外国人選手のNPB1年目の成績と直前のマイナーの成績を比較する。(打者編)

 1年目の外国人選手の成績をマイナーリーグの成績から予測できるのではないかと推測し実際にどの程度、相関があるのかを調べることにしました。

 NPBとAAAの両リーグで200打席以上出場しAAA時代の成績がfangraphsにある選手35人を対象とし相関分析を行いました。スタッツは傑出値を基に比較しました。傑出値とはその年のリーグ平均と比べてどれだけそのスタッツが高い値か低い値かを表すものです。

計算式は (その選手のスタッツ/リーグ平均のスタッツ) です。このような傑出値を使う理由としては例えば同じAAAでも打者有利なPCLとそうではないILを比較する際に補正をかけないとPCLの打者の評価が過大評価になる可能性があることやNPBの場合でも同様に使用球の違いといった環境の変化による成績のブレを少しでも補正するために行っています。(NPBのリーグ全体打撃成績から投手の打撃成績は除いています)
 
 以下に各スタッツの散布図を提示します。横軸がAAAの成績、縦軸がNPBでの成績です。

K%比較

 三振の割合を示すK%-では相関係数0.71と強い相関が見られました。三振をしない能力はNPBでもAAAでも一貫している傾向にあるようです。

BB%比較

 四球の割合を表すBB%+では相関係数0.50と中程度の相関関係が見られました。三振程ではないですがある程度一貫した傾向は見られるようです。

ISO比較

 長打力を示すISO+では相関係数0.47と中程度の相関関係が見られました。BB%と同じ程度には一貫した傾向がありそうです。

wRC比較

 打者の得点創出を表すwRC+では0.27と弱い相関関係でした。三振、四球、長打ほど一貫した傾向は見られないようです。

 まとめ

 AAAとNPBでスタッツを比較するとK%には強い一貫性がありBB%、ISOは中程度の相関関係があった。得点創出を表すwRC+は弱い相関であった。

 これは個人的な感想ですがオリックスがコンタクトとパワーを兼ね備えた外国人選手を獲るというのには理に適っているのではないかと思います。三振回避、四球獲得、長打力で3部門すべてにおいて優れた選手を獲得できるのが理想ですがそのような選手はまずそもそも少ないことからどれか1つは欠けた選手を獲得するということが多いと思います。その中から最も能力が反映されやすいK%の低さをまずは重視し残り1つのツールは得点に与える影響が大きいパワーを重視するというのが理に適っていると思うからです。

 最後にこの研究には先行研究があります。条件や補正をかけた影響かやや違った結果になっていますがアイデアのもとになった研究なので敬意を表して掲載したいと思います。

以下に元のデータを掲載します。

外国人打者NPBとマイナー比較



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