青色のノスタルジア3

「貴様は用済みだ」

土煙から姿を表すと体長3メートル程ある大男だけの姿しか見えない。

「私は騎士モルドレッド、デーモン様に使える五大老の1人だ。」

モルドレッド…私が知っているのは人間だが、奴から感じるオーラは神の部類。そして容姿が全く異なっている。可能性としては…
ひとつしかない。

「モルドレッド。よく君からノコノコと顔を出すことができたね。君は私の知っている弟子のモルドレッドでいいのかい?」

「セクメト…」

心のどこかで敬意を示すのに躊躇う。

「呼び捨てか、偉くなったものだな。
かつて人間の騎士だった君が人間を超越し、君が悪魔に魂を売った事実よりも
そこに至った経緯が私は知りたいな」

「貴方に俺の何がわかる」

「勝てなかったんだ。どうあがいても人間の身体では神に歯が立たない。俺は神に勝ちたかった。そしてあんたから一本とりたかった。人間で無ければ良かったんだ。」

その一つ一つの言葉には悔しさが滲み出ていた。

「思っていたより正当な理由だな」

「俺は急いでいるんだ。邪魔だ、退け」

「モルドレッド、お前がその立場で立ち塞がるのなら私は退くつもりはさらさらない」

モルドレッドは鋭い剣を腰から抜きセクメトへ俊敏に近づき首を目掛けて右手で降りかかる。
しかし、剣は空気を切った。同時にモルドレッドの鎧から全方向に針が飛ぶ。

「なるほどな、この針で神々が倒れていった訳か」

「たしかに剣筋は悪くなかっただが、今のは本気ではないな」

昔に比べて随分と腕を上げたようだ。これならそこらの神と互角に戦える可能性もゼロではない。だが、こんなセコイ技を使うくらいに追い詰められているのか?これでは神海の奥地には行けない。増してやそろそろ神界をの神々は目を覚ますだろう。

「セクメ…」

モルドレッドは息を呑んだ。圧倒的オーラに喋ることさえ許されなかった。
目の前に銀髪で長髪の男。次期、魔王ルシフェルだ。

「失礼するよ。セクメト神。」
そうセクメト神に一礼をするとモルドレッドのほうへ質問を投げかけた。

「ルシフェル様」
モルドレッドは膝まずき誠意を見せる。

「君がデーモンの部下本人かね?」
虎視眈々と話を進めるルシフェル、上流階級の風格というものか。次期魔王とは思えないほどに傲らない態度だった。
「はい。わ、私は第15軍センペルス•デーモン様に仕えるモルドレッド・ビコライザ。ミドーの1人であり、元人間であります。以後お見知り置きを」

悪魔階級では上級階級すなわち一つの軍をまとめる役目テンペル、その下に5人の大老がいる。さらに、それらに仕える下級悪魔がデスペールというわけだ。モルドレッドはその中の五大老の1人、正直かなり強い。

「ほう、元人間か。みんな下界にいるぞ。計画を実行するから連れてきてくれとデーモンに頼まれたもんで」

「セクメト神これで私達は失礼するよ」
瞬く間に光と共にテレポートして何処かへ消えていった。これは何かきな臭い。下界に行くと言っていた。今日で丁度1000ノスを迎えた。神々にとって宴のノスである。

「計画…何の」

セクメトはそう呟くと、急いで神界に戻った。

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