エリザベス女王杯・考察

前回の結果
◎タスティエーラ
〇ソールオリエンス
→はずれ

エリザベス女王杯・前提

菊花賞、秋華賞と同じく今年から京都に戻る。
阪神開催では直線坂越え2回、引き込みスタートで長引きがちな先行争い、内回りで仕掛けのポイントが早い、などスタミナ勝負のレースになっていた。宝塚記念と同コースで、芝のダメージも合わさってまさにタフな消耗戦向きという馬が良く走っていた。

京都開催では、4コーナーの下り坂からレースが動く展開になりがちで、ラスト4Fの走破能力(4Fをどれだけ速い時計で走れるか)が求められる。レースラップにもわかりやすく表れているため参考に。

京都開催10年のレースラップ(良馬場限定)

開催も後半戦に入りフラット〜外差し寄りに振れていく馬場になるため、速い上がりのない逃げ・先行馬には厳しく差し馬が浮上しがちな舞台。ただし、3年連続で好走したクロコスミア、12人気で穴を開けたシングウィズジョイは前の馬。前からそこそこの上りが使える逃げ・先行馬には要注意。
速い上がりの使える人気馬は信頼しつつ、穴探しは前の馬から選ぶのがいいかもしれない。
4コーナーの下り坂、大箱、直線平坦という京都競馬場独自の要素が多いため、別競馬場での好走実績がそのまま信用出来るかはいつもより慎重に見極める必要あり。

各馬考察

ブレイディヴェーグ

4戦全てで上がり最速の脚を使っている通り後半の走破能力の高い馬。特に前走ローズSは阪神外回りで3F32.9と破格。直線進路があかず追い出しを待たされたが、追い出しを始めた時点で絶望的な差が開いていたマスクトディーヴァにグッと詰め寄っており、スムーズなら...と思わせる内容だった。そのマスクトディーヴァはスロー前残りレースになった秋華賞で唯一後方から追い込み、リバティアイランドに迫りかつ他馬には着差をつけての強い内容。マスクトディーヴァと同じくらい強いとなるとブレイディヴェーグも世代最上位の評価をしないといけない。

後半の走破能力ガン振りで追走力が問われるレースを1度も経験していないものの、スロー濃厚なメンバー、前提欄で書いた通りラスト4F勝負になりがちなコース体系であれば問題はなさそう。あとは古馬との力関係だけだが、リバティアイランド(混合GⅠで十分勝負になるレベル)よりちょっと下くらいの能力であれば十分上位クラスのはず。1着候補。

ハーパー

何回書いたかわからないけどドゥーラドゥアイズモリアーナあたりと同じくらいの強さの馬。古馬との力関係はドゥーラのクイーンSがポイントで、51kgの斤量を貰ってウインピクシス、コスタボニータ(牝馬限定G3で出番があるレベル)と0.2差ということを考えると能力的には足りなさそう。
後半の走破能力よりもタイトなラップでの持続力が持ち味の馬なので、京都よりも阪神開催のエリ女の方が合いそうだった。能力疑問、適性的にも外れていそうで現状無印。

ジェラルディーナ

昨年のエリ女勝ち馬で、その後も有馬記念3着を筆頭に牡馬混合重賞でそこそこ戦えている強い馬。ハイレベルメンバーの集まった宝塚記念の4着が光る。勝ったレースの実績的に小回り巧者と見られそうだが鳴尾記念や京都記念などでは大箱で豪快な末脚を使っており(届いてはない)、4歳時のイメージのままであれば京都外回りの上がり勝負はマイナスではなさそう。
一方で、この馬が上位に来たレースは
22エリ女→強烈な外差し馬場
22有馬記念→イクイノックスが前を掃除しきった後のごっちゃんゴール
23宝塚記念→外差し馬場
と何かしらのアシストがあった。
また、若いころに見せていた豪快な末脚は近走やや見られずで、原因が小回りコースばかり使ってるからそう見えるだけなのか、加齢による適性シフトなのかは判断が付かない。後者だった場合は京都外回りは合わないかもしれない。
いずれにせよ宝塚記念4着の実績は(1~3着馬の次走的に)大きくクローズアップされオッズに反映されそうなので、やや厳しめに見ておきたい。能力認めつつも2,3着候補に。

(ほんでムーアは乗れるん?)

