハーツコンチェルト

スキルヴィングの欄でも書いたが、小回りコースが苦手でホープフル、若葉Sと力を発揮できず凡走。青葉賞に回って大箱コース向きの力を発揮しスキルヴィングに迫っていた。もともと東京ではダノンザタイガーとほぼ同等レベル切れ味を使える馬ではあるため、直線勝負だけなら共同通信杯でも掲示板には来れていたかな…という馬。

一方で、小回りが苦手とはいえ若葉Sのメンバーで馬券内すら確保できなかったのは能力の絶対値が足りない(ソールオリエンスレベルは苦手な小回りを力でなんとかしている)と言えるし、青葉賞で勝てなかった馬をダービーで買いたいとも思えず。無印。

フリームファクシ

皐月賞のレース自体は、荒れたインに進路取りするしかなかったレースで度外視可能としても、それ以前のレースでも実力には疑問符。

新馬戦ではミッキーカプチーノ・グリューネグリーンに上りで負け、その後も上り能力よりも先行力で勝ち上がった格好。
上り能力の絶対値が求められるダービーで浮上する要素も見つけられず。無印。

べラジオオペラ

皐月賞では、思ったよりスタートが上手く出てしまったためグラニットに付いて行かざるを得ず、外から暴走してきたタッチウッドにペースを上げられ、激流に飲み込まれて沈んでしまった。

ただ、デビューから2戦連続スローの瞬発戦をやっていた中でスプリングSの前傾消耗ラップにいきなり対応できた能力の高さは間違いないので、前走の惨敗は無視して前走時の評価を継続していいと思う。

前走時の評価

グラニットがおらず前走よりは緩いペースになるはずなので、今回も引き続き狙っていい馬だと思う。
東京での上り能力はやや物足りないところがあるのでそこだけ割り引くが、素質は十分で二番手グループ評価。〇候補。

シャザーン

皐月賞回顧で書いた通り、この馬が4角~直線通したルートは最も恵まれたラインであり、総合力的にはやや足りないメタルスピードが4着にこれるルートだった。同じ進路を通したソールオリエンスは突き抜けているし、内に潜っていったファントムシーフと同じ上りタイムなのも不満が残る。

良馬場・大箱条件でパフォーマンスを上げてきそうではあるが、それはソールオリエンス、タスティエーラ、ファントムシーフにもいえることなので、シャザーンだけの強調材料にはならないか。
上りの能力はあるしダービー向きの馬ではあると思うので、抑え評価の△候補。

トップナイフ

ドゥラエレーデの所で書いた通り、クラシックで通用するには一枚足りない。無印。

余談:21ダービーのレッドジェネシスの騎乗ほんま

シーズンリッチ

百日草特別ではキングズレインに完敗、共同通信杯でも1~4着の上位組には差をつけられての6着で、世代上位相手には一枚及ばない。

毎日杯は勝ったものの、2着はノッキングポイント(後述)で着差も小さく強調材料は薄い。無印。

ノッキングポイント

新馬戦の勝ちっぷりでこれが今年のダービー馬だと思っていたが、2走目サウジRCではドルチェモア相手に大敗。そのドルチェモアのここまでを見ると、世代の上位とやり合えるだけの力はないように思う。無印。

ホウオウビスケッツ

3走前・フリージア賞の勝ち方が優秀で、後半5F57.7、後半4F45.9は強調できるパフォーマンス。スプリングSでは一点グラニットのペースを番手追走して2着に残しており、皐月賞段階では高く評価していた。
皐月賞では自分の競馬が全く出来ていなかったため、丸ごと見なかったことにして高評価は継続する。

フリージア賞で見せた後半の走破能力から、逃げ候補の中では最も可能性があると思う。▲評価。

パクスオトマニカ

プリンシパルSは前半62.4とダービートライアルとしてはレベルが低く、逃げ切り勝ちは評価できない。無印。

グリューネグリーン

京都2歳の内容から、マイペースで逃げて運んでも接触不利のあったトップナイフに詰められるレベルの馬。トップナイフが怪物級というわけでもないので、こちらも評価はできない。
レベルの上がったホープフル以降は全く見せ場なく。無印。

