熊本大震災録 --発生した出来事を時系列でまとめ未来へ生かすための考察--

作成日:2016-04-22 02:49:44

2016年4月14日に発生した熊本地震で亡くなった方々の
ご冥福をお祈り申し上げます。

まだ収束はしていないが、
震災における現段階に至るまでの現状を時系列でわかりやすく記載し、
いつ何が起こったのか?
またどうしてその現実になってしまったのか?
を考察しまとめ、近い未来起こるであろう震災の一助とならんことを願うものである。

今回発生した熊本大震災はどんなものだったのか特徴を以下にまとめる。

<strong>■熊本大震災の特徴</strong>
・14日20:30頃 日奈久断層で震度7(M6.5)発生
・16日01:25頃 布田川断層で震度7(M7.3)発生(前震の約16倍の大きさ)
・700回以上であり強い余震(4/19現在まだ震度5弱M5.5が発生している)
・横ずれ内陸直下型地震である。
・他の断層への影響から各地で地震が発生。
・M7以上の地震にもかかわらず川内原発を停止しなかった。
・中央構造線断層上にあるにも関わらず伊方原発を再稼動予定。
・津波が無かったため車が生き残り、その中で生活できたがエコノミー症候群で死者がでた。
・中央構造線断層の地震で震源域が北東へ移動後南下した(熊本→阿蘇→大分へ)(日奈久断層→布田川断層へ)
・火災が少なかった。

熊本地震が未来にどのような影響を与えるか以下にその可能性を記載する。

<strong>■可能性</strong>
1.布田川断層が想定超え27キロ動き、東側は阿蘇山に到達していたため阿蘇山噴火の可能性がある。
2.頻発する直下型地震の後に海溝型地震(南海トラフ地震など)が発生する可能性が高い。
3.南海トラフ地震が発生後は第二次関東大震災や首都圏直下型地震を誘発する可能性が高い。
4.仮に3が起こった場合、富士山噴火を誘発する可能性がある。
5.他の震災時のモデルケースとなる。

14日に地震が発生してから8日目の21日(木)までにどのようなイベントがあったか時系列で記載していく。

<strong>■時系列でイベント整理</strong>
●14日(木)    1日目 日奈久断層地震発生
・死者9人。
・約1.5万人避難。
・東京防災ガイドブック情報が役に立つ。
・Googleがパーソンファインダーの提供開始。
https://google.org/personfinder/japan
・個人のボランティア、物資郵送開始
・自衛隊出動。

●15日(金)    2日目
・食料や水など物資が足りないtweetが始まる。
・給水ポイントが出始める。
・無料で風呂に入れる場所が提供される
・熊本や赤十字が義援金募集開始。
・auなど各キャリアが公衆Wi-Fiスポットを無料開放。
・Googleが自動車通行実績情報マップ提供開始。
・Google災害情報マップで熊本市街、南阿蘇村周辺等を上空から撮影した写真を公開(ほぼ使えない状態)。

●16日(土)    3日目  布田川断層地震発生
・死者41人。
・約9万人避難
・交通は給油待ちの車による大渋滞
・国が想定していた物資保管場所が崩壊したため、国からの物資が届かない。
・益城町などメジャーどころには支援物資が届くが余り有名でないところは、
一切の支援物資が届かなかった。
・食料と水が無い人多数。
・医療物資が不足しはじめる。
・病院の病人受け入れ開始。
・役所のキャパオーバーでボランティアも断っていた。ボランティア自粛の通達もあり。

●17日(日)    4日目
・交通は給油待ちの車による大渋滞。
・熊本県内で入浴可能な施設が充実し始める。
・益城と大津で強姦、強盗発生。
・国が想定していた物資保管場所が崩壊したため、国からの物資が届かない。
・益城町などメジャーどころには支援物資が届くが余り有名でないところは、
一切の支援物資が届かなかった。
・食料と水が無い人多数。
・Google災害情報マップに学生達が「スーパー営業情報」「炊き出し&支援物資集積地点」
「給水所」の情報をまとめる。この時自動車通行実績情報マップはかなり使える状態になる。
・福岡市など他県から支援物資提供受付開始
http://bylines.news.yahoo.co.jp/shinoharashuji/20160417-00056704/

●18日(月)    5日目
・国が想定していた物資保管場所が崩壊したため、国からの物資が届かない。
・益城町などメジャーどころには支援物資が届くが余り有名でないところは、
一切の支援物資が届かなかった。
・佐川が熊本への物流再開。
・ローソンが営業再開。