ディヴィーナ

脚質が謎の馬。ずっとヴィクトリアマイルの競馬をしてくれていればまだわかりやすかったが… 中京記念以降はデムーロ騎乗で出遅れ癖が解消されているため、スタートの問題は解消されたと考えたほうがよさそう。

逃げたセルバーグが止まらなかった展開で後方から追い込んだ中京記念、早め抜け出しで目標にされてしまった関屋記念の内容を見ると混合GⅢなら取れる力はあると思う。
府中牝馬では単騎逃げが叶う(本意の形ではないと思うが)形で、追い込んでハナ差まで迫ったルージュエヴァイユの方を上に取りたいし、絶対的な能力値だとジェラルディーナなど混合GⅠ通用レベルの馬がいるため、1着候補まで上げるにはワンパンチ足りないか。後半走破能力はあるものの脚質がわからないことも含め3着候補まで

サリエラ

ザ石の影響のあったらしい新潟記念は一旦置いておくとして、目黒記念の内容はいい。 マイペース逃げの叶ったディアスティマが2着に残り、内目を立ち回ったヒートオンビートが勝つレースで後方から外をぶん回して追い込み3着は高く評価していい。4着もゼッフィーロだったため、混合GⅡ勝ちと近いレベルの能力があり牝馬限定なら上位。
長めの距離で中緩み後半勝負という目黒記念のレース質も、エリ女で想定されるレース質と類似しておりプラス要素。TSが高い反面ややズブいところがあるので、下り坂で加速できる京都外回りもプラス。1着候補。

ルージュエヴァイユ

後半走破能力の高い馬。府中牝馬の内容が良く、ディヴィーナの単騎楽逃げが叶ったレースで最後方から進め、4角では外を回して中団付近までポジションを上げ、3F32.7sの脚を使ってハナ差まで追い込んだ。ディヴィーナが混合GⅢを勝てそうなレベル(メンバー上位)であることを考えると高く評価できるレースだった。
エプソムCでは2番手先行して2着に粘ったが、本来の持ち味は府中牝馬の方。直線どん詰まりになったメイS、重馬場+出遅れでレースにならなかった愛知杯を除くと終いの脚は確実に使える。中緩みの後半勝負になるエリ女のレース質とはマッチしてそうで1着候補として。

ライラック

前年エリ女2着馬。好走パターンがかなり限定される馬で、フェアリーS紫苑Sエリ女日経賞(これは4着)いずれもコーナーで加速しながら位置を押し上げて差してくる競馬。去年のエリ女はこのパターンに強烈な外差し馬場が加わってこれ以上ない渾身の2着だった。府中牝馬では珍しくこのパターンから外れた好走だったが、番手集団の内目で溜めて直線もスムーズに前が開くおあつらえ向きの展開でディヴィーナは捉えられずルージュエヴァイユにも差されてしまった。目黒記念でしっかり負けている通りスローからの直線TS勝負は分が悪く、現状無印。

マリアエレーナ

秋天以後人気を背負い続けギリギリのところで馬券にならなかった罪な女。基本的には軽い馬場の時計勝負に強い馬で、斤量と急坂が苦手。急坂のある阪神2000mで牡馬混合ながら掲示板を確保した大阪杯・鳴尾記念は頑張れていたし、小倉記念は流石に56.5kgが酷すぎた。
オールカマーのレース内容がこの馬としては特異点で、直線急坂の2200mという本来苦手なコースながらゼッフィーロ、タイトルホルダーに肉薄している。オールカマーは逃げたタイトルホルダーに入れ替わり立ち代わり外から馬が襲ってくるレースで、タイトルホルダーにとって負荷のかなり高いレースではあったが、それを差し引いても単騎逃げしたタイトルホルダー相手にタイム差なしは立派。ゼッフィーロはむしろインで上手く溜めれた楽なレース展開で、内容的にはマリアエレーナの方が上。混合GⅡレベルと考えると能力は上位。
スローからのTS勝負はそこまで向かない印象だが、22秋天では番手以下スローの流れからシャフリヤール、ジャックドールと同等の上りを使えている(上りに差の付きにくいレース質ではあったが)ので極端に苦手なわけではない。
直線急坂のない京都はプラス材料。先行しそうな馬の中では一番強い馬なので、前が残る展開を想定するならまずこの馬。一着候補。

