【MLB】初めてのごあいさつと挨拶代わりのPhil Maton【HOU】

ごあいさつ


初めましての方は初めまして、こんにちはの方はこんにちは、おばんですの方はおばんです、空き箱と申します。主にTwitterに生息し、野球の事やFantasy Sportsの事を呟いて日夜発狂しております。noteでは野球、特にMLBのことを中心に書きたいと考えています。他にも麻雀おじさんやVtuberおじさんもしているので、気が向いたら書く予定です。


Phil Matonという男


ご挨拶もほどほどに、皆さんはPhil Matonというピッチャーをご存じでしょうか?

Matonはパドレスで2015年にドラフト指名を受け、その後インディアンズ(現ガーディアンズ)にトレード、そして昨年に俊足センターのMyles Strawとのトレードで、マイナークラスの捕手のYainer Diazとともにアストロズにトレードされました。

 愛称はSpin Rateらしく、その名の通り回転数の高いカーブを武器としています。21年インディアンズではK% 34.3%と高い奪三振能力を誇りましたが、その反面制球面の粗さやハードヒットの多さでERA 4.57という何とも言えない成績にまとまっていました。

 移籍後、投手改造王国ヒューストンアストロズによる改造を期待されていましたが、ERA 4.97と少し悪化した上、K%も20.2%に落ちてしまい、巷では「Straw出すほどだったか?」「メインパッケージはYainer Diazの方」などと言われるようになりました。

 今季もブルペンの一角として8/4現在で44試合に登板しています。今期はERA 3.38と良い成績になっていると思いきや、xERA 4.80や、HR/9 1.69など、どことな~く中継ぎとして信用できない数字が並んでいます。

 5月は12.2IPで3ER,7Kと好調だったものの、6月に入ると9IPで8H,5ER,6BB,16Kとかいう訳のわからん成績になります。またこの6月にはImmaculate inning(3者連続3球三振)も達成しています。好調なのか不調なのかいまいちわからんやつですね。7月はERA 2.53と良化したように見えて、7/12のエンゼルス戦で自身のエラーと死球絡みで4失点してるので自責点が少ないだけです。騙されないように。


Matonをもうちょいkwsk


Matonのようわからん成績の要因をもう少し詳しく探っていきましょう。下の表は今季の球種別の成績です。

画像はbaseballsavant.mlb.comから。心強い野球観戦(とFantasy)のお供。

今回は特に彼のマネーピッチであるカーブに注目していきます。際立つのはやはり回転数(Spin)。2900回転は愛称のSpin Rateに違わぬ高数値です。

Whiff%も4月は悲惨なものの、5月から6月は30-40%ほどと、決め球といえる水準です。特に5月はxwOBAも.249とまさに必殺の1球となっています。6月のxwOBAの悪化はカーブによる2HRが大きく効いていそうです。カーブという球種を使う以上、被弾増加は覚悟しなければならないのでHR以外のヒットを1つに抑えたことや、5つの三振を奪っていることも評価するべきでしょう。


 ここまで褒めてきましたが、7月のカーブを見ると、xwOBAは.336とそこそこなものの、Whiff%が18.2%と大きく低下しています。平均打球速度(EV)は6月よりは低下しているので、弱い打球が増えたように感じます。しかし、4,5月のEVは70mph台であり、また前述したように6月はHR2つがあったため極端に打球速度が上がったと考えられます。サンプル数が少ない弊害ですね。

 言及はしませんでしたが、表からもわかる通り、Matonは左打者にはカーブ、右打者にはスライダーを使い分けています。どちらにも使っているフォーシームもあまりいい成績とは言えず、相当対左に苦しんだ7月となったのではないでしょうか。

画像はbaseballsavant.mlb.comから。横軸がおかしいのはsavantに文句言ってください。


また、対戦相手の傾向も変わってきています。上のグラフのように、これまでフォーシーム中心にスイングされていたのが、7月になってからはフォーシームのスイングが減り、代わりにカーブへのスイングが増えています。その分フォーシームの成績が良くなり空振りも増えたのですが、変化量があるとはいえ球速も遅く被弾リスクも高いカーブが狙われ続ける状況は望ましくありません。

