選挙の投票先ってどう決めるの?個人的な考え方の紹介
衆院選がやってきた。政治に関心がない人にとっては嵐のように唐突で、関心があった人にとっても唐突であった。というのも石破総理は先月の総裁選中に「総理になっていきなり解散選挙するとか良くない」という趣旨のことを言ってたんですよ。それが総裁になった瞬間に解散するって言ったのでビックリ。
解散前に「国会での議論」不要? 自民党総裁選 候補者9人討論会(3)【news23】 | TBS NEWS DIG (1ページ)
そんな突風のような選挙とかいうイベント。
政治につね日ごろから関心があるなら対応して投票先を選べるとおもうけど、そういう人は少ないじゃないですか。メディアも始まったとたんに情勢報道とかの体制に移行しちゃって、「選挙行け」って世間に言われて行っても、よくわからないまま投票して実感なく終わる…って人が友達にもけっこういる。
私は政治にある程度関心があるので意見みたいなのはあるけれど、選挙にはとっつきづらさを感じる。
ほんとうにシステムがわかりにく過ぎるよね…。というわけなんで、選挙とかいうイベントをやりすごすにあたって、よくわからないなりに自分が考えていることを書いてみました。すこしでも参考になったりしたらいいなあ。
衆院選は今までの総決算!
めちゃ基本的な話なんですが、この衆院選という選挙がこの国の選挙で一番重要です!(全部大事ではあるが)
なぜかというと政権-内閣に座る政党を決めるのは衆院選だけだからです。
2021年に行われた前回の衆院選挙で過半数を取ったから、それで国民に選ばれたから岸田政権が存続し今に至ります。
その間いろいろな選挙がありましたが、たとえ全ての選挙(参院選、知事選、県議会選…などなど)で自民党が全敗したとしても、この国の総理と内閣と法律作りの主導権が自民党にあることを止める権利はわれわれ国民にはないのです。逆の言い方をすれば他の選挙でいくら勝とうがここで大敗したら自民党政権は全て崩壊なのです(たぶん石破さんは歴代最短の総理になってしまう)。
そして勝った党を中心とする政権が今後しばらく公務員・公僕のトップとして仕切るわけです。つまり衆院選というのは「今後しばらくの間権力を誰がレンタルするのかを選ぶ」選挙というわけです。
ということで投票行動にあたって一番に考えるとしたら
「政権に就くのはどの党であるべきか?」
ということかなと私は思っています。もちろん、それとは別な考え方で投票するのも良いと思います。ただ、これを念頭において投票すれば、政治を見るときに納得しやすいと個人的に思っている。
われわれに与えられた投票券は小さく非力に見えるし、あまり政治に興味がないと受動的なイベントに感じるかも。でも終わったら総理大臣は「国民の皆様に選ばれた」ってツラをして選んだことになっちゃうんだから、ウチらが能動的に選ぶしかないんです。
たまに「負ける候補者に入れたくない」というメンタリティで情勢報道的に強い人に投票する人がいますが、それだけはやめたほうがいい。そもそも、どういう考えで選んだとしてもその投票者は民主主義の市民としての義務を果たしたことになる。しかし、勝ちそうな人に入れるって行動は自分で判断してないし選んでないから民主主義的じゃないと思う(全員がその行動を取ったら選挙の意味ないじゃないですか)。なによりそんなことをしても得はない、馬券じゃないんだから。
じゃあどう投票したら得なのか?自分の選択が議席に反映されることで政策が変わり、ちょっといきやすい世の中になる。それは地味ですがとても価値のあることだと思います。ってなんか教科書みたいなこと言っちゃった。
候補者アンケートは第二の参考程度!
