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モチベーションって超大事

UG Advent Calendar 2020の25日目の記事です。メリークリスマス。

どうもbarusuです。知らない方は初めまして。

今回お話するのは、某会社さんにて派遣社員の方をフルコミットで一年間育成したお話です。

一部脚色を交えてになりますが、最後までお付き合いいただければと思います。

TL;DR

・IT全然得意じゃない派遣さんをそこそこのレベルに育てました

・どうやって育成したのか説明します

・1年経ったので振り返ります

基本情報:背景など

事業:Web系開発事業会社
従業員数:従業員数200人くらい

もともと情シスという部署は存在せず、ユナイトアンドグロウから月64hで業務を委託されたbarusuが一人で切り盛りしていました。

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PJ推進、計画、提案、開発、保守をbarusu一人でやるのはさすがに限界だったため、常駐の派遣社員を一人確保し、運用部分を切り出すことになりました。
派遣社員入社後の作業分担イメージ図がこちら。

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barusuもだいぶ忙しい身だったのでなるべく早く派遣さんを採用し、遅くとも2週間以内にはある程度運用を任せて自走してもらう必要がありました。

基本情報:派遣さんにやってほしいこと

1. 入退社対応
2. PC在庫管理
3. ヘルプデスク受付
4. ID発行削除対応/ライセンス残管理
5. サポート問い合わせ
6. ドキュメント作成,更新
7. 問題発見、課題起票

図にするとこんな感じです。

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採用基準

やってほしいことは多々ありますが派遣さんは当たりハズレが大きいため、スキルよりも人間性を重視する方針としてます。どんなスキルであれ、入社したら多少は育成しますしね。
面談では以下の要素を確認しました。

1. 会話のキャッチボールができるか?
  ├ 自然に相槌を打てるか?
  ├ 話を聞けるか?また、理解できるか?
  └ 長文での会話にならないか?
2. 負けず嫌い度はどれくらいか?
  ├ わからないことをはっきり「わからない」と言えるか?
  ├ 知らないことを言われて、顔をしかめないか?
  └ 自分の経験について話すときの表情はどうか?
3. 仕事への姿勢はどのようなものか?
  ├ 今までで最も長く経験した仕事について、どれほどの解像度で理解/思考したか?
  ├ やりたくない仕事があったらどうする?と質問したときの表情はどうか?
  └ 何を求めるか?お給料?自由?スキルアップ?不安の解消?

スキルにこだわりを置かなかったおかげで、比較的早く採用ができました。
29歳女性、IT事務経験ありの方です。

Before/After

▼入社時(2019年12月):スキルセット

 ・Excel編集(一切の関数不可)
 ・PC操作一般(Windowsのみ)

はじめはこれだけです。
GSuite,Slack,AD,Salesforceなどを使っている会社ですが、初めて触るものばかりとのこと。
派遣さんは申し訳なさそうにしてましたが、正直言ってこちらは最初のスキルなんてアテにしてません。
「できると思っていたけど実はできませんでしたーのほうがよっぽど危ないし、これからどれだけできるようになるかの挑戦っすね」
と伝えた記憶があります。
もちろん建前なんかでなく本心からそう思ってます。

▼2020年12月:スキルセット

アカウント発行等の運用業務のすべてをbarusu不在でも対応できる
・Excel,スプレッドシート(Query関数くらいまでの汎用関数一通り)
・GAS修正(barusuが作成したものをベースに改修も可能)
・Windows,Mac操作~簡易的なトラブルシューティング
・ADサーバー操作(ユーザー作成停止、OU作成、グループ作成追加削除程度)
・シェル操作基本(cmd,bash)
・トラブルシューティング切り分け(ググって出る程度のものなら大体解決できる)

1年でここまでできるようになりました。
情シスの運用業務について、2020年2月頃からbarusuが作業することはなくなっています。
ちょうどコロナが騒がれ始めた時期ですね。
この派遣さんのおかげで運用の大部分を手放せたので、いなかったらすべてが後手後手に回って身動きできなかったかもしれません。
考えるだけでも恐ろしい。。

どうやったのか?