●19日(火)    6日目
・死者47人へ。
・国からの支援物資が来るようになる。
・県がボランティア受け入れ機能回復。
・県が風呂場所など情報発信機能回復。
・物資があるが人・ボランティアが足りず物資が回らない。
・水と食料は行き渡るようになるが服や毛布など生活用品がまだ不足。
・ヤマト、日本郵便が熊本への物流再開。
・熊本県南阿蘇村にふるさと納税で3500万円が集まる。
・日本財団支援金93億円(緊急対策支援金3億円、ボランティア活動支援に10億円、
家屋損壊などに対する見舞金20億円、
住宅・事業再建のための融資制度の創設に30億円を用意。熊本城支援30億円)
・Twitterをリアルタイム分析「DISAANA」がサービス開始
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1604/19/news077.html

●20日(水)    7日目
・市電が動き始める。
・水と食料は行き渡るようになるが服や毛布など生活用品がまだ不足。
・約11万人避難

●21日(木)    8日目
・高速バスやフェリーなど稼動するが、新幹線、高速道路は復旧困難。
・水と食料は行き渡るようになるが服や毛布など生活用品がまだ不足。


<strong>■考察と結論</strong>
上記「時系列でイベント整理」を見ると、今回の震災においてライフラインが止まり、
熊本県や市が機能しなくなり、人・物・金の動きが無くなったため、
大きく混乱したのは14日から18日の5日間と捉えられる。
水と食料難のこの時期を<strong><ins>「第一次震災物資クライシス」</ins></strong>と名付ける。
しかし、災害中心地以外(益城町など)の地域では「第一次震災物資クライシス」は
かなり長期の間続くようだ。

19日からは多くの機能が回復したため、水と食料も回るようになり、
義援金が集まったためお金も使えるようになった。
県や市のボランティアの受け入れ態勢も整い、後は応募を待つばかりとなった。
3.11の時は、義援金や人は集まれども、県や市が機能しなかったため、
被災者に回るのが非常に遅れた記憶がある。
おそらく津波や火山噴火などの副産物が無ければ、
震災単体では日本では6日でかなりの機能が回復することが分った。

この時期まだ毛布やタオル、着替えなどの物資は足りていないので、
震災後の6日以降を<strong><ins>「第二次震災物資クライシス」</ins></strong>と定義する。

更に詳細に取り上げると個人で用意した避難食やコンビになどから買える食物や水、風呂などが不足し
県民を一番苦しめた時期は、
「DISAANA」からもネットを調べた結果からも16~18日の3日間と言って問題ないと思われる。
この震災後の3日間を<strong><ins>「魔の3日間」</ins></strong>と命名する。

そこで、「魔の3日間」に現地にある
数少ない貴重な人・物(金は個人では大金持ちでもない限りどうにもできないので今回は排除)をどうまわせば
より多くの苦しむ人々が減少したのかという観点で考察してゆくものとする。
できれば遅い国ではなく民間主体で動ける方法を可能な限り考えてゆきたい。

●人
まず人の観点から考えてゆこう。
熊本県や市は公務員、職員が足りてないので他県からも派遣されたのだが、その数には限度があった。
制限人数を一杯一杯まわした結果、19日からボランティア、物資の統制をできるようになったので、
更なる改善の努力は必須だが、現段階では熊本県規模のどのにおいても
役所が機能するのは震災発生から6日を必要とすると考えたほうが良いだろう。
同時多発大震災なんてことにならなければのお話であるが・・・。

ちなみに被災者が情報を入手するのにスマホは大いに役立ったのだが、
安定した通信ができるようになったのは、
15日にauなど各キャリアが公衆Wi-Fiスポットを無料提供があったからである。
つまり、多くの人が通信できるようになるには震災後1日かかると考えておいたほうが良い。

ボランティアは現地では以下のホームページに記載されているとおり、3.11同様、
被災地の市区町村に設置される「災害ボランティアセンター」を登録、経由して、
いくつかの準備物、注意事項をクリアし活動するのである。
http://www.fukushi-kumamoto.or.jp/list_html/pub/detail.asp?c_id=56&id=7&mst=0&type=
市区町村の職員の手が回らないとこちらの募集・登録もままならない状態となる。
3.11の時も同じ職員不足で混乱した。
どうも国側は3.11の教訓を余り未来へつなげることができなかったようだ。