 カーブの改善なくしてエースリリーバーMatonの誕生はないでしょう。カーブの使い方や球種自体の改造含め、アストロズの優秀なフロントや投手コーチたちがどうMatonを導いていくのかに注目していきたいですね。








とまあ、ここで終わってもいいのですが、noteは妄想を開示する場所と教わったのでもう少し筆の赴くままに進もうと思います。

ここから怪文書


ところで皆さん”Sweeper”って聞いたことあります?僕は正直野球見てなかったので、話題になってることさえこの間まで知らなかったです。ヤンキース内では”Whirly”とも呼ばれてるらしいですね。

 調べてみるとどうやら横の変化量が多めのスライダーらしいですね。日本でイメージするスライダーに近いのかな?と思いました。これまではジャイロ成分多めなスライダーが良く投げられていた印象ですが、打者が対応し始めたからなのか、メタゲームのように投手側も変化しているようです。

みんな大好き大谷翔平様も投げており、80mph前半のSweeperが多い中、彼だけ85mphとかで投げてるのは笑っちゃいますね。あとは球速でいえばドジャースのEvan Phillipsでしょうか。Sweeperの発祥はドジャースマイナーらしいので、そんなドジャースがウェイバーで彼を拾うのも納得という感じです。閑話休題。

冥王?


 ドジャースやヤンキースの選手中心に広まっている印象ですが、なんと去年のアストロズで教わったと言い、今年活躍している選手がいます。

その人物とはBrooks Raleyという投手です。海賊王の右腕ではなくタンパベイの左腕です。34歳のRaleyは、去年のアストロズではMatonのような何とも言えない成績を残しながらも、これまたMatonのように積極的に起用されていました。今年も契約できるかと思いきや、投手を見出すことに長けているレイズとそこそこの額で契約していきました。当時僕は、「あのレイズが獲得するくらいだから、アストロズの積極起用も何か光るものがあるからこそだったんだろうなあ……」と思いつつぼんやりと眺めていました。

 下の画像にある通り、今季のRaleyは横変化の大きいスライダーを40%という高い割合で投げています。球速は81mph平均とそこまで速くなく、むしろ遅い部類ではありますが、この球種で左右問わず三振を取っています。ERA 2.70でxERAも2.56と文句なしのエースリリーバーとしてレイズを支えています。

画像はbaseballsavant.mlb.comから。赤ければ良い。青ければ悪い。

Sweeper,RaleyそしてMaton


では、なぜここでSweeperやRaleyの話をしたかというと、Matonのスライダーも似たような球質であるからです。左右の違いはあれど(もしかしたらこの違いが大きい可能性もありますが)、80mph前後の横変化の大きいスライダーを持ち、どちらも高スピンレートを買われアストロズへとやってきました。僕はこの二人が似てるように思えるのです。

 Matonが今まで磨いてきたのは勿論カーブですが、球界全体の流行としてはSweeperが流行しています。僕程度ではなぜSweeperが流行るか詳細な考察ができるわけではないですが、流行っている以上は現代において有効なのでしょう。今年思い切ってスライダーを増やしたRaleyのように、Matonにも変化の時が迫っているのかもしれません。


 ただ、一つ心配なのがMatonのスライダーは制球が甘いという点です。下の図を見てもらうと、右打者のゾーン外中段に集まってはいるのですが、時々甘く入ることがわかるようなヒートマップとなっています。もしかしたら左打者相手だと死球のリスクがあるため投げないのかもしれません。この傾向が改善されなければ、アストロズ側としてもSweeper中心にという組み立てができない可能性があります。がんばれMaton。

画像はbaseballsavant.mlb.comから。全体的に高めでもある。


おわりに ~Matonへの期待を添えて~


去年のポストシーズンでは、12.1IP14Kと獅子奮迅の活躍を見せたMaton。今後どのような進化を遂げるのか1ファンとして見守りたいと思います。稚拙な怪文書をここまで読んでくださりありがとうございました!空き箱先生の次回作にご期待ください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?