暫定印・枠順確定前


◎タスティエーラ(筆頭)、ソールオリエンス
○ファントムシーフ、ショウナンバシット、べラジオオペラ
▲スキルヴィング、ホウオウビスケッツ
△シャザーン

皐月賞1,2着の2頭を順当に最上位評価。この2頭の牙城はなかなか崩せない気がする。

枠の並びによって狙いたい馬も変わってくるので、一旦広めに印を付けておく。

枠順確定後・雑感

①べラジオオペラ ③ホウオウビスケッツ
内枠に入った方を穴で狙いたいと思っていたらどちらも内に入ってしまった。困った。逃げ経験のあるホウオウビスケッツの方が逃げ、後ろをべラジオオペラがとる形になるだろうか。前を取ってきそうなドゥラエレーデ、パクスオトマニカが外に行ってくれたおかげでポジションは確保しやすい。重馬場と外差しバイアスのダブルパンチだった皐月賞の巻き返しを図るには絶好の枠。
②スキルヴィング
あんまり揉まれる競馬をしてないので内目はどうか...①③が前に行くので先行はやりずらく、下げてラチ沿いで溜めてキレ勝負となってもソールオリエンスを差せるのだろうか?
やややりにくい枠に入ってしまった印象。
④トップナイフ
隣に武史、3つ隣に和生の絶好枠を確保(?)
前に行けば楽しみはありそうだが、ソールオリエンスより後ろのポジション取りそうな...
この馬(というか鞍上)に関しては、位置取りを類推するだけ無駄な気がする。
⑤ソールオリエンス
コントレイル、オルフェーヴル、ディープインパクトの入った3枠5番。みごと三冠馬枠をゲットした(JRA、やってる)
内目を出たなりで位置取り、先行〜中団で溜めて直線の進路取りだけという競馬になりそう。エフフォーリアの時には内枠で閉じ込められて身動きが取れず、直線前が開いたところで早めに追い出した分最後に差される結果になったが、今回はしっかり待って勝ちに行けるかどうか。追い出しのタイミングが鍵。
⑥〜⑪ 特段言うことなし
⑫タスティエーラ 枠自体は悪くないが内に結構先行馬がいるのでポジション取りが難しい。内目の枠から⑤ソールより前で競馬したかったがどうか
⑭ファントムシーフ ⑫と同じく ドウデュースと同じような競馬をこの馬でやるのはさすがに無理があるので、ダービー6勝の鞍上がどう乗るか期待(なげやり)
⑯パクスオトマニカ
内枠ならスローに落とす田辺逃げもあったかもだが、この枠だと望むべくもなし
⑰ドゥラエレーデ
先行意識の鬼坂井瑠星がこの枠、ハナ取る勢いで出していきそう

東京芝・馬場(土曜日)

ダービー週の良馬場らしく、時計は年1レベルで速い。
10Rの2勝クラス(芝1600m)の勝ち時計が1:31.6と、グランアレグリアの安田記念と同タイム。モズゴールドバレルが突然グランアレグリア急に覚醒した可能性もなくはないが、レコードを更新した去年と同等レベルの速い馬場であることは間違いない。
Cコース替わりでラチ沿いの痛みはカバーされたような見た目になっているが、先週のような悉く逃げ馬が残るイン前馬場ではなく、差しも外から届いている。
時計は高速であるものの顕著なバイアスは無さそうで、差して強い馬と先行して強い馬が同時に馬券内に残ることも十分あり得そう(去年の差し:ドウデュースイクイノックス、前:アスクビクターモアのように)

暫定印・前日

◎タスティエーラ
〇ソールオリエンス
▲候補:ファントムシーフ、ホウオウビスケッツ
△候補:べラジオオペラ、ショウナンバシット、シャザーン
☆(あまり買いたくない):スキルヴィング

馬場はかなり高速に振れているものの、内外・前後に顕著なバイアスはなく、強い馬が来れそうな馬場。
皐月賞で抜けた力を見せ、東京の上り勝負にも対応しているタスティエーラとソールオリエンスを軸に馬券を買うことは決定。

残り1頭を当てに広げて取りに行くか、三連馬券を買わずに馬連ワイドを1点で買うか…は考え中。


最終的な買い目はTwitterにて。

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