震災時に動けるボランティアを集めるにはまず役所が改革しない限り、
変わりようが無い現実なのである。
震災が発生して県や市が機能しない場合、全都道府県から何人ずつ職員を派遣するというのを国が
取り決めたり、ボランティアを集め、管理する権限を被災地以外の企業に民間委託するなど
やり方は沢山あると思うのだが・・・。

また悲しいことに以下のようなボランティアも必要である。
阪神淡路でも、3.11でも2015年9月に発生した関東・東北豪雨鬼怒川洪水でも
強姦・窃盗が多数起った。
http://spotlight-media.jp/article/145388005182104180
熊本大震災でもまた大津と益城町で起こった。
しかもこれら事実はメディアでは報道されない。
以下URLの内容もある。もし本当なら避難生活はとても恐ろしいものとなる。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13158324388
以下URLには大震災は生き残ってからがサバイバルという言葉にある種の戦慄を覚える。
http://www.asyura2.com/07/jisin15/msg/265.html
このような状態を守る警備の人材も必要なのである。

今回の震災で人に関して疑問なのが、19日に物資は届いているが、
それを運搬する人がいないという内容である。
はじめボランティアがいないからだろうと考えていたが、
熊本大震災では津波がなかったので、
被災者の車は無傷で問題なく動くものが多いのであるのだが、
負傷してない被災者自身がボランティアとして物資運搬をできないものなのだろうか?
もし既にそうなっていれば、運搬する人がいない、ボランティア不足なんて
記事にはならないだろう。

考えられるのは壊れた自宅の後片付けや体家族のケアで動けない人が多いのか、
自分のことで精一杯なのだろう。それが普通である。

しかし、役所が機能しないのが一番の問題で、とても被災者に同情している前提で、
そこを鞭打って提案なのだが、
災害などのショックやストレスを一番解消できる方法は、
ボランティアとして他人に尽くすことなのだそうだ。
もし自分が被災者となるならば、自らが動くことを今から硬く決意している。

●物
次は物の観点について考えてゆこう。
まず14日に発生した日奈久断層地震で近くにあるコンビニやスーパーの
食べ物が買いだめされてなくなったと思われる。
15日には水も食べ物もないというTweetが出始める。
多分被災者側もまさか熊本でM7クラスの地震が来るとは思ってなかったと
コメントが沢山あったので、非常食も用意してなかったのだろう。
このような状態の都道府県民は多いのではないだろうか?

今回の震災で学ぶべきは最低でも「魔の3日間」を乗り切る3日分の
水と食料を用意しておくべきだということである。
可能なら後2日分足せば、「第一次震災物資クライシス」は乗り切ることができるのだ。
更に後2日の7日分用意しておけば、余裕な震災ライフがおくれるだろう。

そして、19日を迎えると支援物資はあるところにはとても沢山あったが、
残念なことに運べなかったのである。

運べなかった理由は、
1.運ぶ人がいなかった
2.道路が壊れていて通れない道が多い、または通れない道がわからず混乱
3.ガソリンを求める被災者の車で大渋滞

1はボランティアとして考える場合、
人の考察で受け入れができないためいなかったとしたが、
コンビニやスーパーなど企業の社員もまた被災者であり、
出勤できない人が多かったのだろう。
役所もボランティアも企業も人がいないのが震災の大前提である。

2は震災4日目の17日にGoogleの自動車通行実績情報マップがかなり使えるようになったので、
これをみながら行けばよいのでは?と思うのだが、
このマップが使えるようになるには、多くの被災者がいろんな道を通ったからである。
3の人々が俳諧したのが役立っているのである。
つまり、それら通行可能な道は渋滞している可能性が大なのである。

中々難しい因果関係である。

対策として考えられるのは、「第一次震災物資クライシス」を乗り越える5日間だけは
国と県、市区町村が極力車中泊は良いとして、ガソリン入れたり、買い出しや
見回りなどをさせないように情報発信するという啓蒙活動しかなさそうである。

また3.11同様、かなりの活躍をしてくれた自衛隊の空輸か船便を使う方法だが、
こちらも国の方針しだいで民間では何もできなさそうである。

またはバイクの機動力で少量をピストン輸送する方法も考えられるが、
やはり混雑しても大型車で一気に複数個所まわるのがベストだろう。

上記のような条件と制約の中で、
震災時に物資が足りないところへ運ぶミッションをクリアするには
少人数でいかに物資を回せるシステムを確立するかが肝なのである!

