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練習日記 Vol.134

前回の記事には、長年好きになることがなかった佐野元春の作品を買ったことを書いた。
今回は、その作品「VISITORS」を聴いた感想を少し書くことにする。

まずは第一印象は、「佐野さん、ヒット作を飛ばした後にこれはイケません!」だ。
前作を踏襲する雰囲気も、リスナーに媚びた感じも無くて、当時置いてけぼりを食らった人がいたのもうなずける。
前作と同じような作品をヒットさせ、ヒットメイカーの地位を確立することも出来たはずだが、それはやらなかったんだな。
これだけでも、かなりの好印象だ。

その第一印象に通じるのだが、虚飾のない等身大の作品だと感じた。
自分を大きく見せたり、無理してテンションが高い感じを演出する人は多いが、「VISITORS」から聞こえるのは、佐野元春のニューヨークでの日常や、その生活の中で感じたこと等で、それ以上でも以下でもないように思った。

「俺の熱い思いを聴いてくれ!」的なものだと、「ま、ちょっとならエエけど、早よ終わらしてな」という気持ちになり、夢を掴み取るぞーみたいな曲が始まって、「あ、そう。好きにしいや」で終わるのだが、そういうチープな音楽とは、全くの対極にある作品で安心した。
メッセージ性はあると思うけど、どこかクールで、聴く側に考えることを委ねているような感じを受けた。

そしてサウンドは、80年代の作品だがミックスが良いと思う。80年代の作品は、曲や演奏が良くてもミックスが酷いものが多い。
一番嫌なのはリバーブのかけ過ぎで、風呂場みたいなの音。そしてJ-POPにありがちな歌のボリュームが大きすぎるミックスだが、「VISITORS」はそのどちらでもなく、自分の好みに近いサウンドだった。

まだ数回しか聴いてないけど、これは結構深掘りする必要のある作品買っちゃったなと思っている。
同世代にはデビュー当初から聴いている方も多いはずだが、そんな方々に佐野元春が好きではなかった僕からひと言、
「あなた達が正解でした」。

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