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高円寺南口風呂なし1K


#はじめて借りたあの部屋

東京に来てからずっと寮暮らしでした。はじめは3畳の予備校の寮。次は6畳あるけど2人部屋の大学の寮。寮は朝と夜のご飯が出ます。そしても門限もあります。予備校の寮は夜8時が門限です。勉強するための寮ですから仕方ないですよね。大学の寮は23時だったかな?寮は共同生活ですから自由が少ないんです。大学の寮の契約が2年で更新しないと決めてからどこに住むか、いくらの家賃でやり繰りするかと考え始めました。これが楽しかったですね。まずは雑誌のアパマンとかそういったものを調べて希望の家賃とエリアで絞り込んでいきます。学校までそこそこ近くて5万円以内。23区内がいいな・・・とか。もう30年以上前の東京ですが5万位内で風呂付は無理でした。風呂なしと決めたら便利な場所をセレクトです。新宿駅の近くにあったアパマン館とか回りましたが、住みたいエリアの地元不動産がいいということで中央線高円寺に降り立ち、新高円寺方向まで歩き青梅街道沿いの不動産屋で見つけたのが高円寺駅7分、新高円寺駅5分の好立地アパート。しかし古い。きれいだけど裏はお墓。そして杉並八小の裏。3万5000円。即決しました。どうせ寝るだけだから。自分の城ができる喜びはとても大きかったです。買ったばかりのCDラジカセ(まだCDが主流になりかけの頃です。)に桑田佳祐のいつか何処かで (I FEEL THE ECHO)のCDを入れて一人聞き続ける時間がとても充実していました。自分のライフスタイルの導線を探しながら高円寺という銭湯もあり、安くておいしいものがすぐ揃う街で暮らす。はじめて行った高円寺の銭湯は衝撃的でした。お風呂場を空けると片側半分は刺青のあるお客様、もう片側は金髪のパンクロッカー。高円寺という街の包容力の深さを感じました。新宿から近く、飲食店も多く活気がある街。若い人が暮らす街としては暮らしやすかったです。学校までも40分ほど。寮にいた時は寮の仲間との共同生活というところに重点が置かれて、街を体感できなかったけれど、一人暮らしでは街を堪能できそうです。アルバイトも選ばなきゃ・・・購入した安い炊飯器ではじめて炊いたご飯、ガステーブル買ってフライパンではじめて作った野菜炒め。新生活を堪能する時間が十分すぎるほどある気を使わない一人暮らしライフ。家の照明からカーテンから全て自分で用意する、当たり前だけど生活のために必要なことに気づく喜びを感じました。やさしく差し込む夕日が一人暮らしの午後を包み込んでくれる至福の瞬間だったなと今にして思い出します。

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