そこで先日公開された「DISAANA」(http://disaana.jp/rtime/search4pc.jsp)を
そのシステムと見立てて考えていきたい。

「DISAANA」で色々データを出力してためしてみてみたが、
機能としては「質問を入力して回答候補を検索」と
「エリアを指定してそこで起きているトラブル・問題を可能な限り網羅的に検索」が売りのようだ。

前者は用意された質問に対して回答となりうるTweetを抽出する。
後者はエリアを指定して自動ピックアップされたトラブル・問題の項目に関連するものを抽出してくれるようだ。
そのデータの出力範囲は本日から4日前までしか抽出できないのは痛い。
また一番の問題はTweetした人の位置情報をマップに落とし込んでいるため、
顔写真などを載せていたら、ストーカーや犯罪者の良い資料集めができてしまう点だろう。
やはり位置情報は使うべきではないと思う。

また抽出された結果は、回答となりうるTweetが特定され、
そのTweetした場所がGoogleマップ上にピン打ちされ特定でき、
内容が確認できるという優れものである。

最大のメリットはTweetした本人は、
フォーマットとか意識せず自由にTweetしたものをDISAANAが勝手にまとめてくれる点であろう。

しかし、震災時に支援物資が足りないところへ
なるべく平等に振り分けるというミッションを完遂するとなると、
情報発信者が有無を言わずに信頼できるならピン打ちされた場所へ物資を運べばよいが、
そうはいかないだろうから、一度そのTweetに返信あるいはDMし、
回答を待ってから現状を確認してまだ解決されていないようなら運ぶというやり取りをしてから
物資がそこへはじめて運ばれるということとなる。

つまり、物資配達する側(県や市、ボランティア)の人数が多くいないと
まわせないシステムとなることがわかる。
これは大いに問題だと思われる。

しかし、私が考えた「支援・救援物資要求システム」(仮に命名)では、
既にTweetした状態でその避難所の代表者は誰で、どこに何名避難していて、
物資がどれぐらい不足あるいは余剰しているのかがわかり、
問題が現在進行中なのかはたまた解決し削除要請をしているのかが、
情報発信者側から指定してくれるので、
数少ないボランティアの労力を省くことができるのである。

デメリットはTweetする情報発信者にどうやってそのフォーマットと
使い方をマスターしてもらうかということである。
おおむね多くの人は面倒くさいことはしたがらないので、これが一番の問題となる。

救援要請の記載方法などが理想とえるがこのフォーマットはもっと複雑なのである…。

とりあえず「支援・救援物資要求システム」の特徴を説明する。
要求者はTwitter上で次投稿のフォーマットでtweetし、
そのハッシュタグをプログラムで自動収集させ、データ整形後、自動でGoogleの災害情報マップに
登録、更新、削除させるものとする。

フォーマット)
その避難所の代表者名,電話番号,避難所名、避難所住所、避難人数(男-女),必要救援物資,現場ステータス,投稿ステータス,ハッシュタグ

例)
鈴本一郎,090xxxxxxxx,○○○○小学校,熊本県○○○市△△△町□□□□1-2-3,34-20,1-5_2-9_5-7,1,2,#熊本支援要求

例を要約)
鈴本一郎,090xxxxxxxx,○○○○小学校,熊本県○○○市△△△町□□□□1-2-3,男性34名-女性20名(計54名ということ),水(2リットル)を5本_大タオルを9枚_レトルトを7個,不足してます,前に投稿してないよう修正して更新しました,#熊本支援要求
という意味になる

■必要救援物資
例)1-5_ →意味:水(2リットル)を5本欲しくて次に欲しいものもあるよという意味となる。
1→水(2リットル) 2→大タオル 3→オムツ 4→ミルク 5→レトルトなどなど
ハイフンの後ろは数
アンダースコアは区切り

■現場ステータス
1→不足 2.余剰

■投稿ステータス
1→新規登録 2→更新 3→削除(解決)

話は戻りどちらもメリット、デメリットがある。
震災時の少人数でまわすということにおいては
「支援・救援物資要求システム」に軍配があがるのではないだろうか?
まぁこれは空想の産物でありどうこういっても話にならないのであるが、
少人数でまわせて、要求者が楽にTweetできてそれらをまとめ、Googleマップに
落とし込めるシステムならよいのである。
頭の良い方、是非とも作ってくだされ!!切にお願い申し上げます。

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