フォドラの紋章主義は誰のせい?

相も変わらず風花雪月やってます。最近は改めて金鹿ルートやってる最中ですね。金鹿、馴染み薄いので。

さて、紋章主義の話です。結構あちこちで見かけるのは、「教団のせいで紋章主義になってる」とか「レア様が独裁的」とかいう論調です。みんな当たり前のようにそう言うんですけど、自分はそんなこと思ったこと一度もなかったので、不思議だなぁと。

多分、セイロス教が『紋章は女神様から与えられたから正しく使ってね』と説いてるからそのような主張に繋がるんでしょうけども。でも、それだけですよね。
初周が紅花ルートだったけど、それでもセイロス教団が紋章主義の原因だと思えなかった。

紋章を重視しているのは、セイロス教団ではなく貴族諸侯ですよね。

勢いで書いてるので文章めちゃくちゃかも。
推敲くらいすべきだとは思ってますが面倒なので……。


紋章持ちが嫡子になる、紋章持ちを産ませるために孕み袋にする、箔をつけるために紋章持ちを娶る……。紋章を有り難がっているのは貴族諸侯で、教団ではありません。

一方、セイロス教団は貴族も平民も同等に扱う、教師二人は紋章持ちと紋章無し、アロイスも紋章無し、なんなら外国人もいるし孤児もいる。殊更紋章を重視している集団ではありません。

風花雪月、一周目の第一部でわかることです。初見プレイでも理解できる程度には描写されてるんですよ、紋章を重視するのは貴族であって教団じゃないって。

じゃあ何故貴族は紋章を重視するのか。

貴族が紋章を重視する理由は、ひとつではありません。権威的な理由と実利的な理由があります。

全ルート共通の第一部で触れることになる王国貴族ゴーティエ辺境伯家の騒動、紋章を持たない長兄マイクランが廃嫡され、紋章持ちの弟シルヴァンが次期当主に内定している状況です。ここは実利的な理由で紋章を重視しています。
ゴーティエ家は国境に接しており、国防を任される家です。武力を必要としているため、英雄の遺産を扱える紋章持ちでなければ家を継ぐことができない。
国を、領土を守ること。民を守るために、紋章が必要なのです。これはセイロス教の『力あるものはそれを正しく使いなさい』という教えとも合致しています。

もう一つ国境を守る家をとりあげるなら、ゴネリル公爵家です。ヒルダのお兄さんが当主で、パルミラ軍がフォドラ内に侵攻するのを防いでいます。
ヒルダ外伝をクリアすると英雄の遺産を入手できますが、英雄の遺産を扱えるのが兄のホルストではなく妹のヒルダだ、ということがここで示されます。ホルストは、ゴネリルの紋章を持たない。
紋章持ちのヒルダではなく、合致紋章を持たないホルストが跡を継いでいる理由は、めちゃくちゃ強いからでしょう。英雄の遺産に頼らずとも十分な武力を持っている、民を守ることができる。

ゴーティエ家もゴネリル家も、民を守る軍事力を必要としており、そのために紋章を重視している。そして、紋章と同等の武力を得られるのならば紋章には拘らない。

シルヴァンの後日談では紋章の力ではなく言葉の力で国境問題を解決しており、民の安寧を守っています。結果として軍事力もそこまで必要がなくなり、紋章に頼ることも無くなるのです。

紋章を重視する実利的な理由についてまとめたので、次は権威的な理由です。
これは比較的豊かで外夷を警戒しなくても良い地域の貴族に多いです。

紋章持ちが産まれるまで孕まされ、結局は紋章持ちを産むことができず虐げられたエッサー子爵家の娘。
バルテルス家の当主は紋章持ちを欲し、母子共に孕ませることも考えていた。
ドロテアだって、貴族の男が悪戯に子作りし紋章無しとわかったら捨てられた、というような出自。
こういった紋章欲しさ故の非人道的な行為は、帝国に多く見られます。

当然、帝国だけでなく王国でも同盟でも紋章を欲する貴族は存在するでしょう。財政的にひっ迫するガラテア家が紋章持ちの娘を使って何とか他家の金銭的援助を取り付けようとしていますし。
メルセデスなんか、バルテルス家を脱出した後も紋章を欲しがる商人の家に引き取られてます。踏んだり蹴ったり。

千年もの歴史を持つ長い家もあれば、お金で爵位を買った商人上がりの貴族もいる。
昔は元々紋章を持っていたものが貴族に叙されたのが、後から新興貴族がどんどん増えてきた。紋章は伝統ある貴族の証だった。箔をつけるために新興貴族たちは紋章を欲した。
貴族たちが権威的な理由で紋章を欲しがる理由は、やはり箔がつくかななのでしょう。

紋章持ちが貴族となり、後発の紋章無し新興貴族が歴史ある貴族と並び立つために紋章を欲した。となれば、最初の紋章持ちが貴族の地位を与えられたのは何故?

