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バスケコーチが読まなくてはいけない「成功のキーワード」

Coach is not an easy job
 ーコーチは簡単な仕事ではないんだ。

私はあなたがどんな思いを抱いて、コートに立っているかは知りません。バスケットボールを教えるということがコーチの仕事であるかといえばそれは違います。コーチの仕事というのはバスケットボールというコンツンツを使い、選手たちに成功を教え、人生をより良いものへと導く仕事です。

もし、あなたが生活にゆとりがないのならコーチを継続することは難しいのかもしれません。

もし、あなたに情熱がないのであればコーチを目指すことはできないのかもしれません。

もし、あなたに好奇心や学習意欲がないのであればコーチになることはできません。

コーチは簡単な仕事でないのだから。


プロのコーチとして活動をしている国内、海外のコーチが何をしているのかという多くの部分について触れていきたいと思います。


練習や活動の計画を練ることはもちろんです。自分のチームをどのように育成することができるか、その多くの時間はこの部分に割かれます。人によりますが、そのために行うことは「ビデオアナライズ」です。昨今では、NBAコーチでもアナライザーからコーチになるという例が非常に多いです。プロコーチはアナリストとタッグを組んで仕事をしている場合が多いです。

練習、試合、すべてを客観視するためには映像を用いて細かく分析する必要があるからです。これはすでに誰もができることではなく、映像を正しく見ることができるスキルを求められます。
莫大な映像量に目を通す時間が求められますね。だからこそ、コーチをしている人は金銭的、時間的にも余裕がある人が多いのが世界の実情です。

ためにホームレスから成り上がるパターンもあります。これも面白いですよね。


次に行うことが、コミュニティの形成です。コーチ一人、チーム一つで育成ができないのがバスケットボールという集団スポーツの特徴です。そのためにコーチはアンテナを張り巡らせて、あらゆる視点からチームやコーチを分析して仲間を探すのです。

「コーヒーを飲みにいこう」

そういうと、海外のバスケ理論や戦術、今までのコーチング経歴など多くのものをシェアしてくれる。バスケットボール界を見たものそのままをお互いに共有し合う時間、かけがえのない時間を大切にしているのです。

コーチにとって人と会う時間というものは非常に大切であり、自身のコーチングを高めていく欠くことはできない貴重な時間なのです。

そうしてあらゆるものに焦点を当てながら解釈をしていき、深めていくところでインプットの時間が必要です。このインプットは実は一番難しい部分です。コーチの商売道具とも言える戦術やドリル、具体的な中身というのはなかなか世に出回っていません。そして、この部分は日本が最も世界に遅れを取っている部分でもあります。

具体的に掘り下げると、すべての育成シーンにサイエンスが欠如してしる(もしくは足りていない状況)が存在します。
競技シーンが抱える課題でもあります。日本のバスケットボールの多くのシーンは、チームに入れば通年で活動があり、1年計画の中でチームをコーチングするというもの。サイエンスが持つ合理性だったり・・・と遠く離れた「時間を費やし、獲得する」という認識が常識として定着している部分があります。

バスケのように認知、判断を伴い、コンタクトも発生するフィジカルスポーツにおいて「慣れ」が発生している状態はあらゆるネガティブなことが引き起こるともいえます。試合において、全く同じ状況というのは「存在しない」はずなのに、選手がいつも通りに慣れた運動だと捉えミスをする瞬間にアクシデントは起きます。
反復練習はそういった危険性を含むにも関わらず、日本は反復練習でスキルを身につけることを目指し、莫大な練習時間で選手を育成することを考えます。

こうした世界基準の考え方、活動の作り方、そのあたりの具体的なノウハウが無いという所に対してもスポーツサイエンスが遅れを見せているところが歯がゆい部分でもあります。もちろん、カテゴライズによって育成形態が変わる部分も当然あります。エリートクラスとディベロップメントクラスでは全く違ったアプローチが存在します。

ただし、その辺りを含めて全体を総括しても日本が遅れている部分は多いです。今回の記事を最後まで読んで頂ければ、今世界で何が起きているのか、そして日本の子どもたちを世界基準に照らし合わせてどのようにコーチングしていけば良いのかがわかります。

最後には具体的な練習メニューなども紹介します。


Everyone is same in Japan
 ー日本のバスケはトップから育成までみんな同じバスケをする。

「日本のWinter CupもBリーグも、みんな同じだよね!」

外国人コーチは語っていました。
アメリカ人コーチはとにかく個を伸ばすのが上手です。ただし、私の目からみれば、毎年1人〜2人の素晴らしい選手を育成し、そのほかの選手はその選手の生贄に捧げている。日本のバスケットボールは基本的にヨーロッパを真似しているはずなのに、なんで1〜2人を上手くしようとして、中心選手を作り、ゲームをしているの?