選挙前になると公開されるNHKの候補者アンケートというのがあり、ツイッターでもてはやされたりします。
衆議院選挙2024 候補者アンケート 衆院選立候補者へ質問と回答 NHK
たしかにこれは個々の候補者の政治姿勢を知るよい機会で、選挙を身近に感じられます。
しかしはっきり言って「個々の候補者の政治姿勢」なんてわりとどうでもいいのです!特に衆院選の場合。
理由は簡単で、国政選挙とは力を持つ党を選ぶものであり、国政とは党という組織が活動する仕事場だからです。
たとえば候補者アンケートで「選択夫婦別姓について」という質問項目があります。私が見た限り多くの野党候補者は賛成ですが、反対の野党候補者もいます。そして自民党は無回答が多いですが、賛成の自民党員もいます。
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だから上記の例のように候補者アンケートで全員賛成という場合があります。じゃあこの場合だれが受かっても選択的夫婦別姓が前進する…?そうでしょうか。
自民党総裁にして総理大臣の石破氏は先日の記者会見で夫婦別姓について問われて、「国民の間にさまざまな意見があり、政府としては国民各層の意見や国会における議論の動向などを踏まえ、さらなる検討をする必要がある」と言っており、要するに率先して法改正には動かないと言っているんです(ソース)。
一方で野党各党はすべて党として賛成しています。(厳密に言うと参政党だけ反対)
ということは選挙後に行われる夫婦別姓についての論戦と議員による法案の投票では「自民党=反対ぎみ」「野党=おおむね賛成」という流れになることが決まっていて、もし最終的に採決となった場合、相当なことが無い限りは議員たちは党の判断に従って投票します。
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というわけなんで、個人の資質は党の姿勢に比べて大事じゃない。もちろん調べて参考にされるのは素晴らしい政治行動と思いますが、それより大事なのは党の意見。与野党ともに公約をだしたりSNSで宣伝したりしていますんでそれを見るのがまず手っ取り早い。しかし与党の方は今までの実績を調べる方がより本質的かと私は思います。政権与党という法律と行政を牛耳れる立場だったんだから、本腰を入れた施策はすでにやっていて当然なのです。たとえば選択的夫婦別姓はかなり前から俎上には上がっていたのですが安倍・菅・岸田政権下ではまったく前進を見せませんでした。こういう結果を見て判断してみようということでございます。
もちろん夫婦別姓は争点のごく一部。選挙を見るうえでポイントとなるのは経済・安全保障・外交その他もろもろあり、ご自身の重視するポイントを考えて調べることをおすすめします。
ちなみに僕は結婚する予定が一切ないので夫婦別姓に対する重要度は低いです(どうでもいいと思っている訳でなく、投票先決める上での重要度)。じゃあ何を重要視しているかというと、直近の問題として金が無さすぎる!ということで金を持たざる者に対しての施策、たとえば最低賃金を上げるか?外国人労働者の不当な扱いを減らすか?というようなあたりを重要視しています。野党の場合は公約のなかの賃金・格差についての項目を見る、与党の実績だとフリーランス新法やインボイス制度などを鑑みるって感じ。
個人の資質について少し補足すると、一部の議員に特有の政治思想によって何かが変わる可能性はある。でもどうかな?「表現の自由、コンテンツの発展、創作環境の改善・整備」を公約にかかげ内側から自民党を変えると言った赤松健議員が誕生して2年経ったけどなにか変化があったかというと…。今年の9月(議員歴2年)に赤松健議員によるレポート記事みたいなのが上がってたけど、特に個人としての実績は語ってなくて、自民党に対する発言内容は「優秀な世襲議員もいる」でしたよ。赤松さんがダメなんじゃなく、議員ってそういうものなんだと思う。組織の一員として仕事するのでせいいっぱい。
じっさいの投票行動について
最後に実際の投票行動について。
衆院選は「小選挙区制」と「比例代表制(拘束名簿式)」という二種類の投票があります。
小選挙区制というのはいち選挙区から一人だけ選ぶシステムです。なので、出馬する意味がなさそうなときは引きます(とてもざっくりした説明です)。だから政権に就くのはどの党であるべきか?という問いに対して出た答えに近い党がそもそも出馬していないときがあります。たとえば自民を選びたいのに与党は公明党の候補しかいないとか、立憲を選びたいのに維新と共産党しかおらんとか。
たとえばこの大阪1区では立憲も国民も出ません。ここで立憲・国民支持者はどうするのか。
