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言ひ訳めきます。by 都築郷士

お八つに頂いた焼き林檎の油分が、脳に到達する頃には、私はまた「書ける」やうになつてゐるだらう。今日は今、夕刻のはじまりの時点で、他に思想の栄養となるものを享受することは、残念ながら出來なかつた。これだけ書けたよー、と見せびらかしの氣分に浸ヒタれる時もあれば、その正逆な時もある。また、短氣を起こさず「積ん讀」にしておいた数々の本が、得てしてこんな日にめぐり合はせ的に力を貸してくれるものだ。私は半世紀以上に亘つて生かされてゐるけれども、上記諾々と受け容れるしかないし、それにさうすべきなのである。祈りのやうな氣持ちになつた。飽くまで「やうな」であるが。そしてそんなひとゝきの積み重ねを生きてゐる。圖らずも創作論となつた。それはたまたま私が逃げ上手なだけで、所謂クリエイターと分類される人種の皆さんに、適応したものだかどうかは、分からない。

〈たゞ潜る雨後でもなしに冬の虹 くにを〉

筆者近影。

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