就活生、都市対抗野球を見に行こう

どうも、ベイズターズ'エールの頭を抱えがちな方、在野です。前回提起したピタゴラス勝率についての話題は一旦さておき、都市対抗野球が今界のテーマです。

夏と言えばお祭りシーズンですが、私が夏の奇祭だと思っているのが、都市対抗野球です。ベイスターズのメンバーでは、宮崎選手や度会選手、上甲選手などが活躍しました。都市対抗は社会人野球の全国大会の一つで、東京ドームで毎年夏に開催されます。昔は甲子園以上の人気を誇ったという話もあります。昔の様子が気になる人は当時の新聞を調べてみましょう。毎日新聞社とその前身である東京日日新聞社が主催していますので、毎索というデータベースを近くの図書館で利用すると見られますよ。

奇祭?

野球に全力を尽くす社会人の全国大会に対して奇祭とは何事か!と怒る人もいるかもしれませんが、これが中々不思議なイベントです。 順番に不思議なポイントを見ていきましょう。

入場料は無料

条件を満たせば入場料が無料になります。その条件は特定のチームを応援することです。多くの場合、東京ドームの前に各チームのブースができますので、そこに並んで御社を応援しに来ました!というとグッズとともに入場券がもらえます。この場合は1塁側か3塁側の内野席に案内されますので、ちゃんとそのチームを応援しましょう。この時に周囲を見回すと面白いです。例えば、山形県の第二地銀であるきらやか銀行の応援に行った時には、政策投資銀行(DBJ)の名札をぶら下げた人が関係者っぽい人とともに並んでいるのを見かけました。

補強選手という制度

都市対抗野球は〇〇市というチーム名になります。出場するチームは同じ地方から補強選手を得ることができます。普段は別のチームにいる人も一緒に、都市の代表として戦うという、他には見られないチーム編成をします。

学生野球ともプロ野球とも違う応援

一番の違いは拡声器を利用することでしょうか。地声で応援する学生やプロと違って、都市対抗では、拡声器で応援する応援団がいます。それに適応しているのか、独特の音域で応援がなされます。これが中々クセになります。

そして、応援団もその会社の社員、関連会社社員のことが多いようですが、地域の大学の協力を得ている場合もあるようです。高校や大学の応援では応援団やチアリーディングが出ることもありますが、部活や体育会で鍛えられている彼ら・彼女らと異なり、素人っぽい人が全力で応援をするのが都市対抗野球です。

さらに、都市対抗の名前通り、各チームはその都市を代表して来ていますので、ゆるキャラや首長まで応援に来たりします。これも他では見られない特徴です。

そもそも、営利企業の合理的な行為なのか

就職活動をしている学生などであれば、これは営利企業の合理的な行為なのか大きな疑問を持つと思います。これで営業利益が増えるのか、ステークホルダーの利益最大化につながるのか、という疑問を持つのはしごく当前のことです。そして、少し気を注意してみれば、これに対して企業も労力を割いていることが分かるでしょう。おそらく人事部などを中心に、社員の応援はもちろん、その家族や近隣の人、東京での取引先などに声をかけ、新幹線や飛行機、宿を手配し、東京ドームまで案内するのでしょう。東京観光なども付けるのかもしれません。

そのわちゃわちゃした感じを見るだけでも、社会科見学になる不思議な光景です。

会社をあげて野球を応援するという不合理

仮に営業利益が増えるか、ステークホルダーの利益が最大化するとしても会社一丸となってスポーツチームを応援する姿はかなり特異なものです。就職活動をする人にぜひ勧めたいのが、この風景を見ることです。都市対抗野球を見に行って、違和感を覚えない、むしろ積極的にこの一員になれると思った方は日系大企業が向いていると思います。逆に、「あ、これは無理だ」と思う人は就職先から積極的に日系大企業を外したら良いと思います。私は就職活動の1年前の夏に行って、日系大企業は無理だと思った方の人間です。

そんなわけで、東京で進路に迷っている人は夏の数時間を割いて都市対抗野球を見に行くことをぜひおすすめします。

大人になると見えてくるもの

20代前半までは私も「これは無理でしょ」派だったのですが、年を取るにつれて見えるようになってきたものもあります。それは地方に対する視点です。

例えば、昨年はホンダ熊本の試合を見に行ったのですが、その所在する大津町の人たちは都市対抗野球の機会でもなければ、なかなか東京に来る機会はないかもしれないです。ホンダ熊本は大津町の雇用を生み出しているだけでなく、野球を通じて体験格差の是正にも役割を果たしているのだろう、と考えることができるようになりました。そして、都市対抗野球を通して野球を見る側の人も色々な都市を知ることになります。大津町が町を継続しているということは、ホンダ熊本からの法人税が潤沢で平成の大合併でも周辺と合併する必要がなかったのだろう、とか熊本空港のある益城町に近いから空輸でホンダの部品を運んできているのだろうか、とか、今まで知らなかった自治体に対して考える機会にもなります。

このように、年齢を重ねることで新しいものが見えてきますので、就職活動をする学生以外にももちろん楽しめるイベントとなっています。就活生もそうでない人も、暑い夏はぜひ東京ドームで都市対抗野球を楽しみましょう。

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