私は返答に困りました。
確かに、日本のバスケは昨今ではパッシングバスケからドリブルバスケへの変遷というか、流れが変わってきていることはよくわかります。WCでもドリブルエントリーでスクリーンを使いながらスペースを操り、DFを攻略するシーンは多いです。

「私からしたら、みんなおんなじ。」

ドリブル、ドリブル〜トゥーマッチ。
DFも上手な人が何人か、ボールとめる〜、スティール〜、レイアップ〜。

タフDFはボール奪うが一番、レイアップしておしまい〜。
日本のDF成功パターンは全部3Pラインの周り、ボールスティール〜。
みんなおんなじバスケットだから、成功もみんなおんなじ。

カタコトでも上手な日本語で話をしてくれました。
確かに、どのチームもアレンジはあっても選手たちが成功するパターンはだいたい同じところを目指しているのだと思います。
確率の低いシュートで、それも誰に打たせるか、そういったメカニズムもありながらも極論として日本のDF力のなさはOF力向上に足止めをしているというのが世界の結論でした。それは単純に戦術だけでなく、質が低いOFに対してアグレッシブさを発揮したところでDFの伸び代はたかが知れているというところです。

ただ、小学生や中学生にそんな色々教えてできるの?
という疑問にたどり着くと思います。これこそ、我々日本人が得るべきヒントなのです。


What to do for?
 ー我々がすることは?

ここで改めて、コーチが何をするかというTo Doを確認します。

コーチは練習までにやりたいバスケット、チームを向上に導くために必要な戦術を考え出します。当然、モデルとなるチームができることと自分が見るチームができることは違いますので柔軟に組み立てましょう。

それらの習得までに必要なレッスンを用意しましょう。
例えば、練習、活動で試練を設けるためのマッチメイクやその戦術を組み立てるまでに必要なスペシャリストの起用、クリニックですね。そういった選手を具体的に育むツールを用意します。

そして日常ではアナライズを欠かすことなく行います。
選手からすると「その瞬間は一度しかない」けど、コーチは「その瞬間に成功しないと意味がない」のです。だからおおよそ失敗で終わる選手のトライを逃すことなく、表情などもしっかりと分析する必要があります。

あとは計画が正しく進んでいるか、確認をしながら前へと進んでいくだけです。その途中で大切なことが「ストーリーテリング」です。例えば、なぜむやみに1ON1をしてはいけないか?など特に選手が陥りがちな育成の穴に正しい哲学を入れてあげることです。

「コートには5人のDFがいる。試合に1ON1はなく、いつだって1ON5だから。」

こういったように頭ごなしにNOを突きつけるのではなく、感情が動くような声かけができ、修正を行えるようにコーチ自身が深めていくことも大切。そしてそれを伝える瞬間は絶対に逃してはいけません。

ストーリーテリングはバスケに収まってはいけません。選手は色々な状況下で影響し合いながら変化し、成長をします。あらゆる部分で大きな存在になるのがコーチとして大切です。

選手が伸びゆく構造というのも大切です。それは選手のグルーピングです。チーム内でトップレベルの選手たちと発展途中の選手では活動の中でフォーカスすべきポイントが異なります。それぞれゲームの中で目標とする部分も異なります。その選手たちが同じ活動を繰り返すことになんの生産性もありません。

TOP teamとDeveloping teamは同じ活動をする必要がありません。

この辺りはコーチが明確な基準でそれぞれを分けて指導する必要があります。


Leading a session
 ー活動をリードする。

これは単純に言い回しが好きなだけで紹介します。立ち位置の話です。

あなたは練習メニューを提示して外から指示を出しているだけのコーチではありませんか?これはコーチの役割とは言えません。
もちろん、上からものを説くというの姿勢では選手と良好な関係が築けないかも知れません。

コーチはセッションをリードする存在であるべきなのです。
コートにおいて誰よりもチームを先導しなければいけない。これはキャプテンの仕事ではなく、コーチの仕事です。

今日この瞬間から、選手にメリハリが出ない、意欲が出ない、これらのネガティブな課題は無くなるはずです。コーチがリードするのだからコーチの責任です。それでも選手がついてきてくれないのは、良好な関係が築けていないからです。意欲がないのは、選手を支える環境に問題があるからです。

選手のバックグラウンドにフォーカスするという部分は後の心理学の領域から触れていきます。
ここでは、コーチはロールを担いそれを演じきらなければいけないという部分についてです。

どうすればコーチはセッションをリードすることができるのかという部分です。まず、コーチはその練習でのティーチングポイントを絞り、選手に提示をします。
練習前に90秒以内に、要約したポイントを説明します。当然ながら選手のモチベーションをあげるようなキャッチーなフレーズを用います。そのフレーズは今後選手が耳にした時に活動してきた内容を思い出すようなキーフレーズと設定します。

日本ではキャプテンに担わせているある種、チーム内のマネジメントもコーチがすべきで、例えば練習の切り替えの際の集合やハドル(掛け声)この辺りもコーチがハンドリングしたほうがいいです。ただし、自主性を重んじるのであれば、選手たちがその掛け声を選択できるような関わりが良いでしょう。

コーチが忘れてはいけないのは、選手へのリスペクトです。中心に立ち、選手を動かしていきながらも自らが動くというのはすごく大事なことです。リスペクトを表現するためには、ポジティブな声かけや関わりだけでなく、自らが足を運んで、物理的に近いコミュニケーションを実現することです。寄り添うということをコーチはやらなければいけないのです。


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