見出し画像

ドラフト会議とFA

お断り

今回の記事の中には一部の方に不快な印象を与える記述がございますことを予めお断り申し上げます。あくまで1ファンの私見ですので科学的根拠や歴史的史実に裏付けられた記述でないことをお詫びいたします。

人的補償がいつも問題になるFA

フリーエージェント(FA)1993年にスタートした制度です。国内FAは、NPBが定める国内FA資格条件を満たし、この組織のいずれの球団とも選手契約を締結する権利を有する選手をいい、海外FAは、NPBが定めるFA資格条件を満たし、外国のいかなるプロフェッショナル野球組織の球団をも含め、国内外のいずれの球団とも選手契約を締結する権利を有する選手をいいます。選手はFA権を行使するためには在籍球団に残るにしてもFA宣言が必要です。この制度の前身として1947年から1975年まで10年選手制度がありました。前球団の旧年俸順に1~3位をランクA、4~10位をランクB、11位以下をランクCとランク付けされ、ランクAとランクBの選手が補償対象選手となります。人的補償で移籍する選手についてこのオフも問題になりましたが、FA制度はそもそも選手がより良い環境を求めて移籍先を選ぶための制度であることがないがしろにされています。MLBではアクティブ・ロースター(負傷者リストなど各種出場停止リスト登録中期間も含む)に登録されていた日数が6.000(通算6年)に達した選手はFA権を取得し、以降は保留制度に縛られることが無くなります。FA選手はMLB選手会から公示され、ワールドシリーズ終了翌日から5日後に全球団との契約が可能となります(それまでの5日間[5]は、前所属球団との再契約のみ可能)。QOを拒否してFAとなった選手が翌年のドラフト会議までに他のMLB球団と契約した場合、そのドラフト会議で指名権の補償が発生します。詳細は省きますが、ぜいたく税対象チームとそうでないチームでドラフト補完指名順位(ある指名順位が終わった後にFA選手を取られたチームがさらに指名できる権利)等の決め方も細かく、完全ウエーバー制度が前提となっている仕組です。NPBのFA制度はドラフト会議1巡目がウエーバーでない上に、FA権は宣言しなければ行使できない仕組みなので、選手の自由度がかなり低い制度になっています。もし人的補償自体を止めて、金銭のみにする等であれば別ですが、ドラフトとFAを紐付けるとすれば、FA、ドラフト共に制度を変える必要があるでしょう。

ドラフト会議はなぜ完全ウエーバーにならないか?

1964年、パ・リーグオーナー懇談会において時の西鉄ライオンズ社長・西亦次郎がNFLに倣ったドラフト制度導入し、跳ね上がる新人獲得の契約金を抑制し、戦力の均衡を目的とすることを提案し、1965年から実施されました。1967年ドラフトからあらかじめ抽選で指名順に基づいて順番に選手の指名を行うこととなりました。ウエーバー制度に近いものです。しかし1977年ドラフトで江川選手が巨人入団を希望し、江川事件が起きます。1977年ドラフトのいの1番はクラウンライターでした。指名順が決まった後の休憩時間に、クラウンの坂井代表はパ・リーグ在阪球団の首脳から囲まれ、「江川に入札しないと許さない」と恫喝されました。クラウンは経営難で、パ・リーグを牛耳っていた在阪球団に歯向かうと、リーグから追い出される可能性もありました。当初は地元西南学院大の門田投手1位予定でしたが、2番目指名球団が巨人であること、パ・リーグ他球団からの恫喝で江川指名をします。この事件が45年間尾を引いてウエーバー制度ができていないのです。完全ウエーバーで1番目に指名できるチームに対して、巨人やソフトバンクに行きたがっている選手を他球団やファンが無理矢理指名を強いる危険性を危惧して今日まで来ています。その後、1993年からは逆指名、自由獲得枠、希望入団枠という自由競争の枠が高校生以外に適用されました。この制度により事実上、契約金は青天井となり、裏金問題が横行し、2007年で15年にわたる一部自由競争は廃止されました。巨人がFAと共に導入を主導した逆指名初年度の1993年目玉選手である青学大小久保、関東学院大河原、神奈川大渡辺、NTT四国山部については、巨人に対して逆指名を得ることができず、巨人は東北福祉大で日本ハムを逆指名した関根投手の二番手投手だった三野投手からようやく逆指名を取り付けました。ちなみにFA初年度の93年、巨人生え抜き選手で最初で最後の駒田選手がFAで横浜へ移籍しています。逆指名もFAも決して巨人だけが強くなるための仕組としては機能しませんでした。一方で、少々ランクの低い選手でも逆指名を取り付けることがスカウトの使命となり、新人選手獲得費用が高騰しました。

令和の今なら完全ウエーバー制度、FA権は自動行使でもいいのでは?

MLBに倣ってFAで選手が取られたチームは、ドラフトの指名権を得る制度にするのであれば、完全ウエーバー制度、ぜいたく税の導入が必要だと思います。ぜいたく税に関しては、NPBの場合、育成選手まで含めた総年俸にすべきだと思います。人的補償よりも無限大に育成選手を囲い込める制度の方が、チーム格差に繋がるような気がします。こういった選手保有に関する制度は一体化して考えないと、抜け穴で矛盾が生じてしまします。

ドラフト完全ウエーバー、FA権自動行使の方が編成計画が立てやすい

ベイスターズでいえばプロ・アマスカウト部長に野球経験のない長谷川氏が就任しました。現在のFA宣言させるとそのフロントは無能みたいなムードとか、入札を避ける独自ドラフトするフロントは無能みたいな本来の編成計画と関係ない批判みたいなものが、ドラフト完全ウエーバー、FA権自動行使ならばなくなります。順位が決まれば、何番目に指名ができるのか下位の順位までわかります。ドラフト直前にはだいたい他球団が誰をどの順位で指名するのか、ベイスターズはほぼ把握できているようです。わからないのは抽選部分だけです。その不確定要素を取り除くことができれば、ドラフトでのチーム編成案の仮定が作りやすくなります。また選手育成計画も自動FAであれば、二軍での育成期間、一軍で試合に出ながらレギュラー獲りまでの期間などを逆算しなければ、結果が出始めたところで他球団に移籍される可能性が出てきます。果実を得るための選手育成期間を逆算できるチームが強くなりますので、仮説を立てて編成するベイスターズのようなチームが有利になってきます。NPBもそろそろ方向転換が必要ではないでしょうか?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?