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【少年野球】理不尽をガマンした親子が叩かれる時代

 「郷に入れば郷に従え」

 初めて少年野球(学童野球)チームに入った親子は、このことわざ通りに行動するしかない。「なんか変だな」と思っても、先輩保護者がそうやって来たのだからそれが一番良い方法なのだろうと自分に言い聞かせてただ従う。
 
 しばらく経つと「明らかにおかしい」と思うことが出てくる。
しかし言えない。疑問を口に出して良いものかどうかも分からないから、結局従う。

 さらに時間が経つと、気心が知れた保護者同士では本音を言えるようになる。「もっとこうすればいいのに」とか「あの人が元凶だ」などと、問題の原因や改善策も見えてくるが、やはり言えない。小さな変更ぐらいはできても本質に迫った改革などは到底できない。

 そうこうしているうちに子どもは6年生になり、卒団が近づいてくる。
「今さら波風たてても仕方がない」と、結局ほとんどの親がお礼だけ言って「飛ぶ鳥跡を濁さず」と去って行く。

 これが少年野球(学童野球)チームに子どもを入れた「普通の親」のリアルな姿だ。

 しかし、こんな普通の親でさえ、もしかしたら近い将来「叩かれる」対象になるかもしれない。
 事件と呼べるほどではないにしても、チームで何か大きな問題が起きたとき、「以前から問題だと分かっていたのになぜなにも言わなかったのか」と過去に遡ってまで責任を問われる可能性があるのだ。
 
 日大アメフト部の大麻所持問題、ジャニーズ問題等、問題の内容は大きく違えど、最近のニュースとそれに対する世の中の反応を見るにつけ、「見て見ぬふりをした人」がこれほどまでに叩かれ、責任を問われる時代になったのかととつくづく思う。
  
 「郷に入れば郷に従え」
 「飛ぶ鳥跡を濁さず」

 それはもはや美徳ではなくなった。
 「現実には言えっこない」と分かっていても、流される人間、勇気のない人間、保身に走った人間は叩いていい、叩かれて当然だという時代なのだ。
 
 少年野球の世界も、子どもという圧倒的弱者が犠牲になっているような状況を看過すれば、あなたも、私も、いつでも叩かれる可能性がある。
犠牲者であっても叩かれる時代を「当然」と思うか「世知辛い」と思うか・・・。

 
 

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