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バスケットボールのジャンプショットにおける射撃距離の増加が与える影響

こんにちは。
今日はジャンプの高さとリリース点はゴールまでの距離によって変化するという内容の研究紹介です。

この研究では、1991年に開催された第16回ユニバーシアードの男子バスケットボール準々決勝で活躍した選手たちのジャンプショットを、3つの異なる距離から撮影し、その違いを調査しています。

研究の結果、バスケットからの距離が遠くなるにつれて、ボールのリリース速度が増加することが明らかになりました。
具体的には、短距離の場合は平均3.04±0.65 m/s、中距離の場合は4.71±0.74 m/s、長距離の場合は6.24±0.80 m/sでした。
一方、リリース角度はすべてのグループで類似しており、短距離では48.8±10.1°、中距離では47.8±5.8°、長距離では51.9±5.5°でした。
射撃距離が遠くなるにつれて、選手はシュートの際の肘の関節の角速度を上げることで、ボールに必要な運動量を増加させていました。
また、バスケットゴールの方向に向かっての重心の速度も増加していました。重心の速度は、足首の関節の角速度が膝や股関節よりも大きく影響していることがわかりました。

全ての選手は空中でボールをリリースしており、ジャンプの最高点とリリース時のジャンプの高さは、射撃距離が遠くなるにつれて低下する傾向がありました。

短距離のショットでは、リリースがジャンプのピーク後に行われることが多い一方、射撃距離が遠くなるにつれてピーク前にリリースが行われることが多くなることがわかりました。

この研究から、バスケットボールのジャンプショットにおいて、選手たちは射撃距離が遠くなるにつれて、より高い運動量を生み出すために肘の関節の角速度を増やすだけでなく、バスケットに向かっての重心の速度も向上させていることがわかりました。
また、選手たちは様々なシュート距離で安定したシュートを行うために、前後および左右の足の位置を工夫していました。
この研究は、バスケットボール選手がジャンプショットの成功率を向上させるために、射撃距離に応じてどのような技術的な調整が必要かを示しています。
選手やコーチは、この研究結果を参考に、選手たちの射撃技術の改善や練習方法の見直しを検討することができるでしょう。
参考文献:
ミラー, S., & バートレット, R. M. (1992). バスケットボールのジャンプショットにおける射撃距離の増加が与える影響. ジャーナル・オブ・スポーツ・サイエンス, 10(4), 285-293.

著者:スチュアート・ミラー & ロジャー・M・バートレット
バスケットボールのジャンプショットは、選手の技術や力量によって大きく変わりますが、ショットの距離によってもその性能に違いが生じることが知られています。


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