横浜におけるオースティンの重要性を考える
勝ち切る覚悟
2024年9月5日。ハマスタで迎えた広島3連戦の最終日。ここまで2連勝でカード勝ち越しを決めたベイスターズは、序盤のピンチをしのぎつつ、2回裏に床田投手から京田選手のタイムリーで1点を先制します。6回裏にもオースティン選手のタイムリーでさらに1点を追加するも、7回、8回に広島に得点され、試合は延長戦へ。
11回表、ついに試合が動きます。2アウトから上本選手がヒットで出塁すると、続く小園選手の打球は外野のライト線、フェアゾーン内にポトリと落ちるタイムリーツーベースとなってしまいます。とうとう広島に1点を勝ち越され、またこの展開か…とこれまでの対広島戦での嫌な記憶が蘇ってきます。
しかしこの日は違いました。11回裏、先頭の佐野選手がバットを折られながらも左前へ運ぶヒットで出塁。続くオースティン選手もフォアボールを選び、無死1、2塁のチャンスを作ります。
ここで打席に立つのは牧選手。カウント2ストライクまで追い込まれながらも、外角のカットボールを左中間へと弾き返してタイムリーツーベース!ここまでノーヒット、エラーもあってか、2塁ベース上で感情を爆発させてガッツポーズをとる牧選手。勝ちへの執念を感じさせます。
その後2アウトとなりながらも、満塁の場面で伊藤光選手の打席を迎えます。「自分が決めてやる」という想いは持ちつつも、冷静にボールを見極め、押し出しフォアボール!土俵際から2点を取って、劇的なサヨナラ勝利となりました。
これまでの広島戦、接戦で追いつかれた試合はほぼ逆転負け、という状況が続いていました。ファンにとってはトラウマ。
ですがこの日は、その嫌なイメージを払拭する、見事な逆転勝ちを見ることができました。まさに「勝ち切る覚悟」を実感させる試合でした。
チームの命運を握る男
こんにちは。ベイズターズ'エールのたまには数字を扱ってみたい方、mochiです。今回はなんだかそんな気分。
ここまでを思い返してみると、浮き沈みが激しいシーズンだったような印象があります。そこには、今回のテーマであるこの選手が深く関わっている…?
圧倒的な長打力とパワー、アグレッシブな走塁、ハッスルプレーの数々が魅力的なタイラー・オースティン選手。2020年の入団以来、華々しい活躍を見せてきたものの、ここ数年はケガに苦しめられるシーズンでもありました。ところで、なんでこんなかっこいい写真撮れるのかは謎。
話を戻します。今シーズン、ベイスターズは何度か負けがこんでしまう時期がありました。肌感覚ではありますが、その時オースティン選手は離脱していたような…。
今回は、9月8日までの121試合について、オースティン選手が出場選手登録をされている時期と、抹消されている時期に分けて、その勝率を比較してみたいと思います。
調査はすべてスポナビアプリを用いて行いました。公示を総ざらいして出場登録期間を確認し、プロ野球カレンダーで日々の勝敗をカウントしています。
※登録されている時期でも、ケガ明け直後でフル出場はしていない、といった場合もありますが、そこまでは考慮せず、あくまでも1軍にいるかいないかで考えたいと思います。ご了承ください。
出場登録されている時期
合計89試合で51勝37敗1分という結果に。勝率は57.3%でした。
開幕直後は広島、阪神、巨人相手に勝ち越し、好調な滑り出し。
オールスター前までは、交流戦ビジターで8勝するなど、こちらも強さを発揮していた時期でした。なおホームでの交流戦では3勝6敗だったことは忘れることにしました。
8月に入ってからは、「.321 7本 17打点 出塁率.396 OPS1.050」と月間MVPを獲れそうなほどの成績を残し、ベイスターズの復活を下支えしました。惜しくも近本選手に及びませんでしたが…。
離脱した時期
続いてはオースティン選手のいなかった期間について見てみましょう。
先ほどとは一転、惨憺たる結果に…。
32試合中、10勝21敗1分、勝率は31.2%。正直ここまで差が出るとは思っていませんでした。
最初の離脱は足の肉離れによるものでした。得点が失点に追いつかず、徐々に負けがこんできた時期でしたね。この期間に筒香選手が戻ってきたのは、記憶に新しいところ。
2回目の離脱は、オールスターでバウンドした打球を顔に受けてしまったことによる、脳震とうの特例抹消でした。オールスターを挟んで9連敗を喫していましたね。
もし離脱していなかったら
ここからは完全に妄想の世界です。
もしオースティン選手が一軍に居続けていたとしたら…仮に同じくらいの勝率を保てていたとしたら…
後者の期間は18勝13敗1分と仮定すると、121試合を終えて69勝50敗1分。首位にいられる数字になります。
終わりに
オースティン選手がいるかいないかで、勝率にかなりの差が出たことが分かりました。
もちろん、全ての原因がオースティン選手の不在にあるわけではありません。投手陣や打線の調子もあっての結果だと思います。
しかしながら、オースティン選手の打力、得点力がいかに重要かを物語る数字でもあるのではないでしょうか。
8月27日、冒頭に記した「勝ち切る覚悟」という新しいスローガンが牧キャプテンを中心に考案、公表されました。そこからチームは上位チームを相手に6勝1敗。一気に息を吹き返し、優勝争いに再び食い込もうとしています。残念ながら、9月10日は阪神に負けてしまいましたが…。
ヒーローインタビューに登場する選手たちは口を揃えて「誰も諦めていない」と言います。8月27日の阪神戦では、普段は温厚な三浦監督の、気迫のこもった表情が見られたシーンもありました。ベイスターズというチームから、勝利への執念、並々ならぬ覚悟が伝わってきていると感じています。
自分たちファンにできるのは、選手やチームを信じ、声を枯らして応援すること。残り約20試合を戦い抜き、26年越しの優勝を掴み取ってくれることを、心から祈っています。
今回もお読みいただきありがとうございました。それでは!
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