ゴールドエクリプス

マーメイドSでは51kgで前崩れの流れながら4着まで、勝ち馬ビッグリボン(55kg)とは0.6差と大きく差をつけられてしまった。
小倉記念ではマリアエレーナに先着し3着だったが、これもゴールドエクリプス51kgに対しマリアエレーナ56.5kgと斤量差がかなり大きかった。
同斤量だとこの2頭に勝てる見込みは薄く、2頭以外にも能力の高い馬は多いため、この馬まで出番は回らなさそう。無印。

アートハウス

スローペース専門、ペースが上がるとだめ、と言われていて実際スローペースのレースしかかっていないが、そもそも勝ったレースの内容に疑問。
愛知杯:ズブズブの重馬場で全員速い上りが出せず前に行ったもの勝ち。1~4番手の馬がそのまま1~4着馬に。ダートで覚醒したアイコンテーラーが2着に来てるように最後は適性差だけ。
ローズS:そもそものメンバーレベルが疑問で、OP以上で戦える馬はサリエラぐらい。前に行った馬が圧倒的有利な中京2000mのスローペース戦で前に行けたので恵まれたレース質。
スローペース濃厚なコースとメンバー構成ではあるものの、能力上位メンバーが混合重賞で勝負できるレベルであるだけにそこまでの能力があるかは疑問。逃げてしまえば残り目もあるか…とは思うので3着候補には残しておく。

ビッグリボン

前走はさすがに馬場が合わな過ぎて直線全く伸びれなかったので一旦ノーカン。マーメイドSでは1000m57.4で前が揃って垂れてくる中自然とポジションが上がっていき、直線でもロスなくパカっと前が開いた。斤量1kg多く、外を回されたウインマイティーの方が強いレース内容だったように見えるし、仮にウインマイティーが今回のメンバーにいたとしても1着までは厳しく見える。そもそもこの馬のストロングポイントがコーナーで加速して押し上げられる小回り向きの特性なので、京都外回りもそこまで。現状無印。

シンリョクカ

今年の3歳牝馬のクラシック組は、リバティアイランドが突き抜けて強く、マスクトディーヴァが単独2番手、その他はやや離れてダンゴという力関係。ハーパーの欄で書いた通り、ダンゴの一員ドゥーラが51kgの斤量を貰ってウインピクシス、コスタボニータと0.2差だったクイーンSの結果は割と重い。
この馬自身も、前走府中牝馬ではフィアスプライド、ルージュエヴァイユ(それぞれ上り1位、2位)と同じ位置から全く伸びず。能力足りずと見る他なく無印。

ククナ

七夕賞は逃げ候補が全員逃げずバトルボーンが押し出される形で1000m60.7のスローペース。結果内で溜めて運べたククナとホウオウエミーズが2,3着、外を回した有力馬は軒並み馬券外とインが極端に強いレースだった。
続く小倉記念では見どころなく6着で、OP以上となると何かしらの恵まれる要素がないと浮上してこない。能力的には厳しく現状無印。

ローゼライト

流石に買えない。

イズジョーノキセキ

昨年府中牝馬ではソダシ相手に完勝、有馬記念でもジェラルディーナと0.1差の4着と、5歳時の能力はかなり高い評価ができる。
一方で6歳になってからはいいところがなく、特に昨年強い競馬をした府中牝馬で全く伸びずだったことから既にピークアウトと考える方が自然か。
一発の魅力は秘めているものの… 現状無印。

枠順前暫定印

◎ブレイディヴェーグ、マリアエレーナ、サリエラ、ルージュエヴァイユ
○ジェラルディーナ
△アートハウス、ディヴィーナ
能力拮抗で難解な一戦、仮印は広めに。
馬場が前ならマリアエレーナから、後ろなら迷う、そんな感じ。

