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ディアス、先駆者であれ。

今日のディアス

『今日のディアス』は2024年の横浜DeNAベイスターズ春季キャンプの日替わりコンテンツです。毎日ジョフレック・ディアス選手がちょいネタを披露してくれる癒し系コンテンツでした。ディアスは南米のベネズエラ出身ですので、主に寒さに震えています。

そんな球団はそんなディアス選手と6月8日に支配下選手登録をしています。どんな選手なのでしょうか。

高い奪三振率とまだ多い四球

ディアスは2020年1月に育成選手として横浜にやってきました。公称、身長は191㎝、体重は93㎏。2020年シーズンこそ目立った成績を残せませんでしたが、翌2021年のシーズンではファームで78人の打者から26個もの三振を奪っています。実に33%。素晴らしい奪三振能力です。この際の与四球は10個、13%程度ですので、平均よりは多いです。

そのまま順調に行くかと思いましたが、2022年にトミー・ジョン手術を受け、2023年シーズンの後半にようやく復帰。今年は1軍キャンプにも呼ばれ、ファームでは63人の打者から14個の三振を奪っています。22%ですので、平均を上回っているはずです。一方、与四球は9個。14%程度ですので、平均よりは悪いでしょう。

以上の情報を総合すると、ポテンシャルを発揮しきれていないものの、高い奪三振能力を持つ大型左腕ということになります。サンプル数が少ないのですが、坂本裕哉のファームでの奪三振率が23.5%くらいなので、同じくらいを期待して良さそうです(データは全てNPB公式がソースです。)。現在投手陣のやりくりが大変なことになっている横浜にとっては、とてもありがたい存在となるでしょう。

横浜苦難の外国人投手育成

さて、ディアスの支配下登録はとても喜ばしいのですが、ここまでの道のりは平たんではありませんでした。ディアスにとっても、球団にとっても、です。ディアスが苦労して横浜に来てTJ手術で…みたいな話は別のところに任せまして、今回は球団の方に焦点を当ててみましょう。

ディアスとの育成契約は2020年のシーズン開始前ですが、彼は2期生に当たります。2019年にレミー・コルデロ投手と育成契約したのが1期生で、ここから横浜の「育成選手でフィジカル強そうな選手を拾って、自前で一人前に育てよう計画」が始まったと見ています。当時は新しいことを始めたな、と思ったものです。ただ、なかなかNPBのファームレベルにも行けず、BCリーグ等への派遣が続きました(とはいえ、派遣した後も横須賀でユニフォーム来て投げていた選手もいた気がします。この辺は記憶に則って書いているので誤りがあったら申し訳ないです。)。1期生コルデロと2期生の同期フランディー・デラロサはその後2021年に退団になります。3期生、2021年シーズン開始前に来日したスターリン・コルデロもコントロール難を克服できずに、2023年に退団となります。こちらの選手はご存じの方も多いかもしれません。こうして、今のところ残っているのは2期生のディアスと3期生のハンセル・マルセリーノの2名のみ。このまま二人が大成しなかったら、「育成(中略)計画」自体が大幅な見直しを迫られたでしょうから、まずは一定の成果を出せたということで、今回の支配下登録はなお喜ぶべきことだと思います。

なぜ喜ぶべきなのでしょうか。それは、同じ道を後から歩む人が出てくる可能性を開いたからです。おそらく、これからも中南米やそれ以外の国から野球で一旗揚げようとメジャーやNPBを目指す人は出てくるでしょう。すぐにメジャーの目に留まるような才能を全員が持っているわけではありません。日本式を経由した方が真価を発揮できる人もいるかもしれません(巨人にいたマイルズ・マイコラス投手などは良い例です)。もしくはメジャー以外に市場があることで、選手が足元を見られることも少なくなるかもしれません(良い例になるかは分かりませんが、スチュワート Jr.はそうなるかもしれません)。そんなわけで、横浜の「育成(中略)計画」から最初のNPB一軍レベルの選手が出たというのは後に続く人のために轍を刻んだ良い事例だと思っています。

あとは結果を出すだけ!

ディアスにポテンシャルがあるのは分かっています。愛されるキャラなのも、今年の春に皆さん知ったことでしょう。あとは、結果を出すだけです。おのずと人気が出るでしょう。そうしたら、あんな風になりたい!と思う野球キッズが日本にも海外にも増えるでしょう。頑張れ、ディアス。応援しています。

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