子どもを見取る

子どもたちの実態を基に教師がすべき役割を小野(2023)は教育環境に着目しています。


目の前の子どもたちにとって「子どもの育ち」につながる教育環境は一体何なのかを教師が考え、デザインし、実践していくべき

これからの時代教師に求められる役割は様々ありますが、教育環境に働きかける視点は斬新だと思いました。
私が、教育を教師が主語えていたためだと思います。
主体的に学習に取り組む態度、自己調整学習、1人1台端末の導入などを踏まえると、教育観の転換を図り、教育活動を子どもが主語にしていく必要があるとわかります。
ですが、そう簡単にデザインできるわけでもありません。

場合によっては教育環境のデザインが子どものためにならない可能性を内田(2022)は指摘しています。


「子どもにでも操作できる簡単な仕組み」を子どもに提供するというのは、子どもの成熟にとって資するところがありません。たしかに、子どもでも操作できるものを与えれば、子どもはある種の全能感を覚えるかも知れません。けれでも、成長のインセンティブは与えられない。

上記の指摘を踏まえると、子どもの実態に合っていない場合は子どもの成長機会を奪う可能性があります。
そうならないためには、「子どもの実態」に応じる必要があります。
言葉にすると簡単ですが、具体的に子どもの実態はどのように捉えればよいのでしょうか?

そこで参考になるのが、宇野(2023)が示している子どもを見取る視点です。


NRTなどの客観的なデータがあればおおよその傾向は見て取れます。この場合は全体の傾向と、個々がどの教科のどの分野でつまずきがあるかを中心に見取ります。


・学力の定着度(全体の傾向、どの教科のどの分野でつまずきがあるか)
・授業の様子、学習への意欲、取り組み方
・人間関係、男女の仲、問題行動(全体への影響力が高い子ども)
・集団としての良さと課題
・保護者からの要望、保護者同士の関係性
・話す
(誰とでもすぐに対話できるか、自分から意見を言えるか、全体に聞こえる声か)
・聞く
(すぐに話し手に注目できるか、指示を正確に聞き取ることができるか、必要なことを漏らさず聞けるか)
・書く
(どのくらいの時間と正確さで視写できるか、どのくらいの時間と正確さで聴写できるか、考えや思いを文章にして書くことができるか)

4月は子どもたちのことを知ろうと様々な視点で子どもを捉えますが、それがだんだん有耶無耶になっていくことがよくありました。
4月だけでなく、継続して子どもを見取ることを心がけたいです。

参考文献
宇野弘恵(2023)「スペシャリスト直伝!小学校高学年担任の指導の極意」明治図書
小野領一(2023)「Neo classroom 学級づくりの新時代」東洋館出版社
内田樹(2022)「複雑化の教育論」東洋館出版社


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