神風が吹いた合格

前回の記事で、１４校出願して１校しか合格が出なかったことからも薄々バレているかもしれませんが、今回の合格について私は、辛勝もいいとこだったというのが偽りのない感想です。

ちなみにアメリカ大学院のコンピューターサイエンス学部の倍率は年々高まってきており、トップ大学の合格率は５%前後という厳しさです。

絶望的なスペック

自分のスペックについて客観的に見ると、ほとんどマイナス要素ばかりです。お恥ずかしながら、私は出願者の中でも最弱の部類だったと言わざるを得ません。
・GPAは２．８６（前期２．５０、後期３．１８）という驚きの低さ。（注：GPAは大学の成績を０～４の数値にしたもので、基本的にトップ米国大学院の出願条件は３．０以上です。合格安全圏に入るには３．５以上と言われています。我々日本人には理解しがたい点ですが、卒業大学名よりもGPAの方が重視されるケースが多いようです。）
・学部の専攻分野がIT系とかけ離れていること。
・今の勤め先が有名企業ではないこと。
・GRE（アメリカ人含め、アメリカの大学院に入りたい人が全員受けるセンター試験のようなものです）の点数もそれほど高くないこと。
・英語のスコアも少し物足りないこと。TOEFLは９７点で、安全圏内に入るには１００点は欲しいところでした。

（Texas A&M大学の募集要項にも、TOEFL１００点ないと合格の可能性はかなり落ちるよ、と書いてあります。）

…とまあ、書いていて辛くなるようなお粗末なスペックでした。

「東大卒って十分ハイスペックじゃねーか！」って思われるかもしれませんが、ことアメリカ大学院出願に関しては、東大卒というだけではそこまでプラスにならないと思います。むしろ私の場合、東大のプラスをすべて帳消しにするほど低いGPAのせいで、トータルで見るとむしろマイナスになっていた可能性すらあります。そもそも応募したほとんどの大学で出願条件としてGPA３．０以上を求められていました。つまり悲しいことに出願条件を満たしてすらいません。しかし、そんなことはわかっていても過去（GPA）は変えられない上に、せっかく留学するならばある程度優秀な大学に行かなければ意味がないので、私はミラクルを狙って出願するしかありませんでした。

合格発表の時期

合格者は早くて１月や２月ごろには連絡が来るようですが、私は３月半ばになってもどこからも連絡は来ませんでした。さらに極めつけには、今年のちょうど合格発表の時期にはコロナ禍による影響で、多くの大学で合格者数を縮小する方向に舵を切っているという情報まで入ってきました。

絶望的状況

これは完全に全落ちの流れだと危惧しました。もともとミラクルに期待するしかないような今回の出願でしたが、状況はさらに悪くなっていくばかりでした。待っていても敗戦濃厚というのがいよいよ現実味を帯びてきました。私は最後にもう、ダメもとでいいから悪あがきをしようと思いました。各大学のAdmissionに関わっていそうな教授５～６名ずつに、下記のようなアピールを盛り込んだ、とにかく合格させてほしいという旨の超長文のメールを送りました。
・現在プログラマーとして、出願時よりも重要なポジションで活躍していること
・GPAが低いがそれは過去の話であり、日本でそれほど重視されておらず、また私がほとんど力を入れてこなかったGPAという数値を見るのではなく、今の実績を見てほしいこと
・また、今回の留学では高いGPAを取る明確なモチベーションがあること
・自分が過去にCourseraやUdemyで受講してきたCS系の講座のリストと修了証を見せて、専攻違いからでも挽回しようと努力をしてきたこと
・競技プログラミングAtCoderのパフォーマンスが出願後からも伸び続けていること
などをアピールしました。

奇跡は起こった

そうしたら、なんとその翌日にTexas A&M大学の日本人教授から、「Admissionに推薦しておきます」という返事がきました。そしてその直後、Texas A&M大学から正式に合格の連絡が来ました。タイミング的に考えて、このメールによるプッシュのおかげで合格したのは間違いないと思います。ちなみに、１００通弱ほど送ったこのメールですが、ほとんどの人に無視されました。５人ほどから返事はきましたが、形式的な返事でした。唯一、Texas A&Mの日本人の教授からは好意的な返事がもらえました。偶然ですが、メールを出した人の中で日本人はその人だけでした。日本人だったから何か共鳴するものがあったのかもしれませんし、たまたまその方がAdmissionに関わる大きな力を持っていたのかもしれません。本当に感謝すべきことに、結果的にはその日本人教授から推薦を頂けた、ということになったのだと思います。

見苦しく悪あがきをした結果、奇跡的にもらえたこの合格は本当に嬉しかったです。

副作用（？）

ちなみに、Texas A&Mから一番最初に合格の連絡が来て以来、その他の学校からは雪崩のように不合格通知が届き始めました。

今回はたまたま結果オーライでしたが、皆様はくれぐれも用法・用量にはお気を付けください。