貴族の中の貴族たちがよく言うではありませんか、貴族は民を守るものだと。
青獅子のアッシュも、よくよく理解しています。貴族が平民を守るから、平民は貴族を支えるのだと。
つまり、紋章という大きな力を持つ者はその力を正しく使い、民を守らなければならないのです。だからこそ、紋章持ちが貴族なのです。

伝統ある古い家ほどノブレスオブリージュの精神をきちんと受け継いでおり、紋章主義の非人道的な部分からは遠ざかっていきます。フェルディナントやローレンツが紋章の有無ではなく貴族の在り方について語るのは、そもそもの貴族の成り立ちを正しく学んでいるからでしょう。
紋章を持っているから偉いのではない、民を守る責を負うから偉いのだと。

そもそも紋章は何故広まったのか。

フォドラにおける最初の貴族たちが紋章を持っていたと。その紋章、始まりはどこ?
まあこれは金鹿をやればわかるんですけど、十傑系紋章と四聖人系紋章でスタートが異なるんですよね。

十傑系紋章と四聖人系紋章、どっちが先でしょう。そうです十傑系紋章です。
ネメシスがソティスの死体を盗み、炎の紋章を得た後に女神の眷属を虐殺。女神の眷属を解体し、紋章と英雄の遺産を与えられたのが十傑の始まりです。

当然、裏には闇に蠢く者がいます。女神の眷属しか持ち得なかった紋章を人間に与えたのが、闇に蠢く者です。

ザナドで生き残ってしまったセイロスが四聖人を集め、帝国やセイロス教団を成立させネメシス十傑と対峙。四聖人系紋章は、十傑と戦うために帝国の人間に与えられたのでしょう。

極論を言ってしまえば、紋章が人々にもたらされたのも紋章主義のキッカケになったのも、闇に蠢く者らのせいだと(極論というか暴論)。

で、その紋章主義の責任を教団に求めるようになったのは何故か。
セイロス様が「紋章は女神から与えられたもの」と言っちゃったせいだと思うんですよね。

紋章は強大な力です。セイロス登場前にネメシスが解放王として君臨してたのも、圧倒的な力を持っていたからです。ネメシス、根は悪党ですもん。
そんな強大な力を「女神からのギフト」なんて言っちゃったらもう、紋章が階級上位にきちゃうのも然もありなん。
セイロスや女神の眷属から見れば、女神に連なる眷属たちが女神から与えられたものなので、紋章が女神から与えられたというのは事実でしかないのですが。

エーデルガルトの言う弱者と、ディミトリの言う弱者の違い

紋章にやたらめったら拘ってるのは貴族の方だと思うんですけど、教団が積極的に保護してるのは平民の方なんです。
教団側が紋章主義についてどう思ってるのかはよくわかりませんが、力ある者はそれを活かせ、女神に選ばれた血筋の皆さんは民を守り導け、というのが教団側の主張でしょう。紋章を求めるのなら責任も負え、と。

フォドラには貴族と平民がおり、平民の方が多いはずです。明治入りたての日本だと90%以上が平民でした。往々にして、支配階級はかなり少数派です。
紋章主義は、この少数派の中だけの世界です。

少数派だから切り捨てていいわけではありません。紋章主義だって解決しなければいけない課題です。
でも、多数派である平民の問題を無視していいわけでもありません。
気候や寒さによる命の危機、貧困問題、貴族の過度な搾取、生活できずに賊に身を落とし、それによって別の平民がまた被害を受ける。彼らも弱者です。

エーデルガルトの言う弱者とは、紋章の有無によって左右される貴族社会の被害者。
ディミトリの言う弱者とは、今日生きるのも精一杯の力無き民草。
そして教団が保護するのも、力無き者たちでしょう。

ちなみに、帝国で紋章主義によって翻弄されたメルセデスは王国の教会で保護されています。教団が福祉の面を担っていることもわかりますね。

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