前日馬場・京都芝

金曜日に降った雨の影響がまだ残っており馬場状態は稍重表記。芝レースの勝ち時計は内回り・外回りともにクラス水準レベル。明日の京都競馬場は終日曇り予報で気温も低いため、良馬場表記まで回復しても水分は残った馬場になりそうで、時計は標準~やや速いレベルになるか。良馬場としてはややタフなコンディションを想定する。

内外の伸びは微妙で、基本的にはBコース2週目かつ開催後半ということで内ラチ沿いの傷みも出てきているが、土曜メインのデイリー杯2歳Sではジャンタルマンタルがイン差しから鋭く伸び快勝。一方で、最終12Rでは内目を走っていて早め先頭に抜け出したシロンが選択的に中央付近に持ち出して伸び勝っており、伸びる部分は明日のレースも見ながら考えたい。
(内外どちらが伸びる馬場か土曜段階で判断が難しい時は、最終的に「顕著なバイアスなし」という結論に落ち着く場合が多い)

想定隊列・展開

スタート後
  ③     ⑦  ① ⑤ ②
 ④       ⑧  ⑬
⑨  ⑥ ⑪  ⑩
 ⑫   ⑭ ⑮

1角前
⑨ ③ ⑥⑪  ⑩⑦⑧ ①⑤②
 ④ ⑫  ⑭⑮      ⑬

向こう正面
②⑤① ⑩⑦⑧  ⑪⑥ ③ ⑨
 ⑬     ⑮⑭  ⑫ ④

明確な逃げ馬がおらず。逃げ候補はテンスピ速い・かつ先行意識高い鞍上のアートハウス、テンスピ速い(ムラあり、出れば)ローゼライト、前走逃げたディヴィーナあたり。
ディヴィーナは前走逃げそうになって内のコスタボニータの様子を何度も確認していた通り本来逃げたくない馬なので、恐らくアートハウスかローゼライトになる。
アートハウス逃げの場合は、スローペースでこその馬なので当然スローに。
ローゼライトが逃げた場合は、どのペースで逃げても放置される(人気的に)可能性が高く、この場合もペースコントロールは番手のアートハウスになるためやはりスローペースになる。

3コーナーの下り坂からレースが動き始める展開になるが、前半スローで各馬溜めているためラスト4Fラップは11秒台を刻み続けることになり、外を回される馬は負荷が高い。
京都外回りらしく馬群はばらけるが、インをつきたそうな差し馬(①②⑤あたり)や、外をぶん回してきそうな馬(⑬あたり)のどれかが不利を受ける可能性はある。
有力馬に後方脚質の馬が多いため、取りこぼしの可能性を狙っていきたい。

前日暫定印

◎マリアエレーナ
〇ブレイディヴェーグ

本命はマリアエレーナ。
隊列を前目と後方に分けたとき、前にいる馬で恐らく一番強いのがマリアエレーナ。前走中団から差しに回っているが、今回のメンバーで普通にスタートを決めて馬なりでポジションを決めれば中団より前の位置にはいるはず。

あとは後方脚質の有力馬に差されないかどうかだが、イン突き渋滞や外回しすぎなどのリスクが後方の馬にはあり(ベストな差しの進路は椅子取りゲーム)、全馬がベストな差し脚を使える可能性は低い。
MAX出せれば前方のマリアエレーナを捉える脚力があると想定しているのは①ブレイディヴェーグ②ルージュエヴァイユ⑦ジェラルディーナ⑬サリエラだが、このうち3頭が揃ってきっちり差してくる可能性は低い(どれか2頭はトチる)と考える。

ただし、良馬場ベストな馬なので明日雨が降ったり、想定より馬場が重かったりした場合は見直し必要。

対抗はブレイディヴェーグ。
上記したリスクがある後方脚質組(①②⑦⑬)の中で、この馬だけ唯一加速力に富む。加速力があるということは仕掛けどころが選べるということであり、インでギリギリまで溜めて前が開いた瞬間を狙って追い出せばOK。
下り坂から動き出さないといけない、ややズブさのある②⑦⑬より信頼度が高く対抗に。

枠順確定後、前日に追記します。
最終的な買い目はTwitterにて。


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