barusuがやったことはただ一つだけです。

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育成において最も大切なのはモチベーションです。

派遣さんのモチベーションが下がらないようにあの手この手を駆使して頑張りました。

あの手この手の数々

▼モチベーション向上策

いろいろやった一部をご紹介します。

仕事の目的と達成条件を確認する習慣をつける
 タスクには目的と達成条件が必ずあります。
 例えば"山を登り山頂を目指す"というタスクの場合、必ずしも徒歩である必要はなく、ヘリコプターで山頂を目指しても良いわけです。
 さらに言えば「なぜ山に登るのか?を考えてみたところ、山頂の売り場でしか売ってない記念メダルを入手することが目的だった」場合にはその記念メダルを通販サイトで買えば済む話です。
 仮に健康促進が真の目的だったとするなら「わざわざ山頂を目指す必要なくない?ジム行けよ」とも気づけます。
 「どうなっていればOKなんだっけ?」から逆算する習慣をつけることで多少手順が違っていてもうろたえないし、ラクな方法を思いつく可能性が上がります。
 そうすれば仕事ももっと楽しくなりますね。
悩ませず、考えさせる
 答えが出ないものについてウンウン唸っている状態はよろしくありません。
 精神衛生にも悪影響があるので悩むだけあほらしいです。
 "考える"と"悩む"の違いは、仮説が立つか否かだと思います。
 派遣さんが悩んでいる様子ならすぐに話を聞き
 「今悩んでますね?ちとそれ一緒に考えてみましょー」
 と声をかけたりしました。
自分はこのチームに必要な存在と認識させる
 必要とされている実感が湧けば、自然とモチベーションは上がります。
 やりすぎると傲慢さが出たりプレッシャーを感じて逃げたくなったりする場合があるので加減が難しいですが。
歓迎するミス、やってほしくないことを教える
 ミスは基本的にすべてが改善事項になるので、ミス発生=改善点が見つかった!と考えています。
 派遣さんには
 「ミスをするのは全然かまわないどころか歓迎しますけど、事実を伝えなかったり隠蔽することは絶対にやってほしくないですねー」
 と最初に伝え、以降はミスをするたびに
 「お!やっちゃったねーはっはっは。正直に伝えてくれてあざっす!じゃーどうやって改善しましょうかね?」
 と必ずニコニコ笑顔で返しています。
 こういうのは言葉だけとか、態度や’行動だけでは伝わりにくいです。
 何度もニコニコ笑顔で明るくレスすることで"雰囲気"が漂うようになり、
 メンバーが"雰囲気"を感じ取れるようになってから、チームに好影響が出てくるシロモノです。
「わからない」と言ったら褒める
 改善点を見つけてくれたと同義です。
 「おーマジすか!超ありがたいっす
  何がわからんか教えてもらえます?」
 といった感じで感謝してます。
 業務に慣れてくると「わからない人は何がわからないのかわからない」状態になります。
 そうなっちゃうと自然にバイアスがかかり、わかる人にしか伝わらないドキュメントが作成され続け、ブラックボックスがゆっくり形成されていくわけです。
 「わからない」と言うこと自体が勇気ある行動ですし、奨励すべきだと考えています。

▼モチベーション維持,保全策

長くなってしまうので、こちらは詳細割愛します。

・心理的安全性を死守する(barusuの心構え)
  ├  否定しない
  ├  アドバイスは求められるまでしない
  ├  会話は Nice!! から入る
  ├  尊敬/尊重する
  └  笑う頻度を増やす/基本的に笑顔で会話する

・定期的にスキルを確認する

・飽きさせない(仕事=楽しい を刷り込む)

・本人が嫌だと思う仕事はさせない

・仕事を背負い込みすぎないようにする

・定期MTGはなるべく組まない代わりに、10~15分の情報共有の会話を増やす

▼自身のスキルを見える化 ≒  ゲーミフィケーション

派遣さんのスキル育成状況を見える化しつつ、進捗を本人が楽しめる仕組みが必要だなと考えて、こんなシートを作ってみました。

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各スキルの重要度と難易度を定義し、「できてるね!」と確認した日を入力していくことで習得状況がわかるようになってます。

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こちらのシートで、習得したスキルがどれだけあるのか、トータルで今どれくらいのランクにいるのかを表示しています。

このシートを使うことで、今後何のスキルを伸ばしていくのか?を自分なりに組み立て、必要に応じてbarusuに質問したり調べたりと自走できる人材になる助けができたかと思います。

振り返り

派遣さんが入社してちょうど1年経ちました。

コロナ禍に振り回された1年間でしたが、派遣さんの成長なくして語れない1年間だったなとしみじみ思います。
当初よりも多くの仕事を手伝ってもらえましたし、派遣さん本人のスキルも大幅に伸びたはずです。

これで本人もいろいろと自信がついたのか、わからない事象に出会っても自分なりに調べて実行、トライアンドエラーを経て文書に残す動きができるようになりました。
もちろん本人が頑張ったという大前提はありますが、barusuも成長に大きく関与できた実感があり満足しております。

この派遣さんは12月末で退職となってしまいますが、
「他の会社でスキルを発揮したい」と考えたうえでの行動です。
素直に応援しています。

またいつかどこかの案件でお会いできたら、その時はどれくらいすごくなってるか楽しみですね。

最後に

金を残すは三流、名を残すは二流、人を残すは一流

故 野村克也さんのお言葉です。

プロとして、我々はお客さんに何を残さなければならないのか?

答えは人それぞれあるでしょう。

barusuの考えは「仕組み」です。

企業においては人も流動的です。
部署移動しかり入社退職休職だってあります。

人を残すのが良い、だが人は短期間で入れ替わる。ならば何を残すのか。

「人を残せる仕組み」を残す。

これだ。

と至ったわけです。

今回、派遣さんの育成を通して情シスを育てるフレームワークの基礎を作りました。
まだまだ未完成なのでブラッシュアップの余地がありますし、この話は現在進行形だったりします。

まぁやり方はいくらでも変えるでしょうが、基本コンセプトはたぶん変えないと思います。

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モチベーションって超大事。

そんな話でした。

以上、ここまで読んでいただきありがとうございました。

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