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ラミレスの器

2019年のシーズンは1997年以来22年ぶりの2位となりました。優勝も含めて2位以上は21年ぶりです。それでもSNS上ではラミレス批判が多く目立ちました。打順を固定しない、リリーフ投手を酷使する、ランナー出たらバントという昭和の野球をしない、試合後のインタビューがいつも前向きで反省がない、選手を怒らない、データを駆使しすぎ等々。8番投手という打順が批判の象徴で見慣れないものを見ると拒否反応を示すというファンがかなりいたという印象です。試合後はTomorrow is another dayといつもポジティブに切り替えるコメントが多く、選手の批判やチーム方針の間違いをコメントすることはありません。また8番投手をはじめ、奇策と思われる作戦も多くはデータに基づいており、このデータについてファンが炎上していることに球団としても対策をしてシーズン後半は「フィーリングで決めた」というコメントもラミレス監督から発信させています。チームとしてはファンがデータに基づいての野球を批判するとチームの根幹が崩れてしまうので火消しに走ったのではないでしょうか?監督して球団のファンサービスも含めた方針を理解し、コーチや選手を仲間として最終的な試合での意思決定について責任を取るという姿勢はラミレス監督の度量だと思っています。ベネズエラから出てきてメジャーでの成功を夢見ながら栄光の手前での挫折、日本での成功。ラミレスの経験は日本のプロ野球選手に多い野球エリート街道とは全く違うものだと思います。その中でのサバイバル術というのがなかなか受入らえないという状況なのです。特に日本では高校、大学、社会人と体育会系の縦社会があり、教育方針も先生絶対主義で指導者や先輩に服従という戦中の軍隊の仕組みが残っています。目上の者には直言できないとか、目上の人間は1人の人物をかわいがると統率できないから部下と口を利かない、その代わりマスコミなどを通じて持ち上げたり、けなしたりするという海軍式管理野球のファンはとても多いことを感じました。広岡監督は森ヘッドコーチに選手の私生活まで調べさせ弱みを握り絶対服従させたそうです。江夏が広岡監督が痛風になった時に「野菜中心の食事を選手に強いているので広岡さんもそうだと思うのですが、なんで痛風になったんですか?」と質問されて江夏を二軍に落としそのまま戦力外にしました。割とこいう野球の方が受けがいいんだな?と感じました。それと打順固定、レギュラー固定へのこだわりが強いファンも多いです。逆に2位で勝ち星も多いので勝ちパターンの投手の登板が多くなるのですが、こういう時は酷使と批判するファンも多いです。実績のある田中、三上が故障で登板できず、パットンも途中離脱、先発では東、濱口、京山という実績のある投手が故障や不調で登板できない中でのやり繰りというのはなかなか難しかったと思います。選手やトレーナーと向き合いながら慎重に登板も決めているようで極めて有能な監督だと私は思いました。ただ選手層が薄いままではシーズン持たないということも実感したと思います。そんな中でチームを打線の中心として支えてきた筒香が抜けた後の采配というのはラミレスの真価が問われると思います。また三浦が明らかな後継者として二軍監督に就任しました。チームの次の段階を考えるのは三浦、20年のシーズンの勝利を考えるのはラミレスという明確な体制になったので集大成の成果を見せてほしいです。

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