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投票したい政党も個人もいない場合、政権に対するイエスかノーかで選ぶことを考えるべきかなと思います。
じゃあノーを言うとしてこの大阪1区で野党に投票するとしたら誰か…?ここは維新と共産の違いを知って調べるしかないかなと思います。たとえば大阪の場合万博の可否も重要な争点になりますね(万博は大阪府だけでなく日本政府も主体者です)。
ちなみに実際の情勢報道を見ると、維新の井上氏の独走状態で共産の竹内氏、自民の大西氏ともにかなり厳しそう(比例復活はある)です。さすが維新のおひざ元…!ソース
でもそういうことは関係ないんです。自分の判断を優先するべきです。
たとえ自分の投票権だけ10万倍になるとしても選択は変わらないべきだと私は考えています。
(なお、中選挙区制をとっている参院選や地方選では一票の効率的な投票先を選ぶという有権者側の戦略はありえます。小選挙区制ならって話です。)
(10/25 18:16加筆:忘れてましたが、小選挙区制でも「どうしても当選させたくない候補者を落とすために、それ以外で最も当選確率が高い人に入れる」というような選択があります。その場合情勢次第で投票先を変えることになりますがそれは良いと思います。ただそういうのは応用技みたいなもので、上に書いたものが基本的な選び方じゃないかなと思っています)
ちなみに今回だけの珍しい例として裏金問題の処分として自民党を非公認になった候補者がいる場合があります。たとえば東京24区(八王子市)。
裏金と統一教会問題で立場があやうくなった萩生田さんは無所属で出ましたが、ご覧の通り自民党は出馬せず、「もし当選したら追加で公認する」ということを自民党は発表しています。裏金議員、当選なら追加公認 石破首相:時事ドットコム
つまり非公認でも実質自民党だと思って考えるべきです。
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もう一つの比例代表制は、全国一律。党名を書いて、それに応じた議席を与えるというもの。こっちは簡単ですね。一押しの政党名(候補者名は×)を書いてぶちこめば終わり。
小選挙区制は死票(議席に結びつかない票、物騒な言い方だけど死票は全然無駄ではないよ)が非常に多くなるシステムに対して、比例代表は死票が少ないシステムになっています。なので結果を見る時には比例の議席数≒政党の人気度と思うとよいです。
まとめ・補足
日本国憲法においてこの国のオーナー的な存在は国民と決められています。それを実現する重要な一つの方法(唯一ではない)が選挙です。とにかく選挙に行こう!みたいなノリがはびこるけど、そんなチャチなものではないと私は思っています。もちろん投票率が低すぎることのヤバさもあるんですが、やっぱり考えて選ぶことにこそ選挙システムの意味がある。
だから質問に答えるだけで近い政党や候補者がわかる!とか候補者アンケートとか…そういう安直なやり方も一種の方法なんだけど、やはり正解ではないと思う。パターナリズムってやつです。そして候補者本人が語ること(演説にせよSNSにせよ)は一つのプロパガンダ、誘導である。こんかい私が書いた文章もやはりパターナリズムなうえに誘導的な部分があると思う。
とりあげる争点の例として世論的に賛成が多い「選択的夫婦別姓」を持ち出したのは世の中の関心が高いから…というのが基本的な理由なんだけど、いちばん世論と自民党の姿勢が乖離しているトピックでもある。そういうものや赤松健氏をわざわざ例に出すことで読み手の反自民党的な部分をちょっと煽っているとも言えます。まったくひどい文章です。
言い訳するつもりはないのですが、世の中にはそういうものしかないんです。政治についての文章は政治に関心がある人が書くわけですが、政治に関心がある人はほぼイコール政治的意見があるってことですから。NHKは中立を名乗っていますがどう見てもそうではないし、中立という概念に対する認識じたいが人それぞれ。
と言う感じでバイアスと誘導とパターナリズムにまみれた世界で、最終的に二枚の紙ペラの二個の名詞に意見をたくさないといけない主権者はつらいよ。それでも政治というものは自分たちの生活に直結することを決めていくことです。なので、地道に知っていけばいつか選挙がただやりすごすものではなくなると思って私は政治を見ています。選挙はその一端にすぎないので、期待しすぎない程度に、でも大事だと認識して楽しんでいきたいと思っております。
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