中林稜

詩をかいたりしている

中林稜

詩をかいたりしている

最近の記事

ひかりのこえがきこえる(エッセイ)

「ひかりのこえがきこえる」って中学生くらいの少女がマンションの前で歌っていて、一乗寺の駅に向かう途中だったんだけど、なんか惹かれて見てみたら男女でハモってて、あ、ひかりのこえがきこえたかもって思わせるほどエモい光景だったなあ、多分中三くらいだろうなって考えてたら、踏切についちゃって、そこで鹿が見えた気がして振り向いたら、というか大体のことって振り返ったら初恋みたいだよなあって考えたら、そういえば初恋の人は高学歴で僕の偏差値の2倍だあってちょっと悔しがるんだけど、僕は「へんさち

    • 詩「ニートでした」

      汚染された下線部の縄張りを引き剥がしたところで 踏切がやって来て 滑稽だ、滑稽だ、と言いながら 僕の前を通って行った と君に話した時に 器にはでかい刃みたいなのが落ちていて 熱くなったばかりのコーヒーみたいに いや、お湯になった後コーヒの粉を入れたんだからそれはおかしいかと考えながら、君の返事を待っていると 雪でできた 火 或いは 雪みたいな光、いや光みたいな雪、みたいな 藻が落ちて来て、そこで監督は場面をちょんぎって次の場面に行くのだけれど、遠くから見たらそれは何か、重要な

      • せっくす、どらっぐ、じさつ、えも

         自分が何か意見を述べようとする、例えばエッセイを書こうとすると、どうしても文章が出てこないし、自分が考えていることは大したことないし、大体要約すると三行に収まるので、エッセイが書けない。てか、私小説と何が違うんって思う。意見を述べるのだったら、レポートとか、論文の方が良いし、って思っちゃう。  だからエッセイが書けない、から、独自の方法で文章を書くことにした。文章を超スピードで書く。思考より早く。僕は考えながら文章を書く事が苦手なので、何かに導かれるようにして、書くことに

        • 詩 「繁忙期」

           繁忙期   中林稜 意識が氾濫する時 必ず 流れがある (彼氏の家でカレーを食べると いつも必ず、空は晴れる) 跳ねていく画鋲どもへ 幼さを全面にした考証 ふる ふる 全身に (その時彼は汚く笑う) 灌漑を手から放して そのまま夢の狭間に溺れる (わたしは行方不明の彼を未だに探している)

        ひかりのこえがきこえる(エッセイ)

          俺たちは20歳で死ぬつもりだった

          「わたし、二十歳で死ぬ予定だった」と彼女が言った。彼女は洗濯物を畳んでいた。丁寧な手つきだった。俺は思い出した。かつて俺も同じだった。俺も二十歳で死ぬつもりだった。  二十歳になった後色々あったし、なる前はもっと色々あった。俺は大人になったし、俺は死にたかった。  死にたいのは時間の不可逆性のせいだとも言えた。転校とかいじめとか受験とか、後悔とか色々。ずっと死にたい日々が続いた。明確な理由は過去のせいだと言えた。過去、色々あったからで大体のことは片付けられる。今でも傷は疼い

          俺たちは20歳で死ぬつもりだった

          のようなもの 「日記」

           ノイジーな生活を送る中で、零れ落ちそうな精神が多くあって、私は防空壕で爆弾の音に合わせて踊るように震えている。  日々はドラマチックなこともなく続いて、ただ目覚めと眠りの間を大きな瞬きのように繰り返している。ただ優しくなりたかっただけなのに、優しくなり過ぎて色んなことが忘れられない。楽しかったこともあったはずなのに、苦しい思い出だけが夢の欠片のようにフラッシュバックして私を蝕んでいく。このまま食べられるだけで、私は誰にも見つからずに生きていくのだろうか。存在理由を問うていた

          のようなもの 「日記」

          知らない人が自殺した原因はお前らであり、俺でもある。(最近の飛び降り自殺について)

           横浜駅で飛び降り巻き込み事故が起きた。飛び降りた人は10代から20代で、巻き込まれた人は30代くらいだったらしい。両方亡くなった。  15歳から39歳までの死因の一位は自殺だ。その理由を大学の教授に尋ねたことがあるのだが、どうやら単純に他の死因が少ないかららしい。若者は病死や事故死が少ないから、相対的に自殺が一位になるのだと聞いた。  自殺の巻き込み事故について、世間の反応は割と二分化している気がする。巻き込まれた人が可哀想、死ぬなら一人で死ねという反応が大多数。自殺を

          知らない人が自殺した原因はお前らであり、俺でもある。(最近の飛び降り自殺について)

          「今時、リスカなんてデフォだよ」と君が言った

           入院した時、検査で大量の血液を抜き取られて、リスカくらいの血の量じゃ人間は死なないだろうと思った。左手から血を抜かれる時、僕のリスカ跡を見て看護師が言った、「私も首吊り自殺したことある。未遂で終わったけど」っていうセリフが忘れられない。 僕の日常は少しずつ変わり始めていて、周りの友達でリスカしている人は多いし、僕だってしたことがある。痛くてもうやりたくないけど。 ODやっている人もいる。そういう人が周りに増えるたびに、自分が正常だったのだと知る。 「今時、リスカなんてデフォ

          「今時、リスカなんてデフォだよ」と君が言った